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ほのぼの・じんわり系 あれこれ

ゆうくんとノンノ

掲載日:2023/01/10

挿絵(By みてみん)


 ゆうくんは3才(さい)の男(おとこ)の子(こ)。


 ゆうくんには大(だい)事(じ)な大(だい)事(じ)な、たからものがあります。


 川(かわ)のちかくでひろった、まるくてぴかぴかの石(いし)?

 こうえんでひろった、キラキラしてきれいなトンボのはね?


 ううん、それもすてきなたからものだけど。


 そんなたからものたちをひろったときも、いつもいっしょにいたノンノがいちばん大(だい)事(じ)なたからものです。


 ノンノは、ちゃ色(いろ)のあったかくてやわらかくって……ちょっとヨレヨレの毛布(もうふ)。

 ゆうくんがあかちゃんのころから、ねんねするときにつかっていた毛布(もうふ)です。


 ゆうくんが「ねんね」をうまくいえないかったときに「のんの」っていったからなのか、いつのまにかその毛布(もうふ)は「ノンノ」とよばれるようになりました。


 ゆうくんはいつもノンノといっしょ。ねているときも、ねていないときも。

 どこにいくのにもノンノをつれていこうとするので、ゆうくんにひきずられてばかりいたノンノは、あちこちがボロボロで穴(あな)もあいています。


「もうノンノはサヨナラしようか。あたらしい毛布(もうふ)をかってあげるから」


 パパやママにそういわれても、ゆうくんは首(くび)をふっていいます。


「ぜったいに、だめ! ノンノはサヨナラしちゃだめ!」


 だってヨレヨレなノンノをなでると、とってもスベスベでやわらかくって、ゆうくんは安心(あんしん)するんです。あたらしい毛布(もうふ)なんていりません。



 ◆◇◆



 ある日(ひ)、しょうこおばちゃんがゆうくんの家(いえ)にあそびにきました。

 しょうこおばちゃんは、チョコちゃんという犬(いぬ)をかっています。今日(きょう)はそのチョコちゃんもつれてきました。


「ほら、ゆうくん、ワンワンよ」

「こわくないからなでてごらん」


 ふわふわで黒(くろ)い目(め)がかわいいチョコちゃん。ゆうくんはちょっとだけ、チョコちゃんにさわってみたかったのですが、ちかづいてみると……やっぱり、こわい!


 ゆうくんは、ノンノをギュッとにぎりしめ、はしってママの後(うし)ろにもどろうとしました。

 ひきずられたノンノは、チョコちゃんのまえでひらひらとゆれます。

 チョコちゃんはそれを見(み)て、ゆうくんがあそんでくれるのかとかんちがいをしました。


「わふっ」

「あっ!」


 チョコちゃんはノンノをつかまえました。パクりとかみつき、まえあしのツメはノンノのボロボロの穴(あな)にひっかかっています。


「やめてっ!」


 あわてたゆうくんがノンノをつよくひっぱると、


 びりっ! びびーーーーっ!!


 大(おお)きなおとがしてやぶれてしまいました。


「……」


 ゆうくんは、手(て)の中(なか)のノンノを見(み)つめます。なんど見(み)てもまっぷたつになっています。ゆうくんの目(め)からなみだがこぼれました。


「わあああーーーー!! ノンノがしんじゃったーーーー!!!」


 ゆうくんは大(おお)ごえで泣(な)きました。ママもパパも、しょうこおばちゃんもあやまったりなぐさめたりしましたが、なみだはとまりません。

 たくさんたくさん、しゃっくりがとまらなくなるまで泣(な)きました。



 ◆◇◆



 次(つぎ)の日(ひ)のあさ。

 ゆうくんはめがさめるとあわてました。


「ノンノがいない!」


 どこをさがしてもノンノがいません。きのうの夜(よる)は、ふたつになったノンノをぎゅっとだきしめて泣(な)きながらねたのに。

 パパがいいました。


「もうノンノはしんじゃったからサヨウナラだよ」

「ウソだよ! ノンノはしんでないもん!!」


 ゆうくんの目(め)から、またなみだがこぼれてしまいます。


「パパもママも、おばちゃんもわんわんも、みんなみんな大(だい)きらい!! ノンノをかえしてー!!」


 ママはこまったかおをしてだまっていましたが、しばらくしていいました。


「ごめんね、ゆうくん。そうだねノンノはしんでないよ。でも大(おお)ケガをしちゃったから、びょういんにいったんだよ」

「びょういん!?」


 びょういんはこわいところです。だってとってもいたいちゅうしゃをしたり、にがいおくすりをのんで下(くだ)さいっていわれたりするからです。

 ゆうくんは、自分(じぶん)がびょういんにいくような気(き)もちになってこわくなりました。


「そうよ。このままじゃしんじゃうから、しゅじゅつとにゅういんをしてるのよ」

「しゅじゅつ……?」


 しゅじゅつってなんのことかわからないけど、きっととてもいたくってこわいことのような気(き)がします。


「ノンノもがんばってるから、ゆうくんもがんばってノンノがかえってくるまでまとうね」

「……うん……」


 ゆうくんは、なんだか不安(ふあん)になりました。だって。


「おい、ママ……」

「しっ」


 パパとママが、ゆうくんのほうを見(み)ながらこそこそばなしをしていたからです。



 ◆◇◆



 それから何日(なんにち)もゆうくんはまちました。

 ノンノがいないと夜(よる)は安心(あんしん)してねむれません。ゆうくんはママにくっついてなんどもききました。


「明日(あした)、ノンノはかえってくる?」

「もうちょっとまとうね」


 ママはいつもそういうだけです。

 ゆうくんは、ママはほんとうのことをいっているのかなと思(おも)いました。でも、ママのことを信(しん)じないとノンノはかえってこない気(き)がします。


「……うん、ぼく、いいこでまってるよ」



 ◆◇◆



 ある日(ひ)の夜(よる)。

 ゆうくんはゆめを見(み)ました。


「あ! ノンノ!」


 ゆめのなかのノンノはやぶれていません。もとどおりの、スベスベしていてやわらかい毛布(もうふ)です。


「しゅじゅつ、おわったんだね! よかったねぇ!」


 ゆうくんはうれしくなってノンノにくるまりました。でも。


「わふっ」

「あっ!」


 気(き)がつくと、よこにチョコちゃんがいてノンノにかみついていました。


「やだ! やめて! わんわん大(だい)きらい!!」


 ゆうくんは泣(な)いてチョコちゃんからにげようとしました。


「ゆうくん、そんなこといわないで」

「えっ?」


 ゆうくんにやさしいこえがきこえました。そのこえは……


「ノンノ?」


 ノンノがしゃべっています。ゆうくんはとてもビックリしました。


「ゆうくん、わんわんはあそんでほしいだけなんだ。ぼくとあそぶみたいにわんわんとあそんであげて」

「どうやって?」

「いつもぼくにやってるみたいに、なでてあげればいいんだよ。わんわんのあたまとか、せなかとか」


 ゆうくんはちょっとこわかったけれど、ゆうきをだしてチョコちゃんのあたまをなでました。チョコちゃんはうれしそうにしっぽをふります。


「わあ、スベスベだ! ノンノみたい!」

「ゆうくん、もうわんわんはこわくないね?」

「うん!」


 ゆうくんはゆめのなかでにっこりしました。



 ◆◇◆



「あれ?」


 ゆうくんのめがさめると、手(て)の中(なか)にはノンノはいませんでした。ガッカリしてまた泣(な)きそうになるゆうくん。

 でも、おへやにパパとママがはいってきました。大(おお)きなハコをもっています。


「ゆうくん、おはよう!」

「ハコをあけてみて」


 ゆうくんがハコをあけると、中(なか)には犬(いぬ)のぬいぐるみがはいっていました。ちゃ色(いろ)で、ちょっとチョコちゃんににています。

 ゆうくんはぬいぐるみをさわってビックリしました。だってとってもスベスベして、やわらかかったんです。


「これ、ノンノだ!!」


 パパとママがいいました。


「ごめんねゆうくん。もうノンノはボロボロだったから、毛布(もうふ)にはもどせなかったんだ」

「だからしゅじゅつして、ぬいぐるみにしてもらったのよ」

「いいよ! ぼく、わんわん大(だい)すきだもん!」

「おや、そうか」


 パパとママはホッとしました。ゆうくんはぬいぐるみをギュっとだきしめます。

 ゆうくんの大(だい)事(じ)な大(だい)事(じ)な、たからもののノンノ。

 ちょっとかたちはかわってしまったけれど、毛布(もうふ)のときとおんなじ、スベスベして安心(あんしん)するノンノです。それにもう、どこかにつれていくときにもひきずるしんぱいもありません。


「これからも、ずっといっしょだね!」


 ゆうくんはゆめのなかでしたみたいに、ノンノのあたまをなでて、そしてにっこりしました。


お読み頂き、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり仲良しは一緒に居なきゃだめですよね! ふわふわと柔らかく、いつもそばにいてくれる。 ノンノは大切な大切な家族なのですね。 毛布のような優しい温もりを与えてくれる、素敵なお話を読むこ…
[良い点] こんばんは! 私、サファイアの涙と申します。 初めまして。 いやぁ・・・私、読ませていただいて、本当にほっこりしました。 いいですよね! 私は、自身でこういうお話を書いてみたいと思…
[良い点] ぬいぐるみに生まれ変わったので、毛布より外に持っていきやすくなりましたね。
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