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第15首 冷めた恋心
さむしろに ころもかたしき こよいもや われをまつらん うじのはしひめ
(詠み人知らず)
狭いベッドの上、衣を脱ぐきみの姿が目に浮かぶ。
どうしても会いに行く気になれない。
きみに対する気持ちがいつからそうなってしまったのか。
それでも、きみは、今夜もぼくを待っているのだろうか。
可憐な姫のようなきみは。
【ちょこっと古語解説】
○狭莚……狭い莚。莚とは、敷き物の総称。
○衣片敷き……衣を片方だけ敷いて。男女が共寝するときは、双方の衣を、敷いたり掛けたりする。片方だけ敷くとは、つまり、自分の分だけ敷くということ。
○や……疑問を表す語。「~か」の意。
○らむ……「~しているだろう」の意。
狭莚に衣片敷き今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫
(古今和歌集)




