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転生魔王の国家建国!  作者: 日暮悠一
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初めての会話(物理)

初戦闘から七日。つまり一週間だ。


俺は岩肌に空いていた洞窟を拠点に行動していた。

この荒野を抜けるのはすでに諦め、ここで他の生物を探すことにしたのだ。

魔物以外なら何でもいいから俺の目の前に現れてくれないものか。連日結構遠出しているはずなのに魔物以外を見かけたことは今の所ない。

出会うのは魔物ばかりで飽き飽きして来た所だ。


そんな俺がこの一週間で手に入れたスキルはこちら。


【五感強化】

視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚を強化することができる。強化具合は熟練度に依存する。


【暗視】

暗闇の中での視覚が通常化する。


【貯蓄】

魔力を蓄えておくことができる。取り出しは自由。


【体刃】

刃状の肉体を射出、または伸ばすことができる。


【超音波】

超音波を発することができるようになる。


【気配察知】

自身の周囲百メートル以内の生命反応を感じとることができる。


【身体強化】

筋力、体力を上昇させる。強化具合は熟練度に依存する。


【危機感知】

自身の生命に関わる事象を事前に察知することができる。



【五感強化】は【視覚強化】【聴覚強化】【嗅覚強化】【触覚強化】【味覚強化】を手に入れた時に統合されたスキルだ。全てあの狼型の魔物、カインドウルフから手に入れた。

狼のくせして味覚強化とは、グルメな奴だったな。


続いて【暗視】と【超音波】はこの洞窟に住み着いていたケイプバットから獲得したもので、この二つはかなり有用だった。

【暗視】を使えば夜でも狩りができるし、【超音波】は索敵に役立つ。この二つが俺の食事を支えていたと言ってもいい。


そして【気配察知】と【危機感知】はスケープディアという鹿型の魔物から獲得した。このスケープディアは大変臆病で、半径百メートル以内に近づいただけで逃げるという、倒すのが面倒だった魔物だ。

わざわざそんな奴を倒した理由は一つ、このスキルがめちゃくちゃ使えるから。

【気配察知】は【超音波】と組み合わせれば完璧な索敵手段になるし、【危機感知】は俺の生存の要になる。

生き延びる、という点においてスケープディアの右に出る魔物はいない。この二つのスキルさえあれば、俺の生存は確固たるものになる。


【体刃】、【貯蓄】と【身体強化】に関しては、こうやって魔物と戦っていたら自然と手に入った。

【体刃】は俺がやった腕を刃に変化させるのがスキルになって強化されたもので、【貯蓄】はまだ使い道がよく分かっていない。【身体強化】は説明のままだ。


こうやって振り返ってみると、結構増えたと自分でも思う。

これだけあれば、もうこの荒野では今の所敵なしだ。例え相手が俺より強くても、スキルの多彩さでは俺が勝つのではないだろうか。

しかし油断は禁物。これだけで満足せず、これからも更なるスキルを追い求めなければ。


そう分かってはいるものの、最近は魔物にすら出会わなくなって来た。いや、正確にいうなら魔物はいる。しかし、俺の存在に気づいた瞬間、脱兎のごとく逃げていくのだ。

初日に俺を襲って来た狼くんでさえ、俺を見た途端にどこかに走っていってしまう。

なんかいじめられている気分だ。これが村八分....。


まあクヨクヨしていても仕方がないので、俺はまだ探索していな場所へと足を運ぶことに。

【変形】を使って足を狼のように変化させ、俺は荒野を駆ける。ケイプバットの羽を生やして飛べばいいと思って試したのだが、身体が人間のままでは上手くいかなかった。

かといってコウモリになって飛んでいくには距離がありすぎるので、結局走っていくのが一番速いという結論になったのだ。



「ギャヴァゥゥゥゥ!!!」


こうして走っていると、逃げていく魔物達に追いついてしまうことがある。

すると、彼らは追いかけられたと勘違いして俺に襲いかかって来るのだ。それをすれ違いざまに【体刃】で始末しながら走ることになるのだが、そのお陰で食べ物には困っていない。





とまあそうやって魔物を狩りつつ、俺は洞窟と反対の方向に到着した。今までこちら側に来なかった理由としては、探索範囲の限界が来たからだ。

反対方面以外の探索をするのに精一杯だったため、自然と行きにくいこちらは後回しにしてしまっていた。


スキルも充実してきて、探索も一区切りついて余裕が出て来たのでここに来ることにしたのだ。


更に言うなら、野生の勘、とでもいうべきものがここに行くべきだと俺に告げていた。理由はないが、こちらから何かを感じる。

言いようのない何かを。


なので探索しに来たのだが.......


「やっぱり何にも無いな。無駄足だったか?」


巨岩の上に乗っかって見渡せど、何もないし何も見つからない。こんなに見晴らしは良いのに何にも無いとは、勿体なさを感じるな。

大の大人が何を言っているのかと思うかもしれないが、話し相手がいなくて寂しい。

孤独死ってのには実感が湧かなかったが、もしかしたらこういう事なのかも。

日本では一人でも大丈夫だったのに、見知らぬ世界というのがそれに拍車をかけている気がする。


「はあ、誰か.......ん?」


【気配察知】に生命反応が検出されたのだが、今までのは何か違う。

こっちに向かって来てる?

俺は岩山の頂上で身を伏せてソイツらを待つ。


聞き耳をたてていると、聞こえて来たのは言い争うような声。もしかして人間か、とも思ったが岩と岩の間から覗き見てみればそれが間違いだったと分かる。


緑色に背の低い身体。額からは短く小さな角が伸びている。あれは俗に言うゴブリンか?それにしては見た目が人間の子供っぽいな。

それともう一方はなんだ?豚みたいな顔してるからオークだとは思うけど....それにしてはやけに痩せてる気がする。

心無しかどちらも元気がないように見えるし、何やら言い争っているようだ。


ゴブリンは手に木で出来た武器を持っており、オークは棍棒を持っている。戦いに来たわけではないだろうが、一触即発といった感じか。

数でいえばどちらも同じくらいだが、オークの方が身体が大きい。戦いになればゴブリンが不利だろう。


その時、【危機感知】が俺に警鐘を鳴らして来た。

咄嗟に頭の位置をずらすと、そこを矢が通りすぎていく。


木の矢とはいえ、当たれば怪我をすることに違いはない。それに今ので彼らに俺の存在がバレた。

さっきまでの口論を他所に、俺の方を睨んでいる。


出て行くしかないか。

攻撃されたら順次対応していくしかない。


岩陰から飛び出し、ゴブリンとオークが集まっているど真ん中に着地する。


「ヤレェ!!!」


カタコトながらも何とか聞き取れる声で、周りのゴブリン達が飛びかかって来た。一拍遅れてオークが動き出したのを見ながら、俺はゴブリンの攻撃を捌いていく。

数が多いとはいえ、今の俺の身体能力なら難なく躱すことが可能だ。子供みたいに身体が小さいのでやりにくくはある。

殺そうと思えば【体刃】で一瞬だが、この世界で初めて出会った魔族だ。何とかして和解したい。


「落ち着け!俺は敵じゃない!」


そう言おうにも、ゴブリンの叫び声がうるさくてとても相手に届いている感じがしない。

オークも混ざって来たので、対応するのも面倒臭くなってきた。オークは見た目よりパワーがあるようで、さっきから地面が少し抉れている。そこまでダメージは負わないにしろ、あまり受けたくはない。

一番穏便な方法で無力化するしかないか。


跳躍してオークの棍棒を避け、俺は口いっぱいに空気を吸い込む。

顔をウルフの形に【変形】させて俺は思いっきり叫んだ。


「ウオォオォォォオァァォオ!!!!!」


大声なんて生温い大音響が響き渡り、俺を囲っていた魔族は動きを止める。

何体かは地面に膝をつき、口から泡を吹いているのが見えた。

成功か!?


『スキル【咆哮麻痺】を獲得しました』


スキルを獲得したという知らせが届き、俺の作戦が成功したことが分かる。今なお動きを止めている彼らはスキルの影響で身体が麻痺しているのだろう。

無理矢理とはいえ、俺の話を聞いてくれる状況を作り出した。


「聞いてくれ!俺はお前らの敵じゃない!」



スキルを考えるのが何気に大変でした。

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