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異世界なんてへっちゃらです


 「どーしたの? ダーリン? 急いで来てくれってどういう事?」



 和室の入口、障子の手前に金髪翠目の美女が現れた。



 勿論石川アイーシャ職業女神である。



 両手に何故か薄いピンク色のハイヒールを持ち、ルイヴィトンの小ぶりなバッグを肘の辺りにぶら下げている。


 今日はベビーピンクのツーピースドレスを着ているのでコーディネートなのだろう。



「ありゃ~、こちら様はどなたで?」



 飲みかけの煎茶の入った湯呑を持ったまま翔吾が唖然としている。あまり動じてはいない辺りがちょっと常人とは違う。



「あら? はじめまして、祐一君のお父様ですよね、お写真でお顔は拝見しましたので、知ってますのよ~」



 女神も動じない。



「おやあ、麗奈さんとよく似てますなあ~、ひょっとして石川さんの奥様で?」



 呑気な父、翔吾である。



「そうですわ〜、麗奈の母ですの。宜しくお願いしますわ〜!」



 おほほほほと笑うアイーシャ。



「で? どういった忍術ですか? さっきのは光玉でしょうか?」


「え? 忍術?」



 女神が真顔で首を傾げた・・・・









「つまり、アイーシャさんは異世界の女神様という訳ですか・・・成程ねえ〜」



 翔吾がクッキーを噛りながら、ウンウンと頷いている。



「大恋愛ですなあ〜! 素晴らしい!!」



 こういう人だったわ、ウチの親父・・・という顔で実の父親を横目で見ている祐一と慶次の兄弟。



 慶次は一旦自室に引っ込んでいたのだが急に人の気配が増えた為、応接間に戻って来た。


 流石は忍者である・・・



「いやあ~、しかし事実は小説より奇なりといいますが、本当ですなあ〜」



 ウンウンと頻りに頷いている翔吾と



「祐一君の忍者の装備チートの理由ってそういうことだったのね〜!! バグじゃなくて良かったわ~!」



 と、何故かチートバグじゃなかったことの方に安堵している女神様という変な組み合わせである。


 そして石川社長は頭に三毛猫を乗せたまま、熱心に雉虎猫を愛でている・・・


 無心になりたいのかも知れない。



「色々とカオスだ・・・」


「そうだな」



 神谷兄弟はこの面子の中では、常人寄りのようであった。







 

「お話を聞く限り、あちらの世界は随分とこちらとは様子が違いますなあ。忍者も冒険者ですか〜。いいですなあ! 我々も出稼ぎ出来ませんかな?」



 神谷の現宗主である翔吾は異世界(あっち)の世界の事を聞くと、何故か『出稼ぎ』キーワードを連発し始めた。



「あっちに行く方法は、私や娘達が転移魔法を使うしか無いんですけど・・・」



 ウ~ンと首を捻る女神様。



「確かに忍者が大勢で《《あっち》》側に行って、魔獣の捕獲とか駆除をしてくれると随分と平和になるかも知れませんわねえ。魔王は70年後にどうせ復活しますから、忍者の養成学校とかもやっていただけると良いかもしれませんわね」


「おおー、養成学校ですか! いいですなあ~」



 何故か隼雄が手を打ち鳴らして喜んだ。



 何やら親同士が壮大過ぎる? 計画で盛り上がり始めたのを横目に、



「慶次、お前の孫あたりが魔王討伐するのかもなあ」



 祐一が呆れ顔で呟くと、慶次が



「親父、異世界(あっち)に移住しそうな勢いだな・・・」



 ボソッと呟き返した。



「へっちゃらそうだな、あの親父だと・・・」


「老後は異世界に行くとか言い出しそうで怖いな」


「ああ。お袋も行くって言いそうで怖いな・・・」



 兄弟揃って、遠い目になった。






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