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2話

2話

「・・・ん」

ゆっくりと起きる。

指に嵌る指輪を見る。

あれから1ヶ月程経つけど指輪が外れないだけで何も起きない、発生しない。

ただ外れないだけ。

「これどーしよっかなぁ・・・」


外を見る。

まだ朝焼けの時間だ。

まずは身だしなみを整える所から始めよう。

と言うわけで、わたしは完全に起きた。


1ヶ月の間で何かがあった訳でもなく、淡々と依頼を受けこなし今まで何とか生きてきたのだけど、変わり映えの無い日々を送っていた。

ラッキービルドとも何度かご一緒(依頼処理)もしていた。

ダンジョンにも行ったりしていた。

「今日は何をしましょうか」

少し考える。

何も思い浮かばない。

「よし、たまにはダンジョンにでも行ってみましょう!」



-----


ダンジョンへ行く前に身だしなみチェック。

持ち物は殆ど無く、小物をリュックに入れる。

では行きましょう。

ガチャっとドアを開けて部屋から出て、宿からダンジョンへ向かう。

行き掛けに果物とパンを買い、食べながら移動です。

ルーチンワークね。


-----


ダンジョンまでは徒歩で4時間程。

歩いていっても仕方が無い(だるい)ので、ダンジョン行きの乗り合い馬車がある冒険者ギルド付近の馬車乗り場へ向かう事にする。

馬車なら1時間かからない位です。


・・・


ダンジョンまでの移動は特に何事も無く無事に到着しました。

一人ですが朝一番早い便だったためか殆ど人がいません。

混む時間帯に帰れればいいかなぁ。

道中は人とすれ違う事も無さそうです。


ローゼンタールから一番近い所にあるこのダンジョンは、試練のダンジョンと言われており全50層との事。

5層おきにボスが居るらしい。

10層ごとに外と繋がる転移魔方陣があるらしい。

普通のダンジョンは日によってランダムにモンスターが各階層に配置されるため、1層目に強力なモンスターが出る場合もあるとか。

ボスの位置は変わらずで5層毎だったり10層毎だったりするぽいけど、この試練のダンジョンは浅層が弱く深層へ進むにつれてモンスターが強くなっていく。

そのため、初心者冒険者の練習場になっていたりすると。

ローゼンタールはその恩恵を受け冒険者のための都市だったりするそうです。


1層目

ダンジョン一層目は何も出ません。

これは冒険者が入るたびにモンスターを狩る事と、保全の為に1日一回掃除されているらしいとの事。

なので2層目へ移動します。


2層目

モンスターはスライムとレッドスライム、まれにグリーンスライムが出るらしい。

この層で試したい事があるのでスライムを探す。

ここ1ヶ月で重力操作のルーン魔法がこなれて来たので、スライムを重力操作で倒せるか試して見たい。

フラフラ歩いているとスライムを発見。

「グラビトンボール!」

スライムに向けて重力場を圧縮させるイメージでルーン魔法を付与してみる。

するとスライムは圧縮された重力に吸い込まれる形でグラビトンボールごと消滅した。

「やった成功!」

喜ぶのも数秒。

スライム以外でも試して見たいので3層目へ向かいましょう。


3層目

モンスターはグリーンスライムとウッドマンと言う歩行する木のモンスター、たまにゴブリンが出るらしい。

前に来た時はここまで来て帰ったので、今日は更に下へ行ってみたい。

この層で一人でどれ位できるかを確認してから4層目へ行くかを考えようそうしよう。

まずはグラビティを使いながら剣で倒せるかを試して見よう。


暫く歩いているとウッドマンを発見する。

ウッドマンも発見したようでこちらに向かってくる。

「グラビティ」

進路上にグラビティのルーンを設置し、こちらも歩いて向かう。

ウッドマンがグラビティにかかった瞬間走って胴を切りつける。

走る速度と体の捻りの力を剣に載せ一気に切りつける。

ウッドマンは両断され消滅する。

「この層は1対1なら大丈夫そうね、1対5でもグラビティを使えば何とかなりそう」

次はグラビティボールを試して見ましょう。

そして、またふらふらぁと歩く。


丁度良く4層への階段付近でウッドマンがグリーンスライムを頭に載せている状態で発見する。

「2段構えですか・・・しかし大差はありません」

「ディ・グラビトンボール!」

2つのルーンを発動させる。

1つのルーンがグリーンスライムの内側に付与され、もう一つのルーンがウッドマンの足に付与される。

その瞬間、圧縮された超重力のボールがグリーンスライムとウッドマンの頭ごと消滅させる。

もう一つはウッドマンの足を消滅させる。

「あれ、ルーン1つで良かったようで。でもウッドマン・・・木も消滅できるみたいですね。これなら。4層目へ行って見ましょう」


4層目

初めての4層目です。

まずは情報収集から始めましょう。

でも、やる事は変わらない。

ふらふらぁと歩く。

スライムを発見。

「・・・4層目はスキップしましょうか」

と言って5層へ向かう階段を探し始める事にしました。

当然発見したスライムはグラビトンボールで処理しておきました。

5層への階段を見つけるまで2回ほどスライムらしきモンスターを発見したので、4層目はスライムフロアで確定ですね。


5層目

5層目に降りるとゴブリンを早々に発見しました。

初ゴブリンです。

武器は鉈を持っています。

「グラビティ!」

こちらに向かって走ってきていたのでグラビティで動きを止めます。

そして走りながら剣を振るうとゴブリンは消滅しました。

鉈も消滅したので、実は幻なのかダンジョンのモンスターは消えてしまうようです。


探索しながら歩いているとドアを発見。

5層目にボスが居る事を思い出す。

「ここがボスの部屋かな」

と言ってドアを開けて見る。

部屋になっていた。

中には一回り大きいゴブリンが居た。

武器は少し長い棒だ。

!!!

「グラビティ!」

こちらに向かってこようとしたので咄嗟にグラビティのルーンを発動する。

今までと違い若干スピードが落ちた程度だったため、直ぐに間合いを詰められてしまう。

棒を横殴りに振ってきたので剣で受け止める。

ガッ!

体重が軽いせいか少し身体が浮いてしまう。

「くっ、グラビトンボール!」

ゴブリンの持ち手を狙いグラビトンボールのルーンを発動する。

やはりルーン魔法の効果が薄いのか指が砕ける程度の効果しかない。

が、棒は半分消滅する。

狙い通りだ。

だが、棒を失った怒り狂ったゴブリンが殴りかかってくる。

そこへ殴りかかってきたゴブリンの腕に剣を突き立てる。

そして流れるよう剣を引き抜きゴブリンの突進力を利用して続け様にゴブリンの胸=心臓に剣を突き立てる。

そのままゴブリンは動きを止め消滅していった。


部屋の奥で音がして6層へ降りる階段が現れていた。

階段の前に宝箱だ。

「あ、宝箱。罠あるのかなぁ・・・」

当然罠を解除するスキルを持っていないので諦めて開ける事にする。

自重はしない。

宝箱を開けると、宝箱の底に剣が刺さっていた。

何これ新しい。

気になったので剣を引き抜かずに宝箱を持ち上げて見ると剣は刺さっていないように見える。

「え、何これ。もしかして剣の柄の部分だけ?」

やけになって、剣の柄以外の宝箱の中身を全て回収して、剣の柄を倒そうとすると倒れない。

「え、何これ。実は件の柄に見えて宝箱の一部ってオチ?」

少し呆れてしまっていた。

そう言えば普通に引き抜くと言う所作をしていない事に気がつき引き抜く動きを取ってみる。

「ぇぇぇ」

普通に引き抜けて刀身もあった・・・口に剣を入れる大道芸人を思い浮かべてしまったので剣を地面に刺して見ようと思う。

音も無く刺さった?うーん、良くわからないので抜いてみましょう。

抜くと刺さった跡があるので変な造りにはなっていないようです。

ここで初めてよく刀身を見ると一般的なブロードソードより少し長くみえます。

ほんのり魔力も纏っているようで、なかなか良い武器を手に入れたかもしれません。

問題は鞘が無い点ですが・・・

と階段の方を見ると宝箱が無くなり鞘が落ちている。

「もしかしてこの鞘は」

剣が綺麗に鞘に納まる。

ボスを倒すよりこの一連の騒動?(個人的な)の方が疲れた、、、

階段を降りよう。


6層目

もう昼過ぎになっていそうなので、ここでランチを取りましょう。

安全を確認してから携帯食を摂り水分補給をする。

ここで剣以外の手に入れた物を確認してみる。

5層では手に入れた剣にくびったけだったのだ。


まずは紙束・・・何枚かは魔方陣が書かれています。

ルーン文字ですね。

読んで見る。

-----

属性魔法が羨ましくなる事があると思う。

そんな人向けの一品を創ってみた。

今手にしているキミもそのクチだよね?

そうだよね?


つくりは至って簡単だ。

同梱されていた剣を媒介にするだけだ。

この剣は生活魔法で使う火や水、風なんかを100倍に増幅して攻撃に使う事ができる。

是非使いこなして欲しい。

使用条件はルーン魔法を使いこなしている事。

取説は次の紙に書いてある。

では楽しい属性ルーンライフを。

あぁ忘れていた件の名前はファジーソードだ。

-----

取説には属性増幅魔方陣をルーンで起動し、並列で付与のルーンを起動し、属性増幅魔法を付与ルーンで定着させると言うもの。

付与時間は24時間できれる。

付与できるのは1属性のみ。

属性増幅魔法付与中の剣に対象となる生活魔法のルーンを付与すると、選んだ属性の魔法剣が出来上がると言う事だ。

普段は無属性でちょっとだけ魔法強化されている状態らしい。

普段の状態であれば単純に高品質武器が手に入ったと考えればよい。

「これは便利ですね。いいものを手に入れました」


次は宝石×2個。

何か付与されているのか魔力を探ってみましたが何もなさそうです。

ただの宝石のようなので売ってしまいましょう。


最後に指輪・・・またかー

今回は絶対に嵌めない。

外れない指輪が既に2つ指にあるし。

帰ったら鑑定をお願いしよう。


では6層を探索していきましょう。


・・・


ここからは出てくるモンスターに変わり映えが無いため、10層目まで端折っちゃいますが、属性剣を9層目で試したらその威力に唖然となりました。

さすが増幅率100倍。

火の範囲が100倍ではなく、火の温度が100倍のようで剣先の温度が超高温になっています。

鞘に入れると魔法が抑えられ安全になりました。

と言うか、火が熱すぎます。


10層目

火の属性がついたままなのでここのモンスターもボス含めてモンスターの体の中心に触れれば消し炭にできるはず。

と言うわけで、ファジーソードを最初から抜いて一気に駆け抜ける事にします。

道中モンスターを消し炭にしつつボス扉に到着。


疲れを取るために休憩しつつボス戦に向けて準備をしていると、入り口の方から1つのパーティーがやってくる。

「あんた、これからボスと戦うのか?」

と声をかけてくる。

男2×女2の色恋沙汰で揉めなさそうなパーティーだ。

まぁ色恋沙汰なんて今まで経験無いんですけどね。

少し話しをするとこのパーティーはこんな感じ


リーダーはシュバインシュタイガーという名前で水系と風属性系の精霊術士の男性。

前衛として体を張るのはフィフィアネ、脚を使うタイプぽい。武器は剣の闘士の女性。

前衛その2はテンビ、彼女も脚を使うタイプぽい。武器は槍の闘士の女性。

回復を担うのはアダム、盾を片手に持つ薬師でアーチャーの男性。


定番ですがバランスの取れたパーティーのようです。

どうもこの層のボスは火に耐性があるようで今のわたしとは相性が悪いみたいでした。

一緒に戦って見ないか?と提案されましたがどうしましょうか。

と、悩まず提案に乗ることにします。

楽に10層を越えられるのであればそれに越した事はありませんので。


「ここまで一人できているのでそれなりに出来るんだろうけど、剣を持ってるし前衛でいいかな?」

と確認してくる。


「前衛が2人いるのでルーン魔法でのサポートに回ろうかと思います」

と答えると、


「ルーン魔法?何ができるの?サポートって事は攻撃魔法でもないだろう?」

「そうですね、重力操作ができるので若干ボスの動きを遅く出来ます。武器を持つ手を攻撃のルーンで狙うと武器を落とせるかもしれません。

 その後は前衛として攻撃をしていきます、で如何でしょうか」


「・・・OK最終的に前衛って事で。じゃ行こうか」


さっそく扉を開けてボスを見ると豪華なゴブリンだった。

「ゴブリンキングかっ!倒さないと出られないぞ!作戦変更!長期戦で防御回避を優先してくれっ!アダムは2人を支援してくれっ!」

と言って、リーダーは魔法詠唱に取り掛かる。

わたしは・・・

「ディ・グラビティ!」

片足に2つのルーン魔法を付与し、計4つ発動する。

若干ゴブリンキングが遅くなる。

「ディ・グラビティ!」

続けて腕にも同様に4つ付与する。

腕が重そうだ。

これでやっと互角。

ゴブリンキングの動きが少し遅くなったため、素早い前衛の2人は攻撃を避けながら切りつける。

2人の武器による攻撃は豪華ゴブリンの筋肉を通す事ができない。

わたしも剣を抜いて前線に参加する。

リーダーの魔法詠唱が完了して風の魔法が豪華ゴブリンを切り刻もうとする。

が、なかななか効果が生まれない。

相性が悪そうだ。

私は関節稼動部を狙って攻撃をするが、豪華ゴブリンの豪華防具に阻まれる。

お互い決め手に欠けるため本当に長期戦となってしまった。


・・・


30分以上戦っている。

パーティーメンバーに疲労が溜まりつつあった。

スタミナは豪華ゴブリンが上。

「グラビトンボール!」

豪華な防具を狙ってルーンを付与する。

防具は魔法防御が高いのか効果が現れない。


・・・


1時間近く戦っている。

全員疲労困憊気味になっており、前衛は休憩しながらローテーションになっていた。

「属性が火ならもう少しダメージが出せるんだが・・・」

とリーダーが言う、って火属性耐性持ちじゃないの???と思い


「火属性耐性持ちじゃなかったの?」

と聞き返してみると


「あー、いつもなら火属性耐性持ちのレッドゴブリンって奴なんだが、レアボス引いたみたいなんだ!」

と返ってきた。

「それ知ってたら、こんな苦労しなくて良かったの!」

と返して、ファジーソードを抜く。


熱い。

そのまま豪華ゴブリンの鎧の隙間を狙って剣を繰り出す。

やはり体に触れた所から消し炭になるので徐々に豪華ゴブリンを削っていく事に成功する。

豪華ゴブリンの動きが若干遅くなっているので、攻撃を避け、懐に入り剣を繰り出し、直ぐに退避するヒットアンドウェーで攻撃する。

「もうこの豪華なゴブリンも満身創痍ね」

「ゴブリンキングだって」

とリーダー。

どっちでもいいので黙って最後の攻撃を繰り出す。

脇の鎧の隙間からファジーソードを突き立てると豪華ゴブリンは消滅したのだった。

「やっとかーっ!」

とリーダー。

パーティーメンバーが各々に「疲れたー!」と言う。


「宝箱」

と言って宝箱に向かうと、皆も近寄ってきた。


「開けましょう」

と言って開けようとすると、アダムが


「ちょっと待ってください。罠感知をかけます・・・(ブツブツ)・・・罠はないようですので開けても大丈夫です」

Goサインが出たので早速開けてみる。

箱を開けると皆が寄ってくる。


「中には5つ入っています」

・上部鎧

・剣(剣の柄状態)

・青色の丸い宝珠

・綺麗に折り畳まれた布(白)

・綺麗に折り畳まれた(アクアマリン)


あー、また剣の柄・・・剣よね。

と思い、剣を引き抜く。

「ぇ!?」

と声があがりました。

やっぱりそう思いますよね。

それぞれ欲しい物を意思表示すると綺麗に分かれたので、欲しいものを感じ取って出てきたのかな?と思いました。


因みに宝箱の中身はこんな感じでした。

・上部鎧 → 過度な露出も無い綺麗なラインが出る鎧で、魔力を感じる。フィフィアネ

・剣(剣の柄状態) → 魔力を纏ったレイピア。

・青色の丸い宝珠 → 実は杖でした。魔力を感じる。シュバインシュタイガー

・綺麗に折り畳まれた布(白) → 白いローブで聖職者っぽい雰囲気。魔力を感じる。アダム

・綺麗に折り畳まれた(アクアマリン) → 外套。魔力を感じる。ローズペタル


「私はこれで戻ります。有難うございました」

「ありがとな。俺達だけだったら全滅してた。縁があったらまたパーティー組もうぜ」

とリーダー。

思い思いに分かれの挨拶をしてわたしは魔方陣を使い地上へ戻る。


「ふー、疲れましたね」

でも今回は大きい収穫があったので満足です。

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