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エピローグ
いやに高い天井、床には赤いカーペット、見上げると一枚の絵画------------------------------------
だいぶ前の記憶だ。たぶん10年前くらい。
両親と訪れた都会の美術館、早く出たくて仕方なかったのを覚えてる。あのゴッホのひまわりが展示されるとのことで、息苦しいほどに人で溢れてた。人が多い場所に慣れてない俺にはなんだかとても騒がしく思えた。誰も騒いでないはずなのに。それでも、記憶の中だとどんな場所よりも静かやからおもしろい。ゴッホの「星降る夜」 俺はこの絵に囚われてしまった。星空と街の光。そこに世界の全てがあるように思えた。その景色を手に入れない限り、自分の人生の幕が開かないような気さえした。
そして、そんな俺を閉じ込める田舎を、憎むようになっていった。




