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第107首 忍ぶこころ
つれなさを いかにしのびて すぐしけん くれまつほども たえぬこころに
あの人の薄情さは本当にやりきれない。
いったいこれまでどう忍んで過ごして来たのだろう。
弱いわたしの心は、日暮れを待つ間でさえ耐えられそうにないのに。
【ちょこっと古語解説】
○つれなさ……一方に他方がうまく連動してくれない様子を表す。ここでは、こちらが相手を思っているのに、相手がこちらを思ってくれないことを表現している。
○いかに……どうやって、の意。
○忍び……元の形は「忍ぶ」で、「耐え忍ぶ」意。
○すぐし……元の形は「すぐす」で、「過ごす、年月を送る」の意。
○けむ……過去の推量を表す助動詞で、「~だっただろう」くらいの訳。
○暮まつ……恋人の訪れを待つということ。
つれなさをいかに忍びてすぐしけむ暮まつほどもたへぬ心に(続拾遺和歌集)




