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第126首 君かぼくか
ききもせず われもきかれじ いまはただ ひとりびとりが よになくもがな
君からの便りがもらえずに、苦しく過ごした日々。
その日々も終わり、ようやく君のことを聞かなくなった。
もうぼくのことも君の耳に届いて欲しくはない。
今はただ、君かぼく、どちらかがこの世からいなくなればいいのにと、そう思う。
【ちょこっと古語解説】
○じ……打消意志を表す助動詞で、「~しないようにしよう」くらいの訳。
○ひとりびとり……どちらか一人、の意。
○もがな……願望を表す助詞で、「~であればなあ」くらいの訳。
聞きもせず我も聞かれじ今はただひとりびとりが世になくもがな(玉葉集)




