2.父、人を頼る
小説を書くのって本当に大変ですね!
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一向に解決策の浮かばない私は誰かに相談してみようと思った。さすがに、妻や友に未来の話をするわけにもいかないので、誰に相談しようかと思っていたが、この国には未来を見通せると言われている預言者がちょうどいたので相談してみることにした。
預言者のラートリア・エルメスは元々の黒髪に少し白毛が混じった初老の女性で、王都では、その予言の的中率から王族から平民までたくさんの人に尊敬されている人物の一人である。
ラートリアは預言者と言われているが、自分ではそんな力(予言をする力)はないと言っている。ではなぜ、預言者と言われているか、それは前にこんなことがあったからである。
ラートリアはもともと王都で薬屋をやっていた。その薬屋は病がはやる少し前からその病に効くといわれる薬を大量に作成し、実際に病がはやると他のどの薬屋よりも早く、はやり病に効く薬を販売することで有名だった。
いつしか、その流行する病の的中率から、王都中の医者がラートリアの動向を気にするようになっていた。また、このときから『ラートリアには予知の力がある』と噂されるようになった。
ある日、とある貴族の男がラートリアに『予知の力がある』という噂を聞き、自分の結婚相手に三人の候補から誰がいいのかを相談したことがあった。
ラートリアは三人の候補者の写真を見て、その中の一人の写真を指差し
「この方と結婚されれば膨大な富を得られるでしょう」 といった。
さらに、ほかの女性の写真を指差して、
「この方と結婚すれば優しい家庭を築くことができるでしょう」 といった。
貴族の男は財力は今でも十分にあるので、ラートリアが優しい家庭を作ることができると言っていた女性と結婚した。その後、ラートリアの言っていたように貴族の男は温かい家庭を築いた。
富を得られると言われていた女性は自ら商会を立ち上げ、苦くて食べられないと思われていた豆を使ったお菓子を作り上げ、商人として大成功した。
貴族の男は自分が温かい家庭を築く前から、女性が商売に成功する前から、結婚相手を相談したことをよく貴族仲間に話していた。私も彼から何度もその話を聞いたことがある。
それからというもの、薬屋をやっていたラートリアのところにたくさんの人が様々な相談を持ってくるようなった。
そこで、ラートリアは薬屋は弟子であり、姪でもある女性に接客をまかせ、相談所を開くことにした。
そこでもまたラートリアは人々にまるで未来がわかっているようなアドバイスをするため、いつしか王都中の人に預言者と呼ばれるようになったようである。
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しばらくして馬車が止まったので、ラートリアの家にたどり着いたのであろう。ラートリアの住まいは王都にあり、王城から馬車で30分の距離にある。
宰相を務めていて普段から忙しい私ではあるが、今日は特に重要な会議や早急に解決しなければならない問題などもなく、いつもより少し早めに家に帰れそうだったので、王城から直接ラートリアの家に向かった。
ラートリアの家の前に馬車を止め、御車に馬車の扉を開けさせ私は外に出た。ラートリアの家は貴族が住む屋敷ほど大きくはないが、平民の家にしては、かなり大きいほうだった。家の一部を薬屋や相談所に使っているからだろう。
見たところ、相談所は大変混雑しているようだった。私は御者に重要な要件があるとラートリアに伝えてくるよう命じた。御者は一度私に簡単な礼して、相談所の前の行列を無視し、ラートリアの家に向かっていった。
しばらくして、御者が帰ってきた。どうやらラートリアはすぐにでも私の話を聞いてくれるらしいので、私は早速ラートリアの家に入っていった。
その間、家の前の行列に並んでいた人々は私の姿を見て驚き、すぐに私に頭を下げた。少し申し訳ない気持ちになったが、私は貴族という立場にあるので遠慮なく先に進ませてもらった。
次話がまだ全く書けていないので、少し更新が遅れてしまうかもしれません。