131/297
第130首 不可避の道
うみやまの はてもこいじと おもうには あわれこころを いづちやらまし
海を越え、山を越え、世界の果てまで行き着いたとしよう。
それでも、なおそこには恋の道が敷かれているのだ。
ああ、いったいどうしたらよいのだろう。
どこまで行っても恋に悩むこの心を晴らすことはできないのか。
【ちょこっと古語解説】
○あはれ……ああ、という感動のため息の音を表したもの。
○いづち……どの方向。
○やら……元の形は「やる」で、「気を晴らす」意。
○まし……「ためらいの意志」を表す助動詞で、「~すればよいだろう」くらいの訳。
海山のはても恋路と思ふにはあはれ心をいづちやらまし(続千載和歌集)




