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第103首 別離後の身
いさしらず なるみのうらに ひくしおの はやくぞひとは とおざかりにし
さあ、ぼくのこの身は一体どうなってしまうのだろう。
なるみの浦の汐が引いていく。
そんな風に、まるで当たり前のように、早くもあの人は遠ざかってしまった。
【ちょこっと古語解説】
○いさ……「知らず」と呼応して、「さあ、どうだか分からない」の意。
○なるみの浦……今の愛知県名古屋市緑区あたりにあった入り江。「なるみ」の部分に、「成る身」が掛けられていて、「いさしらず成る身」となり、「どうなるか分からないこの身」という意を表現している。
○汐……満ち干する海水。
○ぞ……強調を表す助詞。訳には出ない。
○人……和歌では、「大好きなあの人」ととる。
○に……元の形は「ぬ」で、完了を表す助動詞。
○し……元の形は「き」で、過去を表す助動詞。
いさしらずなるみの浦にひく汐の早くぞ人は遠ざかりにし(続古今和歌集)




