なんでもない = しあわせ
ときどき、唐突に思う。
隣にいるこの人が、やっぱり好きなんだなぁ、と。
どこが、とか。
何が、という具体的なものは何もなく、ただ好きだな、と。
そう漠然と思って、わたしは笑う。
今もそう。
いつものように隣り合って、他愛のない話をしているだけなのに、同意を求めるような、まっすぐ注がれる視線を受けて、わたしは笑った。
そんなわたしを見て、彼は困ったような、呆れたような顔をしながら、絶妙な力加減で、わたしの頭を軽く小突く。
「また一人でどっかいってただろ。」
「…そんなことないよ?」
「そんなことあるって。一人だけ、幸せそうな顔しちゃって。」
何か楽しいことがあったのなら教えろよ、と。
少し拗ねたように呟かれた言葉が、"一緒に幸せな顔をしたい"と聞こえた気がして、わたしはまた笑う。
「ほんと、なんでもないの。」
だってわたしはやっぱりあなたが好きで。
あなたとの、このなんでもない時間が幸せなだけなんだものと言う言葉を、笑い声に変換しながら。
あえて細かな描写は省き、ほんわかとした雰囲気重視で書いてみました。
何か感じるものがあれば、一言頂けると幸いです。