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ワカコイ ~恋の和歌~  作者: coach
色色の歌
133/297

第132首 旅の空から

わかれても いくありあけを しのぶらん ちぎりていでし ふるさとのつき

 離れずにいられたときでさえ、あの人と見た有明の月が慕わしかった。

 別れたら何度その月を恋しく思うか知れない。

 きっと帰って来る、と約束して故郷を出た。

 あの人も有明の月を見て、わたしを思い出してくれるだろうか。


【ちょこっと古語解説】

有明(ありあけ)……夜が明けてもまだ空に残っている月。

○しのぶ……思い慕う、意。

○ら()……本来は、現在推量の助動詞で、「今頃~しているだろう」くらいの訳だが、ここでは、単なる推量の意で、「これから~だろう」くらいの訳。

(ちぎ)り……元の形は「契る」で、約束する、の意。

○し……元の形は「き」で、過去を表す助動詞。

古郷(ふるさと)……生まれ故郷、のこと。

わかれても幾有明をしのぶらむ契りて出でし古郷の月(続千載和歌集)

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