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炸裂

多分あと数話で終わります。

「どういうことなん?」


思い出したはいいが、その記憶もよく分からないものだった経験があるだろうか。俺は今その状態だ。


まあいいや、首切りつけられて生きてるんだしポジティブに考えれば俺は生き返ったと考えられる。


いや待て、でもそれは全て夢で見た空想で、かなりリアルな夢だったがあれも俺の頭が作り上げた空想かもしれん。


落ち着くんだ、こういう時こそ論理的思考だ。


まず俺は職場で死んだ。これは絶対的に真実だ。あれが夢だとしたら俺は確実に仕事中毒か躁鬱のどちらかだ。なんで起きて出勤して仕事する夢なんか見なきゃならんのだ。


しかし、しかしだ。スッパリいかれた首元は綺麗に繋がってる。


だが着ているブルーのワイシャツは付着した血が乾いてドス黒い色に変色していたし、紺のパンツも色は目立たないが、何かがベッタリ付着していた。


つまりこれは大出血するような怪我をしたということに繋がり、俺が怪我をしたのは真実ということになる。


しかし怪我が治っているのかは説明できない。


自分が持つ説明できる要素としてはあの態度の悪かった女神しかいない。でもなぁ...


「起きたこと悩んでても仕方ないし、どうすっか考えねぇと」


もう30分ほど同じ場所でぼーっとしていたが、ここで野宿はゴメン被る。なので取り敢えず人と接触して寝床だけでも確保することにした。


現在俳優として活躍している元北の芸人は「メシより宿」という至言を残しているが、全くその通りでまずは寝床なのだ。


なんとか人里に着いたら自分の持ってる物と物々交換でなんとか寝床と食料を手に入れるしかない。


そこからなんとか仕事でも見つけて食って行けたらいいと考えていた。


しばらくあたりを散策していると、細い道のようなものに当たった。


「とりあえずはこれ辿ってくしかねぇべ」


獣道のちょっとマシになったようなガタガタな道だが、人が生活に使っているような雰囲気はある。


どっちに行くかだが、こればっかりは運だ。轍の跡は両方に伸びているし賭けるしかない。


「まあ餓死する前には人里に着くでしょ」


そう思って道を右に進む。今まで心地よかった太陽の光が西日になって、心なしかギラギラしている。あつい。


木陰に入るとひんやりとした空気が漂ってくるが、所々にしか木が生えておらず、日が照っているせいで汗が止まらなかった。


あの女神らしき女性からもらった水も顔の血を洗い流すのに使ったりしてしまったので、もう残り少ない。


少しずつ口の中を湿らすように飲む。飲んだ気がしないが。


小一時間ほど歩いて、ふとあの女神の言葉を思い出した。


確か一つ望む物をくれるって言ってたっけ。あつくて頭が茹だってるが、そこはよく覚えてる。


「結局何もらったんだ俺?...はぁっ...あっつ...ここに来た時何にも持ってなかったし、あの傲慢女神なんもくれなかったのか?


いや、でも何か上げないと送り出せない的なことを言っていたような...あつい」


もうすでに記憶があやふやだったが、それだと話が進まないので、何かをもらったのではと仮定することにした。


では何を?


思い出せ...確か最後の会話で俺は...!!そうだ!俺は核と口走っていた!


でも核兵器らしきものは姿形もなかった。


もしかして自分が最初にいた場所の地面にも埋まってたか?


いやしかしそんな意味のないことをするだろうか?わからん。


だとしたら不可視化されていた状態であの場所にあった?いや、起き上がった後辺りを散策したがそんなものがあった形跡はなかった。


そこだけ草が倒れていたりとか。


じゃあドラえもんよろしく四次元ポケットのようなものに収容されているか、といったことも考えた。しかし


だとしたら?


だとしたら...


だとしたら...


嫌な考えが頭の中いっぱいに広がるが、もうそれにしか行き当たらない。


考えただけで身の毛がよだつが、もしそれが正解だったら...


ほぼ無意識にその辿り着いた可能性の一つを口に出していた。


「俺が、俺自身が核弾頭なのか?」


そんな意味不明なことを言ってしまい、思わず歩みを止めてしまう。


こんなところで止まっていられるかとまた足を動かそうとするが、足がコンクリートの床に埋もれているかの如く一歩が踏み出せなかった。


自分が核弾頭?俺の体の中に爆縮レンズと核物質があって、頭の中で爆発したいと考えただけで起爆できるのか?


彼は公務員試験一次試験(といっても地方の一般教養レベルだが)を突破するぐらいの知性は脳内に収まっている。


その脳が先程辿り着いた可能性が実現可能なのか思考回路を巡らせるが、答えは不可能だった。


「いや、無理だ。超小型原爆でもスーツケース大だったって本で読んだ覚えが、それにウラン型原爆なら臨界量に22kgのウラン235が必要だし、プルトニウム型なら5kg...だったか、いやそれ以前にそんなもの体内にあったら被爆死するわ!」


どんどん不可能だという証拠が脳内に蓄積されていくが、一つだけ不安要素があった。


それはもうそれ一つで反証が全て吹っ飛ぶくらいの。


あの態度悪い女神、魔法みたいなこと言ってなかったっけ?


あの夢だとも言い切れないような空間で、アレはそう言っていたような気がしてきた。


もし...もし、核物質を生成する魔法があったら...


もし、その核物質をどんな形であれ臨界させる魔法が有れば。


中性子を制御したり、水素を超高圧まで圧縮して核融合を起こせたりするならば?


碌でもない結果になる。


ここが前いた世界(違う世界と仮定するなら)と同じく、神の火が地上に現れることになる。


「ん?生成?」


ここでまた新たな可能性に行き当たった。


「そうだよ!突然どこか別の場所に転送できるなら、何か武器になるものを呼び寄せられないってことはないんじゃないか!」


突然湧いてきたこの可能性に、思えばなぜこれが真っ先に思い浮かばないのか、そういったことを考えていた。


だが先程の気が狂ってるとしか思えない仮説よりかはこちらの方がマシだ。


「そうと決まれば!」


試しに何か出てこないか試すことにした。


もうそろそろ歩き始めて一時間になる。休憩も必要だろう。


ああ、丁度良い木陰があるじゃないか、あそこで休みながら試してみよう。こんな中学生のような恥ずかしいことでも、見てる者なんぞ居はしない。


そんなことを考えつつ、木陰に座るのに良さそうな石が置いてあり、そこに腰掛けつつ試してみることにした。


そして、この世界に初めての原子の炎が炸裂することとなった。



やはりコロナには核の炎で滅却するしかないのではないか(暴論)

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