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15.我、トモダチを得る

すみません、昨日更新し損ねてました。

変な時間ですが、あいたので急遽更新します。すみませんでした。

「うぅ。痛いのじゃ」


 そう言いながらモナが画面に姿を現したのは、しばらくしてのことだった。

 頭には赤くなった額を冷やすように、ウスベニが乗っかっている。



《ウスベニちゃん、冷却シート扱いかよ》

《万能すぎへん?》

《やはりスライムは万能説》

《迷ちゃんも余計なことしなきゃよかったのに……》



「うるさいわい。ちょっとお茶目な失敗をしただけじゃというのに、何という言い草じゃ」


 モナはコメントに対し一喝する。が――、


「あいたたた」


 大きな声が響いたのか顔をしかめた。ウスベニがふるふると身体を震わせ、額をなでている。


「おお、すまぬのぉ。やはり頼りになるのはウスベニだけじゃ」



《お茶目だろうが何だろうが、モナちゃん失敗多過ぎ何だよなぁ》

《そこがいいんだけどな》

《ウスベニちゃん頼りになるって……、昨日あったばかりじゃね?》

《しっ。ウスベニちゃん以外に友達いないんでしょ》

《なるほどな、モナモナ涙拭けよ》



 茶化すコメント欄に当然モナは憤慨する。


「だー。そなたらみたいなボッチと我を一緒にするでないわ」



《ぐっは》

《やめろ刺さる……》

《ち、違うよ。ちょっとコミュ障なだけだよ》

《いや、確かに俺たちはボッチだ。そこは認めようじゃないか》

《……こいつ、開き直りやがった》

《同じにしないで欲しいなぁ》

《ええい、高等遊民は黙ってろ》

《だけどなぁ。モナちゃんだって同じだろう。俺たちと同じでボッチじゃん?》

《ソ、ソウダソウダー》



「だから違うと言うとろうが―。だいたい、まず我にはウスベニがおる。その時点でそなたらとは違う」


 額に乗っかっていたウスベニを持ち上げ、モナは自身の前に置いた。


「のう、ウスベニ。そなたは我の心の友じゃものな」


 その言葉に同意するように、ウスベニはぷるぷると身体を震わせた。



《うーん、ジャイアニズム的展開》

《心の友 (強制)》

《明らかにウスベニちゃんがモナちゃんに合わせているんだよなぁ》

《生まれて1日なのに、大人な対応。モナも見習ったら?》

《モナモナは子供だからなぁ》

《そこがいいんだけどね。じーーーー》

《どこを見てるんですかねぇ》

《身体的特徴の方じゃねぇよ。いやそっちもそうだけど》

《それだと母上も子供になっちゃうだろ》

《母上、背は高かったな》

《背、高いの気にしてそう……。ふぅ(虚脱)》

《なんで虚脱したんですかねぇ》

《いわせんなよ、恥ずかしい》

《これ、いいのか?》

《………………》

《おい、やめろよ》

《沈黙やめて》

《判決はいかに》

《………………せーーーふ》

《セーフかよ》

《ギリアウトよりのセーフ? かな》

《見たか、俺のコーナリングテク》

《ふぅぅぅ、さすがの溝落とし》

《いつも思うが、あれタイヤ壊れるて》



 そんなコメント欄を、モナは口をとがらせてみていた。跳ねた黒髪も、心なしかへんにょりしている。


「あやつら、また我を放って盛り上がりはじめたぞ。ま、まあ、そなたがいればさみしくは無いんじゃが。ないんじゃが……」


 モナがツンツンとウスベニをつつくと、ウスベニもモナを励ますように、大きく身体を伸び縮みさせた。



《おいーー、モナちゃん寂しガールになってんじゃん》

《またいじけ虫になっちゃうだろー》

《ぼっちだとまわりで盛り上がられるとついて行けなくなるんだ、わかるー》

《うん。口を挟みたいけど挟めなくてもじもじするよね》

《なんか、口を挟んで変に沈黙が訪れたら怖いから口を挟めない》

《ぼっち共通の悩み》

《ほーーん》

《適当に話しかければいいやん》

《滑ったら滑ったやん》

《くそっ、このコミュ強者共め》

《こいつらとは話が合わない》

《だいじょうぶ、モナちゃんこっち側だから》

《ぼっちの会の会員だから》

《むしろ名誉会長だから》



「だーーー!」


 モナの髪が跳ね上がる。


「だから我はぼっちでは無いと言うとろーがー。我にはこのウスベニがおる」


 そう言って、しっかとウスベニを抱きしめた。



《逆に言うとウスベニちゃんしかいないんだよなぁ》

《寂しガールはぼっち会員とニアリーイコールなんだよねぇ》

《それにウスベニちゃんってモナちゃんが召喚して呼び出したんでしょ》

《召喚……、つまり雇用関係》

《モナちゃんがトモダチ料を払う関係?》

《ウスベニちゃんとはお金だけの関係だった!?》



 途端にモナはオロオロとし始めた。


「ち、違うよな。ウスベニは我のトモダチよな」


 モナの眼前へと持ち上げられ、その朱い瞳で見つめられたウスベニは、モナの言葉を肯定するように身体を前後に揺らした。

 それを見てモナも、鬼の首でも取ったかのように勝ち誇る。


「ほらー。ウスベニもこう言っておる。やはり我はぼっちでは無いのじゃ」


 モナはウスベニを抱き寄せ、頬ずりをしながらなおも言いつのる。


「それにじゃな。我のともはウスベニだけでは無い、他にもおる」


 そう、胸を張った。



《なん……、だと……!?》

《嘘だといってよ、モーナー》



 どよめきを見せるコメントに、モナは得意げに顎をあげた。


「ふふん、そなたらも知っておろう。これらを我に届けてくれた若旦那と妹巫女じゃ」


 そう言って取り出したのは昨日の甘酒とお漬物。あの後もモナが飲み食いしたのか大分減っている。



《なーんだ》

《ふぅ、一安心》

《即物的な関係すぎて……。友達とは言わないんじゃないかなぁ》

《一方的に物をあげてる関係?》



「なんじゃと!? プレゼントがあったからにはトモダチじゃと思っておったのに……」


 モナは驚き、身を固くする。


「な、ならば……。今日届いたこれらを持ってきてくれた者もトモダチでは無いと……」


 机の上に出されたのは瓶詰めのマヨネーズ、そして付け合わせだろうか鮮やかな緑のアスパラガスがあった。



《マヨネーズ、届いてたのか》

《昨日の若旦那と妹巫女ちゃんがやってたの見てたから、同じ方法とってみた。届いてよかったよ》

《このアスパラ、でかくない?》

《モナの指何本分だよ》

《でもおいしいよ》

《前にお洒落な飲み屋でお任せしたら出てきたな~。おいしかったよ~》

《マヨネーズじゃなくてアスパラメインじゃん》

《うちのマヨネーズもおいしいんだよ! マヨと同じ名前の万能調味料だぞ!》

《それはともかく、モナちゃんに言っとかないと。プレゼントをもらったからって友達とは限らないんだぞ》

《そうだよモナ。モナだって嫌いな相手からプレゼントもらって、はい友達ねって言われたくないだろ?》

《そうそう、逆に嫌いな相手でも円滑に物事を進めるためにプレゼントくらいするし》



「そうか……。我が一方的に思っておっただけなのじゃな……」


 モナはしょんぼりと肩を落とす。



《んー? アタシはモナちんのことお友達って思ってるから、両思いだねー》

《小さい子とお友達って言うと犯罪的だからアレだが……、まあ仲良くはしたいかな》



「おお、おおお……。妹巫女とマヨネーズの君は我を友と言うてくれるのか。そうか……」


 感極まったのか、モナはウスベニを胸に抱き肩をふるわせる。



《そ、そんなに喜んでもらえるとは……》

《さすが寂しガール》

《さすがのぼっち会名誉会長》

《あ、若旦那はいい人カテゴリでいいと思うよ。いっつもいい人止まりだから》

《そりゃねぇよ!》

《笑う》

《い、い、人、止、ま、り》

《しゃあねぇな、なら俺がモナちゃんの友達に立候補してやるよ》

《オレモオレモー》

《モナ……、俺の友達権、あげるぜ……。人にあげるのは初めてなんだ、大事にしてくれよ》

《ヒューーゥ。その話乗った!》



「若旦那はいい人でいいんじゃな。我、覚えたぞ。でも、他の奴らは何か嫌じゃから拒否じゃ」


 モナはぶるりと身体を震わせた。



《拒否られた》

《いい。冷たく罵ってくれるとなお、いい》

《そういうとこやぞ》

《ガード堅いな》

《単に人見知りなだけじゃね?》

《いや、友達連呼のやつに何か邪気を感じたんだろ》

《GJ》

《それすらご褒美のやつがいるけどな》



「さて、では我にトモダチ出来た記念にこのアスパラを頂こうかの。このマヨネーズをつけて食べればいいのか?」


 そう言ってアスパラを手に取り、蓋を開けたマヨネーズの瓶に突っ込もうとするモナ。それをコメントが慌てて止めた。



《それ生じゃない?》

《せめて茹でよーぜ》

《朝とったばっかりだから生でもいけるよ。でも皮は剥いた方がいいかな》

《だ、そうだぞ。ステイだモナ》

《ただ、個人的にはマヨつけてホイル焼きが好きかな》

《茹でアスパラにマヨディップが王道》

《俺はアスパラベーコンやね》

《バターアスパラおにぎり》

《あんなでかいアスパラをきざむのは駄目だろう》

《だからこその贅沢だろう》

《というわけだ、せめて皮をむけ。マヨちゃん》



「ぐぬぬ」


 コメント欄を見て、モナは歯ぎしりをする。


「どうじゃ、ウスベニ。そなた、これを茹でたり焼いたりできるかの?」


 アスパラを差し出すモナに、ウスベニは身体を左右に振り否定の意を示す。

 その答えにモナも、「そうか……」と言葉少なに落胆した。



《く、さすがのウスベニちゃんも加熱は無理か》

《スライムの弱点って、火っていってたよね》

《そりゃ無理だろ》

《皮むきくらいはモナがやれば良かったのに》

《まあモナちゃんだから……》

《ピーラーで指の皮剥きそうで怖い》

《やめろよ、想像しちゃったじゃん》

《しゃーない、俺がなんとかしてやるよ》

《なんだって!? 兄弟》

《明日にでも届けてやるから、楽しみに待ってな》



「おお、おお。おぬし、良いやつじゃな。我、心待ちにしておるぞ。そうと決まれば……」


 モナは目の前の食べ物が、ポンポンと音を立て消えていく。


「よし、時間を凍結しておいたから、これで明日も鮮度は変わらぬぞ」



《さらりとすごいこと言ったな》

《まあ、モナちゃんだし》

《異世界物でよくある異次元バッグみたいなのに入れたんかな》

《っぱ空間魔法よ。ダンジョンって空間魔法の産物だろ?》

《いや、そこはダンジョンと切り離さないと。あくまでモナちゃんの権能の一つかも》

《異世界三点セットの一つだしな、異次元バッグ》

《でもこれってもしかしたら、俺たちがダンジョンで使えるスキルかもしれないよ》

《マジか。頭いいなお前》

《あーでも、中だけで使えてもなぁ。外からの持ち込みには使えないから使い勝手悪いか……》

《いや、バッグぱんぱんで入っても、カラにできるんだぜ。有用だろうよ》

《確かに……》

《おいおい、モナいじりは楽しいし、ダンジョン考察するのも面白いけど、もう始まって結構な時間がたってるぞ》

《うあ、ホントだ……》

《しゃーねぇ、そろそろダンジョン見るか》



「なんか言い方がすごく気になるのじゃが……。まあよいか。確かに時間もないしの。そろそろ本題に移るとしよう」


 不承不承と言った体ではあるが、モナは話を先に進めた。


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