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2-28 我、ただいまなのじゃ

体調不良で二日ほどおやすみしてしまいました。

申し訳ありません。

《ゴブリン戦車は 仲間を 呼んだ》

《配下ゴブリン D があらわれた》

《どうする?》

《 たたかう》

《 ぼうぎょ》

《 どうぐ》

《→にげる》

《ざんねん ボス からは 逃げられない》

《笑う》

《仲いいなお前ら》

《いやあ、ボスが仲間を呼ぶのは卑怯やろう》

《雑魚を無視して、ボスを殺せばええんやで》

《おっと、あいつらもそれを狙うみたいだな》



「ちっ、元通りかよ」

 吐き捨てるように野火は言う。


「頭をやるしかない、か。……やれるか?」

 ゴブリン戦車に対して盾を構えながら、四方山は林音をちらと見やる。


「任せときなって。四方こそしっかりアイツを止めるんだよ」

「ふん」

 林音の言葉に、四方山は軽く鼻を鳴らして答えた。


 四人が目配せする間に、ゴブリン戦車も準備は整ったようで……、


「「「ごっぶっぶっぶっぶっぶ」」」


 配下ゴブリンはうなりながら、足を地面へと打ち付け――、


「ゴッブーー」


 振り下ろされた指揮棒と共に、戦車は走り出す。

 それに対し四方山は、今度は真正面から受け止めるようにして盾を構えた。


「うぉおおおらあぁぁああ」


 ――一瞬、衝撃音と共に戦車が止まる。


「野火、手を貸して」

「おうよ」


 駆け出した林音は、野火の構えた両手を、そしてそのまま四方山の肩を足場にして、宙へと飛び上がった。


「あたれぇぇ」


 宙を舞いながら放った一射は、騎手ゴブリンの肩に当たり――、


「もういっちょ」


 勢いそのままに、騎手ゴブリンに足を引っかけるようにして、ゴブリン戦車の上に降り立った。と同時に――、


 ――ビギリ。


 四方山の持つ盾から破滅的な音が聞こえる。


「ちっ、限界だ。後は任せた」


 四方山は後ろに飛ぶようにして、ゴブリン戦車の射線から逃れる。行きがけの駄賃にと斧を横に振るが、それは車輪のトゲに弾かれた。


 ストッパーを失ったゴブリン戦車は、再度、一直線に前へと進む。

 だが、その間に戦車上での戦いは決していた。

 騎手ゴブリンを戦車の床に押さえ込んだ林音は、肩に刺した矢をむりやりに引き抜き、それを騎手ゴブリンの眼窩に差し込む。


「ゴビュ」


 呻くゴブリン。その身体を蹴り込むように飛び上がった林音は、その足でもって再度矢をゴブリンに打ち込む。


 ――ビクン。

 身体を震わせ、騎手ゴブリンは絶命した。


 それを確認した車上に立ち、眼下を見下ろす。


「さて、次はお前達だよ」


 林音には目もくれず、一心不乱に戦車を押す配下ゴブリンに向け、ギリと弓を引き絞る。

 そうして矢を放とうとした、その時だった。


「――ダメ、林音。降りて!」

 風花がペンを止め叫んだ。


 一瞬の逡巡――。

 林音は逃げるようにして戦車から飛び降りた。その判断が林音を救った。

 暗闇の中に消えゆくゴブリン戦車。飛び降りる際に暗闇に触れた林音の髪が、すっぱりと断ち切られてたからだ。


「あっぶな。もっと早く言ってよ」


 半ばで切られた自分の髪を見ながら、林音は他の三人の元に駆け寄る。


「ん、ごめん。間に合ってよかった」

「いや、いいって。それより鑑定終わったんでしょ? あいつらが戻ってくるまでに聞かせて」


 林音の言葉に、風花はこくりと頷く。


「あ、でも……。先に回復ちょうだい」


 風花は野火に向けて手を差し出す。その手に、「ほらよ」と野火は青色の水鉄砲を差し出した。


「ん、ありがと……」


 風花は水鉄砲に【風花】と書いた付箋、そして【生物→無生物】と書いた付箋を貼り付け、その水鉄砲をひび割れた四方山の盾に対して打ち出す。

 すると、ゆっくりとだが盾のひび割れが修復しはじめた。

 そうして何度も盾をぷしゅぷしゅと水鉄砲で撃ちながら、風花は手にしたノートを読み上げた。


「まず最初。暗いところに行ったら死ぬ……。戦えるのは光があるところだけ、気をつけて」

「無茶苦茶だね。まあ実感したけど」


 林音は切られた髪を、未練がましく見ながら答えた。


「次。あれの種別はゴブリンじゃなくてアーティファクトだった。だから、戦車が本体。ゴブリンをいくら倒しても復活する。それを繰り返して倒すことも出来るみたいだけど、時間かかる。戦車を壊した方がいい」


 ゴブリン戦車の走り去った先を見つめながら、風花は淡々とつぶやく。

 その視線の先で「ごーっぶっぶ。ごーっぶっぶ」と叫ぶ声が聞こえる。

 そうして再びあらわれたゴブリン戦車の車上には、騎手ゴブリンが復活し、指揮棒を振り回していた。


「弱点は火。毒とか麻痺とかは効かない。あ……、でもスロウは効く、よ?」

「あ? さっきゴブリンに掛けたけど効かな……、いや、そういう事か……」


 視線を向けられた野火はガリガリと頭をかくと、右手に持った加圧式の水鉄砲を風花に差し出す。


「戦車が本体、だったな。風花、すまねぇがもう一回頼む」

「ん」


 風花は頷くと、差し出された水鉄砲に【速く→遅く】と書かれた付箋を貼り付けた。

 それを見て、四方山は大きく頷く。


「準備は整ったようだな。もう一度一回目と同じ手はずで、林音は矢を変えておいてくれ」

「わかった」


「「ごっぶっぶっぶっぶっぶ」」


 うなり声を上げた配下ゴブリンは、騎手ゴブリンの指揮の下、再度戦車を発進させる。

 それは一瞬にしてスピードに乗り、四方山に向けて駆け出した。


 ――ゴゥン。

 瞬く間に差を詰めた戦車は四方山の持つ盾と衝突する。


「ぐぅうおおおぉぉぉらぁぁあぁ」


 雄叫びを上げた四方山は体をコマのように回転させ、戦車の軌道をそらした。

 横合いから水鉄砲を構えた野火が抜け出し、それを戦車(・・)にむけて噴射する。


 ガクンと戦車のスピードが落ちた。配下ゴブリンも含め。ゴブリン戦車全体の動きがスローになる。

 それを確認した野火はニヤリと笑うと、林音に向けて声を掛ける。


「次、行くぜ」

「ああ」


 林音の声を耳の端に聞きながら、野火は今度は左手に構えた水鉄砲を噴射。

 それにあわせて林音も矢を放つ。


 ――カンッ。


 戦車の金属部分に弾かれた矢は、そこで火花を散らし――、

 ――瞬間、野火の掛けた水を火元に、ゴオとばかりに戦車は燃え上がった。


「近い!」


 追撃をしようと斧を振りかぶっていた四方山は、あまりの火の勢いに慌てて飛びすさる。

 数瞬の後、元の動きを取り戻したゴブリン戦車は、その身体を燃やし、所々を炭化させながら暗闇の中へと駆けていった。


「近すぎだ。もう少し離れてから燃やしてくれ、二人とも」

「すまねぇな」

「ごめんごめん」


 四方山は苦情を口にするが、二人に軽く流される。

 肩をすくめた四方山は、今度は風花に対し「残りは?」と声を掛ける。


「ん、残り四割切った。火がすごく効いてる」

「そうか、じゃあ次も同じ調子でいくか……。もちろん、もう少し離れてから火を放てよ」


 釘を刺す四方山に、野火と林音は軽く答えた。


「わかったよ」

「ま、相手が同じ手できたら、だけどな」


「ごーっぶぶぶ。ごーっぶぶぶ」

 暗闇の中にゴブリンの声が響く。


 その時、分割された画面の方に動きがあった。


「我、ただいまなのじゃ」


 モナが帰ってきたのだ。モナはギンガムチェック柄のワンピースを着て、その手には扇子を手にしていた。



《おかー》

《おかえりー》

《おー、かわよ》

《服、着替えたのか。ういうい》

《小物まで装着しておる》



「むふー。我、お洒落にも気を使うレディーじゃからな。もっと褒めるがよいぞ」


 頬を緩めるモナ。だが現実が突きつけられる。



《レディ? (Tシャツ短パンを見ながら)》

《レディは、部屋着も油断しないはず》

《いや、狩りに油断した部屋着であろうとも、それを誤って公開しないはず》

《うーん、結論。モナちゃんはレディ未満》



「うっさいわ。我は一人前のレディじゃ」

 モナはふんすと息を吐いた。



《一人前は、自分で一人前って言わないんだよなぁ》

《しっ、言ってやんな》

《それよりモナモナ~。さっき去り際にライブって言ってたけど、今まさにこの四人はボスと戦闘中って事~?》



「ん? うむ、そうじゃぞ」


 モナはウスベニから渡された資料を手に取った。


「ふむ……。おお、相手はゴブリン戦車か。こやつら、ハズレを引いたのぉ」


 モナのつぶやきにコメント欄も反応する。



《ハズレっていう事は、他のボスのこともあるのか?》

《それもあるだろうけど、ハズレって事は強ボスって事だよな》

《仲間無限呼びとか、そりゃそうだよなぁ》

《モナちゃん、もうちょっと加減してやって》



「何を言うか。ボスじゃぞ? 強くてなんぼじゃろう」


 モナは閉じた扇子で、ぽんぽんと手のひらを打つ。


「それにあのゴブリン戦車は、弱点が他の魔物に比べて弱い代わりの強さなのじゃ。釣り合いは取れておるはずよ」



《それならいいの、か?》

《逆に言うと弱点を突けないと、そうそう倒せないって事じゃん》

《弱点かー》

《ノマルン、ステイな》

《お、おう》



「まあまて、皆まで言うな」


 モナは手をパッと広げて、流れるコメント欄を止める。


「そなたら、どうせ弱点を教えてとか言うつもりじゃろう? 残念、残念ではあるがそれはできんのじゃ」


 モナは大仰に首を振る。



《お、おう》

《そ、それなら仕方ない》

《せやな》

《あ、ああ……》



「む? そなたら、やけにおとなしいな……」


 ふむと顎をひとなで、モナは頷く。


「そうじゃな……。殊勝なそなたらに免じて、ゴブリン戦車が倒されたら弱点を公開してやろうではないか」


 モナは扇子でもって画面をぴっと差す。


「まあ、倒すことができたならば、じゃがな。くっくっく、はーはっはっは、あー……」


 のけぞり笑うモナ……。だがその動きは途中で固まった。

 暗闇の中からゴブリン戦車があらわれたからだ。


 そのゴブリン戦車は焼け焦げ、半壊していた。


「な、なんでじゃーーー」


 モナは画面に向けて扇子を投げつけた。

皆さんお気づきでしょうが、ストックが切れており自転車操業状態です。

今後は一日おきの更新になると思います。

申し訳ありません。


ストックが増えてきたら、また更新日を増やしていきたいなと思います。

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