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第101首 あなたの夢
はかなくて みえつるゆめの おもかげを いかにねしよと またやしのばん
夢の中で、ようやくあの人に会えた。
現実の確かさには及ぶべくもないけれど、嬉しくて。
昨日、どうやって寝たんだろうか、なんて考える。
月光のせい? 替えた枕のせい? 夕餉に食べたもののせい?
また会いたいな。
昨夜の夢の面影を、次の夢で会えるまで、思い慕うことになるのかなあ。
【ちょこっと古語解説】
○はかなく……元の形は「はかなし」で、「頼りない・むなしい」の意。
○いかに……どのように。
○し……元の形は「き」で、過去を表す。
○や……疑問を表す助詞。
○しのば……元の形は「しのぶ」で、「思い慕う」の意。
○む……推量を表す助動詞で、「~だろう」の意。
はかなくて見えつる夢の面影をいかに寝し夜とまたやしのばむ(続古今和歌集)




