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第133首 現実よりも
ありしよを こうるうつつは かいなきに ゆめになさばや またもみゆやと
あの人と過ごした夜を恋しく思う。
そんなことをしてもしょうがないことは分かっている。
いっそあの日々を夢に出来たらなあ。
夢だったら、また夢で会えるかもしれないのに。
【ちょこっと古語解説】
○ありし……昔の。
○よ……「世」と「夜」の二つの意味を掛けている。「世」は、男女の仲のこと。
○うつつ……現実、のこと。
○かひなき……元の形は、「かひなし」で、どうにもならない、の意。
○ばや……願望を表す助詞で、「~たい」くらいの訳。
○や……疑問の意。「~か」くらいの訳。
ありしよを恋ふるうつつはかひなきに夢になさばや又も見ゆやと(続千載和歌集)




