4話
4話
「・・・ん」
ゆっくりと起きる。
昨日パーティーに入らないかと誘われた。
何度かあり、誘われては断る、を繰り返している。
どうしよっかなぁ。
冒険者になって4ヶ月。
そろそろ初心者も卒業。
外を見る。
まだ朝焼けの時間だ。
まずは身だしなみを整える所から始めよう。
と言うわけで、わたしは完全に起きた。
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持ち物は殆ど無く、小物をリュックに入れる。
では行きましょう。
ガチャっとドアを開けて部屋から出て、宿から冒険者ギルドへ向かう。
パーティーについて話をするために。
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冒険者ギルドまでの間で買い食いを済ませる。
これもルーチンワークの一つ・・・行儀悪い。
さて冒険者ギルドに入ってパーティー ラッキービルドを待とう。
・・・
「あなたに興味が一切無いのでここに来ないで頂けますでしょうか」
声をかけられたのでお断りの呪文を唱えてみます。
女冒険者が一人で冒険者ギルドのテーブルに居ると目立つのか男冒険者から声をかけられるのは仕方ないのだ。
仕方ないついでに声をかけてきた男冒険者の方にこっそり呪文(ルーン文字)を付与する。
何処へかと言うと、加重をするルーンを右膝と右耳 + ちょっと軽くするルーンを左の上腕筋に。
男冒険者はバランスを崩しコロンと床に倒れる。
そして、起き上がろうとしてもコロンコロンして一向に立てない状態だ。
30秒ほど堪能してから解いてあげる。
で、男冒険者は何が起こったのか解らずそそくさと去っていく。
と言う事をラッキービルドの面々が来るまで何度かやっていたら、受付のおねーさんがころころ笑っていた。
・・・
男転がし(物理)を堪能しているとパーティー ラッキービルドの一人がやってくる。
「あなた何やってるのよ・・・」
とディンブラ。
何かを転がしていた所を見られていたようだ。気にしない。
「お待ちしていました」
とスルーして答える。
スルー技術は大切だ。
ディンブラは感情の無い目で見てくるので見つめ返しておく。
「まぁいいわ。今日はパーティー加入についての話をしに来たのだけれど」
少し見つめ合ってからディンブラがそう言う。
「そうね、そこで提案だけど試練のダンジョン20層をパーティーで攻略してみない?」
「あたし達ラッキービルドはまだ20層まで行ってないのよね。あなたはもう行ったの?」
「まだ。今19層目かな。19層目まで到達したら声かけてくれない?一緒に19層目から攻略して行きましょう」
「皆に確認してからでいい?あたしの一存では答えられないわ」
「うん」
「あなた何処に宿泊していましたっけ」
「冒険者ギルドから歩いて10分位の所にあるカフェ・カップ&ソーサーよ」
「・・・そんな所に泊まっているの?」
まぁチャラい感じなのだ。
「カフェはまぁまぁ美味しいし、一泊も普通くらいだし、おしゃれだしね」
「そうなんだ」
「複数日宿泊する時のボリュームディスカウントは無いけど、連泊しても2,3日だしあまり関係ないから」
「OK.夕方にそっちへお邪魔するわ。皆の所に戻って意見を纏めてくる」
と言って、ディンブラは席を立ち冒険者ギルドを後にする。
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夕方。
わたしはその後街から出て森林浴をして、今は宿に戻っている。
コンコン!
ドアがノックされる。
ディンブラかな?
ドアへ向かい開けるとやはりディンブラが立っていた。
「カフェで話しましょうか」
とわたしが言うと
「カフェスペースで2人席を取ってるわ」
とディンブラが言う。
・・・
「2週間ぶりね」
とカフェで席を取っていた2人に声をかける。
「おう!待ってたぜ!」
とアッサム。
もう一人、ゴールはいつも通りぼーっとしている。
「さ、席について。何か頼みましょう」
ディンブラが提案すしてくる。
「ここ初めてなんだけど何がお勧めか!」
とアッサム。うるさい。
「ここはガッツリ系じゃないので、軽く食べて後で追加で何か食べてね」
と言っておく。
「肉系ならハンバーガーね。パンが美味しい。後はパスタかな。
飲み物・・・アルコールはエールやビールが定番だけど、夜はカクテルもメニューに入ってくる。」
と伝えると
「俺はハンバーガーとビール!」うるさい
「あたしはお任せパスタとコーヒーを」
「・・・葉っぱ食べたい・・・」
ゴール・・・
「すみませーん、オーダーお願いします」
「ハンバーガーとお任せパスタを1つずつ。グリーンサラダを2つ。
飲み物はビールとコーヒーとミルクティーを1つずつで、後水を1つ」
とオーダーする。
葉っぱはグリーンサラダに置換しておこう。
「お任せ系の料理って前日の余った食材をつかってるのよね」
と余計な食欲を削ぐ事を言ってみる。
「そう言うこと言わないの!」
ディンブラがちょっとイラっとしたみたい。
「運がいいと余った高級食材も使われるんだよ」
すかさず言って見る。
「そ、そう言うこと」
ディンブラはのってきた。
よし、今日は男冒険者だけじゃなく女冒険者も転がせました。
「本題だけど、今日19層目に到達したわ」
「じゃ何時いく?」
「2週間後でどう?もう少し19層目に慣れておきたいし」
「OK.」
と簡単に話しを纏めて、この件はおしまい。
本質的な部分は触れてないけどね。
なんかリーダーも放置だしね。
食事を摂って今日はこれで解散解散。
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数日後
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「ふー、10層目の魔方陣から20層目までやっぱり遠いなぁ」
試練のダンジョンの20層目ボス部屋の前で一人ごちる。
10日後に控えた20層ボス討伐の前に21層目行っちゃおうそうしよう。
めんどくさいし?
20層ボスは中級者入門的な位置付けとなる。
話しによるとハイオークらしい。
16層目からオークが出現始めたのでそうなんだと思う。
早い時間に来た事と一人で自由気ままに進めた事で11層 → 20層まで結構短時間で来れたと思う。
まだ誰もいないので休憩とファジーソードに火属性付与をしている。
準備も出来たしいきますか。
ドアを開ける。
ちょっと逞しい大きめのオークが居る。
ハイオークなんでしょうね。
ん?ハイオークの持つ剣から少し魔力を感じます。
と思ったらハイオークが剣を振りかぶり唐竹割のように振り下ろす。
スカイコートが反応して風を纏う。
その瞬間身体が後ろへ弾き飛ばされた。
ダウンはしないがダメージを受けた。
「なによそれ・・・ディ・グラビティ!」
剣と持ち手、両足にルーンを飛ばす。
ハイオークの動きが鈍る。
「グラビトンボール!」
いつも通り剣の持ち手を狙うと、ハイオークの手の甲がひしゃげ剣を落とす。
既にハイオークへ向かい駆け、火を付与したファジーソードで切りつける。
走りに合わせて殴ってきたがそれを、下段から切り上げるようにハイオークの肘に合わせる。
ハイオークの攻撃ラインは剣の柄で測りながら、ぎりぎりで避けながらだ。
まずは左腕を消し炭にする。
がら空きの脇腹に向かい脚で蹴ってきたので、前に小さく回り回避する。
両足が地に着いた瞬間逆脚に向かって飛び掛り、ハイオークの右足を消し炭にする。
これで終了だ。
「これで終わり」
ハイオークの脇腹から心臓へ向けて剣を突き立てると消滅した。
そして21層への階段と宝箱が現れる。
「いつも通りね。箱の中身もいつも通りだと残念ね」
と言いながら開けてみると・・・白い布っぽいもの、宝石2個、袋が入っている。
「布って事はクロースか何かかな。宝石はいつも通りで、袋?何か入っている」
取り敢えず回収して21層目へ向かおう。
21層へ移動してから魔方陣で地上へ戻る。
地上に戻ったらポーションで傷を回復しておきましょう。
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冒険者ギルド。
「これ売ります。あとこの布・・・服っぽいのを鑑定してください」
まずはいつも通りの事をして、換金 + 鑑定ですね。
「宝石1個10000ペコで、鑑定で2000ペコで8000ペコになります」
「はーい」
8000ペコ受け取る。
「服ですね。ワンピースかな?鑑定しますのでこちらの鑑定スペースへお越し下さい」
「はーい」
と言って鑑定スペースへ。
ワンピースかー。
・・・
少し待ってるとワンピースと鑑定結果をもってギルド職員さんがやってくる。
「前回のスカイコートも凄かったけど、この服も凄いね」
と言ってから説明してくれました。
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名称:清廉なるバトルワンピース
品質:オリジン
色:オフホワイト
説明:
防御魔法が付与された高い防御力[物理・魔法]を持つワンピース。
体系に合わせてサイズが変動する。
事故修復・クリーニング機能あり。
魅了系のスキルに耐性あり。
ワンピースなので非常に軽い。
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形はノースリーブでハイネックのミニスカートですね。
上下にインナースーツを着ているので特に気になりません。
これを着ると・・・アームガードとレガースがごっつい、、、
ロングブーツにレガース仕込んだ兼用の装備品でもオーダーしようかしら。
「ありがとうございます」
「売る気ない?高く買うよ?」
「いえ、使いたいので売りませんよ。あ、忘れてました。この袋の中身・・・白い粉?
こちらも鑑定していただいても良いでしょうか」
「残念。追加鑑定量2000ペコいただければ鑑定いたしましょう」
2000ペコ渡す。
「ではちょっと待ってね・・・ブツブツ・・・
これは!これこそ売ってもらえないか?」
「ぇ、そんな驚く結果だったのでしょうか」
「あぁ、この粉は回復ポーション緑に小さじ一杯入れて混ぜると回復ハイポーション+病気回復の効果を持つようになる魔法の粉だそうだ」
「病気も治せるんですか」
「あぁ」
「では、この粉の半分をお売りします。半分はわたしが使いますので」
「半分でもありがたい。」
その後手続きをして何と売値がこうなりました。
半分=50グラム=1回0.5グラム × 100
0.5グラム=10万ペコ × 100 = 1000万ペコ
病気を治すポーションなんて無かったので、今回の発見が初となったようでこの値段がついたとの事です。
いいものが手に入りました。