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第100首 最後の月光
しのぶべき これやかぎりの つきならん さだめなきよの そでのわかれは
夜明け方まで残る月が、二人を照らしている。
これまで忍ぶ恋を続けて来たぼくたちが、最後に見る月かもしれない。
袖を離して別れる時、ついそんなことを考えてしまうんだ。
さだまらないぼくたちの恋以上に、この世自体に定めがないのだから。
【ちょこっと古語解説】
○しのぶ……「耐え忍ぶ」の意。
○や……疑問を表す助詞。「~か」の意を添える。
○かぎり……「最後」の意。
○ならむ……断定の助動詞「なり」+推量の助動詞「む」で、「~だろう」の意。
○さだめなき……元の形は「さだめなし」で、「移り変わりやすい、無常である」の意。
○袖の別れ……袖を重ね合わせて寝具として一晩一緒に過ごした男女が、翌朝、それぞれの服を着て別れること。
しのぶべきこれやかぎりの月ならむさだめなき世の袖の別れは(続古今和歌集)




