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婿入り?


 祐一の家は浄土真宗だよと実家にいる時は両親によく言われていた。


 阿弥陀様が御本尊で、誰かが死んだら南無阿弥陀仏を唱える事で、全てオールオッケーなカンジが実に日本人向きだ。



 そのくせ、祐一の実家には神棚も置いてあったりするんだが。



 実のところ葬式は仏式、結婚は神式みたいな感じで、仏壇の斜め上方に神棚があったりするので、結局の所は何も信仰していないのとほぼ一緒なんじゃないかなと祐一は思っている。


 用事のあるときだけ、その担当にお世話になります的なのは、ほぼほぼ区役所みたいなモノではないだろうか? と疑っている。



 いや、絶対そうだ。



 だからという訳ではないのだが、祐一は基本的に何にも信仰していないと言っても多分言い過ぎじゃない、はずである。


 しかし今、祐一は目の前に『女神がオシゴトです』と言い切る金髪美女が胡座をかいて、自分の入れた珈琲をニコニコしながら美味しそうに飲んでいる。



 ある意味カルチャーショック。



 女神などいないと否定したいところだけども、よく見りゃあ後光が差している。


 しかもよく考えると玄関には鍵が掛かっている。つまりドアを通過せずに部屋のど真ん中に神々しい光と共に現れた訳だ。


 現実は偶に逃避したくなるものであはるが、今せずにいつする? ちょっと遠い目になる祐一。



「あ、それと心配しなくてもアタシこの世界では女神のオシゴトしてないから大丈夫よ~、普通の主婦だから。この世界ってさ、いっぱい神様って名前付くヒトとか多すぎで利権争いが凄いじゃん。そんなのに喰い込むなんて割の合わない事したくないしね~」



 ――利権? いっぱい居る? うう。頭が付いていかない・・・



「アタシの担当は違う世界だから。いわゆる異世界ね。ほら、この世界ってラノベ小説とかゲームとか横行してるじゃん。あんな感じって思ってくれたら理解できるんじゃないかしらね」


「はあ。成程」


「でね~、こっちの世界に何で異世界の女神であるアタシが居るのかというとね。私のダーリンが日本人で、コッチの人だから帰ってきて仕事してるのよ。で、別居なんて、NO THANK YOUだから、私もコッチに引っ越して来て住んでるのよ」


「・・・」



 ――あ、だめだやっぱ理解の範疇を超えそうだ・・・・


 ツッコミどころが多すぎて何処から攻めたらいいのかわからない。


 今なら鈴鹿サーキットで200キロオーバーで攻める方がナンボかマシな気さえする。


 理性が『本気にするとヤバいんじゃね?』と囁くのだが、直感のほうが『絶対これはマジっすよアニキ!』と真剣に訴えているのが聞こえた気がした。



「てことでさ、お婿に来てちょうだいね! うちのダーリンと、ダーリンのパパに紹介するからね~! 別に異世界まで行かなくてもみんなコッチの住人だから安心してね!」


「いや、ちょっと。意味わからないですよ、安心て! 何が? そして婿入り?」


「ダーイジョーブー。ダーリンもダーリンのパパも祐一クン知ってる人だからさー。それに君んち弟いるでしょ?」


「ええ~? 何故俺に弟が居ること知ってるの?! そしてお祖父さん、お父さんと知り合いって?」



 思わずここまで会話に入ってこなかった、麗奈の方を勢いよく振り返る祐一。



「あ、ハイ。父もお祖父様も知り合いだと思います」



 ――石川さん? 石川? イシカワ・・・俺の勤めてる会社、イシカワ・コーポレーション?



 ギギギギという音をさせそうな感じで女神の方を向く。



「当たり~! ダーリンはキミの会社の社長で、ダーリンのパパが会長! そして私は女神だから、君んちの家族構成位はバッチリ分かるわよ~! そしてウチは娘しかいないから当然君は婿養子!」



 アハハハと楽しそうに笑う金髪美女。



「待ってちょっとまって。て事は、レナさんは社長令嬢って事でしょうか?」


「ん~~まあそうとも言うねえ~」



 ――何かとんでもない事になったような気がするのは、俺の気の所為じゃないよね?!


 待て。ここで一度おさらいしよう。


 うん。そうしよう。


 麗奈さんの両親は俺の会社の社長夫妻で彼女は社長令嬢で、結婚相手は婿養子?


 お祖父さんは会長で、お母さんは異世界の女神が仕事? 仕事だよな。多分。


 で、まてよ、俺が婿養子になるということは・・・



「スミマセン、質問ですが」


「んあ、お代わりくれる?」


「あ、ハイ」



 コーヒーポットからカップにまだ温かい珈琲を注ぐ祐一。



「いやー、祐一クンの入れたコーヒー、メチャクチャ美味しいわ~」


「あ、どうも。ありがとうございます」



 ついつい低姿勢になる。


 イイやつだ祐一。



「で、質問て何かな~?」


「婿養子ということはまさかの次期・・・」


「あ、内部業務は早めに慣れてね。あとね女神の系譜は女の子しか生まれないのよー。だからアンタ達の子供も女の子になっちゃうからさ、宜しくね」


「・・・・・」



 祐一が胡乱な目になったのは仕方ないと思う。



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