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16

 次の日の朝。

 気付くと、オレはベッドの上に寝ていた。

 それも、本拠地内のオレの部屋。

 誰が運んでくれたのか……と、思った瞬間、その張本人らしき人物が、ベッドの脇で突っ伏している。

 アルステールだ。

「くー……くー……」

 全く……。風邪ひくぜ。

 オレはアルステールを抱き抱えると、ベッドに寝せて、布団を掛けた。


 作戦会議室。

 多分、皆そこに集まっているだろうと思い、オレは足を運んだ。

 しかし、読みは外れた。

 そこに居たのは3人。

 白い甲冑を着ていない白い貴族スーツ姿のラムド・ガル。

 後、ブレイド・ブラッカー、レミュリア。

「身体は大丈夫でござるか?」

 ブレイド・ブラッカーが腕を組みながら訊ねてくる。

「ああ。何ともない」

 身体を動かして、元気なことをアピールしてみせる。

 ラムド・ガルが爽やかな顔をして、オレを見ている。

 ううむ……。やはりイイ男だ。悔しいが。

「ガンキチさん。ラムドから話があるそうです」

 いつになくニコニコと顔を輝かせて、レミュリアが告げた。

 そして、ラムド・ガルが前に出る。

「ガンキチ殿。改めて礼を言いたい。今までレミュリアを守ってくれたこと、私の代わりに反乱軍まで作ってくれたこと……。いくら感謝しても足りないくらいだ」

 ラムド・ガルは、爽やかな笑顔でくすぐったくなるような事を言って、頭を下げる。

「そ、そうでもないぜ。オレはただクリアのため……。あわわわっ! じゃなくて、正義の味方だから当然の事をしたまでだ。それに、ガンキチ殿なんて呼ばないでくれ。妙にくすぐったい」

 オレは精一杯照れ隠しをして答える。

「わかった。では、ガンキチ。本当にありがとう……。そして、これからよろしく頼む」

 と、右手を差し出してきた。

 オレは迷わずその手を握った。


 ラムド・ガルとしばらく雑談を交わし、話が一区切り着く。そこで妙にタイミングのいいところでブレイド・ブラッカーが話しかけてきた。

「ガンキチ。拙者達は貴殿の傘下に入る事を決めた」

「えっ? それは本当か? でも、金が……」

 オレは思わず懐のポケットに手を突っ込み、金を出そうとする。到底足りそうにない金を。

 それを、手で制するブレイド・ブラッカー。

「金はいい。ツケにしておく。あの悪王を倒したあとでも間に合うでござるからな」

「……すまん」

「謝る必要は無い。これは拙者自身が決めた問題でござる。それに、貴殿に付いて行けば、あの憎きザキュール暗殺団を壊滅に追い込めるかもしれん」

 それだけ言うと、ブレイド・ブラッカーはおもむろに指笛を吹く。

 すると目の前に、ササッとシャドウキラーが3人現れた。

 ひとりは、あの酒場で会った黒いロングヘアでスラッとした身体の女。

 こっちのふたりは同じ背丈で、小さな身体まで同じの女の子。

 だいたい、オレの胸くらいの身長だな。

 よく見ると、顔、髪形まで同じ。

 3人とも、黒装束だ。

「? この3人は?」

「貴殿に付けるボディーガードだ」

「でも、3人は付けすぎじゃないのか?」

「案ずることはない。他の武将達にもキチンとボディーガードを付けている。数は減ってしまったが、一応貴殿達を護衛するくらいのシャドウキラーは揃っている」

 ブレイド・ブラッカーが言い終えると同時に、黒いロングヘアの女がオレに手を振る。

「おい、自己紹介だ」

 ブレイド・ブラッカーは3人に言う。

「私はティカイナ。よろしくね。坊や」

 黒いロングヘアをかきあげながら、ティカイナは名乗り、手を差し出した。

 やや照れながらも、オレは握手した。

 紫色の瞳が微かに覗く。

 な、何か妙に色っぽいな。

 まあ、酒場で会ったときは、シャドウギルドの事しか頭に無かったからな。改めてこうして見てみると、妙にこれまた……。

 い、イカン。


 次に、全く同じ顔、姿をした女の子ふたりが前に出てくる。

「私はレザよ」

「私はラザです」

 ふたり交互に言うが、どっちも髪の毛は焦げ茶色のポニーテール。ゴールドブラウンの瞳。オレの世界の言葉で言えば、ロリータフェイスの小顔。小さな身体で、見分けがつかない。

 ふたりを見て、理解に苦しむオレに、

「私達は、双子なんです。ふたりともそっくりだから、よく間違われて……」

 控えめに言うレザか、ラザのどちらか。ハッキリ言って見分けが付かない。

「明るく喋る私がレザ。そして、妙に根暗なこの人がラザ。後、見分け方はラザのアゴに付いてる小さなホクロ。私はホクロ付いてないから。わかった? 頼みますヨ、おにいさん☆」

 と、言ってオレの手をギュッと握ってくる。

 ふむ……また随分と陽気な奴だな。

「レザ、根暗はヒドいです……。私はただ控えめなだけなのに……クスン」

 鼻をすすりはじめるラザ……なのかな?

 アゴに小さなホクロがあるからラザだよな?

「え、えーっと。お前がレザで、君がラザ。で、いいんだよな?」

 こくりと頷くラザ。

「ちょっと! 何でラザが『キミ』で私が『オマエ』なのよ」

 アゴにホクロが付いていないレザがプンスカと怒る。

「何となく」

「何か、納得がいかないわね」

 と疑問な顔をするレザを無視して、アゴにホクロが付いているラザに、

「それじゃ、よろしくね。ラザちゃん」

 オレはラザの手を取って優しく握った。

 いや、何かこう、こういう風にしなきゃいけないというような使命感がこみ上げて来たから、こういう行動をとったのだ。

 柔らかい小さな手だ。

 ラザは途端に顔を赤くする。

「あ……。はい。よろしくお願いします」

 小さな声で答える。

 う〜む。妙に可愛いぞ。

「ナンカ、結構な差別を受けてる気がするのは、私の気のせいかしら?」

 眉尻をピクピクさせ、抗議してくるレザ。

「気のせいだ」


 ボディーガードのシャドウキラー達が仲間になり、これで暗殺者に狙われる危険がグンと減った。

 特に、ブレイド・ブラッカーは、ティカイナ、レザ、ラザが言うには、相当な修行を積んでいて腕はピカイチらしい。さすがはシャドウキラーのリーダーだけある。

 ラムド・ガルも、大量の兵を連れて仲間になってくれて、更に軍資金まで持ってきてくれた。

 一段と規模がでかくなった反乱軍。

 これで、いよいよユーネス軍と全面戦争突入だな。


 ――ただ、ひとつだけオレは気にしている事があった。

 ザキュール暗殺団。あいつらがわんさかと出てきたとき、オレは手も足も出なかった。 自分の無力さを痛感させられた。

 所詮はRPGの世界だろうと、ナメていた事が、今になって悔やまれる。


 オレには、特訓が必要だ。

 部活の練習のような遊びじゃ、この世界で生きていける自信がない。

 そう、精進あるのみだ。


 昼を過ぎて、オレはアルステールと共に、ある人物へ手合わせを申し込んだ。

 約束どおり、アルステールと一緒に中庭でその人物を待つ。

「ふむ、時間丁度である」

 ブレイド・ブラッカーが来た。

 時間ってのは、日時計で決めている。

 これが結構正確なんだぞ。

「久々に、腕が鳴る」

 レミュリアと一緒に、ラムド・ガルも姿を現す。


 そう、オレはこのふたりに手合わせを申し込んだのだ。


 将軍同士の対決を見ようと、野次馬と化した兵達が周囲をぐるりと囲んでいる。

 オレの仲間達も、もちろん居るぞ。

 シェルフィスなんかは、審判をする! と、言って聞かず、仕方なくシェルフィスに審判をさせる事にした。

 後、いつの間にか、オレは兵達からガンキチ将軍と呼ばれていた。

 悪い気はしないけど、妙にくすぐったいな。

 それと、これは試合じゃないぞ。特訓だ。


 まず、オレとブレイド・ブラッカーが前に出る。

 双方へ、木で作った剣が渡される。

 な、何か、ドキドキしてきた。

 まるで、剣道の公式試合の時みたいだ。

 木製の兜、鎧を着ながら、オレは思った。

 この兜、鎧の内側にはワタのような柔らかい物が詰められており、衝撃を吸収するみたいだ。

「ブラちゃんは着ないのか?」

 オレが勝手に付けたニックネームにブレイド・ブラッカーはズッコケる。

 サッと起き上がると、

「ぶ、ブラちゃんは勘弁してくれ。せめて、ブレちゃんとでも言ってくれ」

「わかった。ブレちゃん」

「……防具の事だが、あれを着ると拙者は動きが鈍くなってしまう。それに、心配には及ばん」

 ブレイド・ブラッカーは黒装束の胸をはだけさせる。

 細かいメッシュの服……鎖かたびらだ。

 更に、黒いバンダナの中から、薄い金属のような物を取り出す。

「まあ、大丈夫という事だ」

 ブレイド・ブラッカーは口の端を持ち上げた。

 オレもこくりと頷く。


 オレは木剣を正眼に構える。

 基本の構えだ。

 顧問の先生は上段構えが気に入ってるらしく、いつも上段構えだ。しかも、相当強いぞ。

 対するブレイド・ブラッカーは、木剣を右手で逆手に持って、ただ突っ立っているだけ。

 しかし、凄まじいプレッシャーだ。


「はじめっ!」


 シェルフィスの声に、オレは反射的にブレイド・ブラッカーへ斬りかかった。

 右足で踏み込み、一気に間合いを詰め、ブレイド・ブラッカーの胴目掛けて振る。

 だが、当たる瞬間、だらんと下げていたブレイド・ブラッカーの右手の木剣が動いた。


 そして次の瞬間、カキィンと乾いた音が響いた。


「えっ!?」

 ジッと見守っていたアルステールの顔色が変わった。

 オレも、その『えっ!?』を言いたい。

 気付いたら、オレの右手から木剣が消えていたんだから。

 木剣を持っていた右手がジーンと痺れている。

 オレは一体何をされた?


 カランカランと木剣が地面に落ちる音。

 静まり返る周囲。


 止めに入ろうとしたシェルフィスを制してブレイド・ブラッカーは。

「ほれ、これで終わりではないだろう? 拾うでござる」

 余裕たっぷりに、転がったオレの木剣を指さす。

 オレはサッと木剣を拾う。

 まだ、右手が痺れている。

「ちくしょう。強えぇよ。ブレちゃん」

 剣道の『け』の字も無いぜ、今の攻撃は。

 ということは、オレも剣道というワクにはまらないような攻撃をしてもいいという事だ。

 そう考えたオレは、木剣を片手で持った。

 そして、再度、斬りかかる。

 さっきまでブレイド・ブラッカーは構えなしだったのが、今度は逆手に持った木剣を胸の前で水平に構えている。

 木剣を振る。

 と、見せかけて、しゃがんで水面蹴り。

「ふむ」

 と、ひと声聞こえたと思ったら、見事にスカした。

 約1メートルほど跳躍して、見事に避けるブレイド・ブラッカー。

 しまった。この次の行動を考えていない。モロに隙だらけだ。

 ブレイド・ブラッカーは着地と同時に、オレの兜へ一撃。

 コツンと手加減して叩かれた。

「うっ」

 手も足も出なかった。

「うむ。剣も体術もなかなかにスジがある。山賊を相手にしただけの事はあるでござるな」

 ニヤリと笑うブレイド・ブラッカー。

 しかし、負けた後に言われると、結構惨めだぞ。


「見たか? ガンキチ将軍のあの踏み込みの速さ! あんな速さで踏み込まれたらひとたまりもないぞ」

「ブレイド・ブラッカー様も凄い。そんなガンキチ将軍を負かしたんだから」

 双方をほめたたえる兵達。

 しかし……メチャクチャ悔しいぞ。


 続いて、アルステールとラムド・ガルの手合わせも、オレと似たようなパターンに終わった。

 オレが教えた通りのやり方で、果敢にも斬り込んでいくが、2、3撃、剣を交わしたあと、あっさりと胴を決められた。

 しかも、ブレイド・ブラッカーみたいに格闘術は使わず、正統派の剣士だ。

 ラムド・ガルの強さは半端じゃない。

 まるで顧問の先生のようだ。

 2回ほど手合わせをして、本日の特訓は終了した。


 夜。

 オレは密かにブレイド・ブラッカーに、特訓の約束をしていた。

 砦の中ですると、また野次馬の兵が集まってくる。それでは落ちついて特訓できない。

 もとい、オレが無様にやられるところを見られたくないと言った方が正しい。

 で、今、砦の外に居るわけだ。

 あのボディーガード達が陰ながら見守っていてくれるおかげで、安心して居られる。

 今もそこら辺で見張っているみたいだ。


 ふと微かに気配を感じた。

 来たか。ブレちゃん。

 と、思ったら。

「あれ? ガンキチ」

 アルステールだった。

「お、お前、何でこんなとこに……」

 予想外の出来事に慌てるオレに、

「いや、その、ラムド・ガル様に特訓を……」

「お前もか?」

「お前もってことは、ガンキチも?」

「ま、まあな。少し、ブレちゃんに鍛えてもらおうと思って」

「ははは……気が合う」

 アルステールは嬉しそうに笑う。

 ……何か、妙に可愛いぞ。

 今、一瞬ドキッとしてしまった。


 靴音が聞こえてくる。

 闇の向こうから、ラムド・ガルが姿を現した。

「……おや、ガンキチ。君も来てたのか。……こりゃ、お邪魔だったかな」

 会うなり茶化してくるラムド・ガル。

 このナイスガイもこういうキャラだったのか。

「な、何を……」

「さ、さあ、ラムド・ガル様、特訓を始めましょう!」

 真っ赤な顔をごまかすように、アルステールが切り出す。

「はっはっは……。レミュリアから聞いた通りだ。ガンキチ、アルステールを大事にするんだぞ。こう見えて、この子は繊細だからな。とても傷つきやすい。守ってやるんだ」

 えらく真面目に言うラムド・ガルにオレは、

「わ、わかった」

 と、つい返事をしてしまった。

 ……。

 わかったって何だ。

 わかったって何だ。何をわかったんだ?

 や、ヤバイ。迂闊な一言だった。

「が、ガンキチ。えっと……」

「ち、違う。オレは……そ、そうだ、ユーネスから傷つけられないよう守ってやる。と、いう意味で返事したんだ」

 苦しい言い訳だ。自分でもそう思う。

「ふふ……」

 オレとアルステールのやりとりを見て、楽しそうに笑うラムド・ガル。

 とりあえずアルステールとの話を何とか丸め込むと、オレは、ふと後ろを見た。

「どわっ! ブレちゃん! いつの間に……」

 そう、後ろにはブレイド・ブラッカーが立っていたのだ。

 全く気配を感じなかった。

 いや、アルステールとの話を丸め込むのに夢中だったからか。

「……何となく、声をかけにくかったでござる」


 とにもかくにも、特訓は予定通り開始された。

 ブレイド・ブラッカーは巧みにオレの攻撃をかわし、かすりもしなかった。

 オレが考えつく攻撃は全てかわされる。レベルが違いすぎた。

「ふむ……。ガンキチ、貴殿に足りぬものが何となくわかった」

 特訓を始めて約30分くらいか、スタミナをすり減らしたオレは、回復を図るため距離をとった時、ブレイド・ブラッカーは口を開いた。

「……はあはあはあ……。そりゃ一体何だよ」

 オレは乱れた呼吸を整えながら訊いてみる。

 攻撃は一切していないが、あれだけ動き回ったのにも関わらずブレイド・ブラッカーは息ひとつ乱れていない。

「基礎体力は十分とはいかないが、結構ついている。筋力もそこそこにある」

「はあはあはあ……ふむ。んで?」

「無駄な動きが多すぎる。後、無駄に力を入れすぎている。このふたつは俊敏な動作を欠かせ、更にスタミナも多く消費してしまう」

「……」

 何か、顧問の先生に言われてるみたいだ。

「んじゃ、筋肉を鍛えりゃいいのか? 早く動けるように」

「それは個人に任せる。現に拙者の力は多分、貴殿と同じくらいと思う」

「何だと? それじゃあ……」

 オレはうまい具合に切り株を見つけると、その上に上着を敷いて、右肘を置く。

「やってみようぜ」

 そう、腕相撲だ。

 オレの意図することを感じ取ったか、ブレイド・ブラッカーは右腕の肘を切り株の上に付け、オレの右手を握る。

「よし、それじゃ、この石ころが落ちた時スタートだ」

 オレは左手で石ころを上に放った。

 カチンと石ころが落ちた瞬間、オレは全力を右手に注いだ。

「おりゃあああああっ!!」

「うぬぬぬぬぬ……」

 動かない。

 力の差が圧倒的でビクともしないわけではない。お互いの力が均等で動かないのだ。

 現にオレの右手にかかる負荷は、倒されるほどではない。

 ほんの20秒くらいか、オレは手を離した。

 少し右腕がピクピクと痙攣する。

「……ふうふう……。と、まあ、こういう事でござる」

 さっきまで息ひとつ切れていなかったブレイド・ブラッカーが、少し苦しそうに呼吸している。

「はあはあ……どういうことだ。昼の特訓の時は、簡単に剣をはじき飛ばされたというのに」

 呼吸を整え、オレは聞く。

 右手をプラプラとさせるブレイド・ブラッカー。

「あれは当てる場所に秘密がある。力は弱くとも簡単にできる」

 すると、ブレイド・ブラッカーは昼間の木剣を持ってきていたのか、オレに1本放った。

 反射的に受け取る。

「それじゃ、ゆっくりとやってみよう」

 ブレイド・ブラッカーの指示どおり、オレはスローに斬りかかる。

「ここだ。コツはこれだ」

 斜めに振ったオレの木剣の切っ先を、ブレイド・ブラッカーは木剣の根元で軽く合わせる。

 不思議なことに、持っている柄が妙に振動する。

「テコの原理をうまく利用するのだ。ただ、この技術は勘と反射神経を必要とするが、それは慣れれば何とかなる」

「ほうほう……。それで、避けるのは? どうやってあんなに素早く避けられるんだ?」

「それは、相手の動きを空気と僅かな事前動作で読んで、予測するのだ。予測できると、避けやすくなるのは当たり前だな。後は、常に有利な場所へ移動する。有利な場所は平地であろうと山道であろうと必ず存在するのでござる」

「ふむ。プロの技だな」

「後は、相手の弱点を見つける事。弱点と言っても、そんなに難しく考える必要はない。要は方向である。誰でも苦手な方向というのは、あるものでござる。これが見極められるようになると、有利な場所へ自然と移動できるようになる」

「へえ……。ためになる」

「後は、ひたすら経験でござる」

「それじゃ……。協力、頼むぜ。経験値稼ぎの」

「御意」


 それからオレは、ブレイド・ブラッカーとの特訓に励んだ。

 アルステールもラムド・ガルにだいぶ絞られているようだ。

 しかし、厳しくともやはり紳士か、女の子に対する扱い方が上手い。さすがは騎士だけある。

 この日、オレの手足、木剣はブレイド・ブラッカーにかすりもしなかった。


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