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第121首 空から来て
つれづれと そらぞみらるる おもうひと あまくだりこん ものならなくに
何ということもなしに空を見てしまう。
あの人が降りて来てくれるんじゃないか。
そんなことを思わせる空。
あるわけがないと思っても、つい期待して見続けてしまう。
【ちょこっと古語解説】
○つれづれと……「しみじみとものさびしく」くらいの訳。
○ぞ……強調を表す助詞で、訳には表れない。
○るる……元の形は「る」で自発を表す助動詞。「自然と~される」くらいの訳。
○む……婉曲を表す助動詞。訳には表れない。
○ならなくに……「~ではないのに」くらいの訳。
つれづれと空ぞ見らるる思ふ人あまくだりこむものならなくに(玉葉集)




