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プロローグ


「こんにちは! 今日はジョブ更新でしょうか?」


セミロングで後ろを赤いひらひらで団子結びをする、金髪の20代前半のぴちぴちギャル風の受付嬢はマニュアル通りにこやかに尋ねる。毎回きゅんきゅんしてしまうんだが.......。


「あ、はい、ジョブ更新で」


俺はここの異世界に飛ばされて、約2年弱が過ぎている。何かここの王が伝説の勇者を呼ぼうとしたが、詠唱を一文字間違えた事に俺が呼び出された。

某ネットサイト通販で注文ミスをしたかのように、王はすぐ俺を元居た世界に返品しようとしたが......出来る訳ないだろ。「あ、ごめん! 間違えちゃった、テヘッ」じゃねーわ。いい歳した国のおっさん、若い子ぶるなって話だ。


で、結局戻らずじまいの俺は仕方なく、この世界で暮らす事にした。王は今回の件のお詫びを兼ねてと言い「好きな職種に就いていいからネッ!」どうしても若さを取り入れてたいのか、そんな口調で許しをこうとする。正直、王を1発ぶん殴っても良かったが、ここでは王が一番偉い、どのみち王には世話になるかも知らないため、それで許した。


.....思い出すだけで、怒りが込み上げてくる。


「えーっ、ご確認しますね。佐久間裕一郎さんですね! 現在のジョブは:ニート........ですね! ご変更等はされますか?」


金髪受付嬢が一言一句話すたびに、揺れる柔らかそうな唇に、髪の毛一本一本に命が吹き込まれてるかのような、しなやかに動く髪の毛。最大の大人の力を見せつけられ、いつまにか怒りが沈んでいた。胸は見たくても見れないけど!(一度見たら、裏に連れてかれ半殺しにされました)


「えと、今回も継続で"ニート"でお願いしたいのですが」

「本当に大丈夫ですか......? 違う職種の方が宜しいかと」


セリナさんは僕の為に気を遣って心配してくれる。なんと優しい人なんだ!

一つ誰しもが、疑問に思うこと。それはこの世界には"ニート"と言うジョブがある。

これを聞くと必ず思うのが、社会不適合者であり、仕事では無いのでは?

と、疑問に思う諸君。この世界では立派な仕事として認定されている。


『ジョブ「ニート」どの役職よりも自由度が高い。そして毎月200万Gを支給する代わり、国王に身の危険が感じたとき自身が身代わりにならないといけない』


さらに簡略化すると、王死ぬぞー!ってなったら俺が犠牲になるって事だ。

この世界には100年近く魔王の侵略は無く、ずっと平和が訪れている。だから俺はこれを選んだ。俺が死ぬまで毎月働かずしても200万の大金が手に入る。

こんな楽な仕事他には無いねー!


「あ、はい! このままニートで継続お願いします!」

「では、最後に聞きますが。今継続したら、一年間は()()()()()()()()()()()()()()宜しいでしょうか!」


そんな険しい顔しなくても。

あーっ、はいはい分かってますよ!1年に1回あるジョブ更新は怠いから、いっそのこと永遠にニートでいいのに。


「OKです! 何があっても変えま–––」


ドゴォォォォォォオオオオンン!!


俺が今居るギルドの正面にはデッカい大通りがあり、出て右に曲がりしばらく歩くと王が住む城がある。


激しい轟音と砂煙があたり一体を襲う。

この周囲の建物はすごい損傷を受け、ガラスは砕け散り、破片が俺たちに擦る。


「今、城の方から出したよね.....」

「ハイ!!」


セリナさんはカウンターの下に隠れていながら、その言葉がハッキリと聞こえた。

流石に俺は焦る。


「やっぱ、ジョブチェンジで!!」

「先程もお伝えしまように、()()()()()!」


カウンターから出てくるや「無理です!ニコっ」と言いマニュアルでの笑顔より、こっちの方が自然で可愛い。その笑顔が余計に恐ろしい。


「魔王の襲撃だーーっ!! 佐久間はいるかーっ!」


衝撃の余波がある程度収まったと思いきや、騎士団の兵長かと思われる男が俺を探しまわる。


完全に俺、終わるパターンや。

俺はギルド内に倒れている本棚を背に、兵長からの死界に消える。

そんな中、セリナさんは俺に冷たい視線を送る。


(頼む、協力してくれーーっ!)


口を大きく動かし、セリナさんに見逃してもらおうとする。


「佐久間ーっ!」

「あ、兵長さん! ここに佐久間居ますよ!」

「えええーっ!! せ、セリナさぁーん?」


兵長は崩れた柱などを掻い潜り、こちらに「何してるんだ?」と疑問を問いかける。


「あーっ、暴風で隠れました」

「王が君を読んでいる」

「え、いや、あ、あの、お腹痛いなーって。テヘッ」

「おい、いくぞ」


兵長は無理矢理首根っこを掴み、まるで猫のように王城へと連れてかれる。


「いってらっしゃーい!」


セリナさん.....元気に手振りはいいから。さっきみたいに心配して。ぐすん


俺はそのまま王城へ連れてかれ、王の身代わりとして、俺は命を絶った(?)


–––俺は、何が何でも好きな人のために生き延びてやるからな!!みてやがれ、ばーか、バーカ。

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