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1.父、娘の破滅を知る

初投稿です。よろしくお願いします!

  この国で私ことガイウス・ハルベニアを知らぬ者はいないだろう。ウィートリア王国貴族の中で財力、権力とともに他の追随を許さないハルベニア公爵家の現当主であり、この国の宰相なのだから当然だ。

 

  もちろん容姿も今でも銀髪のナイスミドルと貴婦人達に言われているが、若い頃は「銀の貴公子」と国中のレディーに騒がれたものだ。


  そんな私ではあるが、今大きな問題を抱えているのだ。それは9歳の娘のアルシャのことである。


  我が娘は私に似た美しい銀髪をしており、妻そっくりの人形のような顔立ちをした少女だ。将来は確実に美人になるだろう。もちろん容姿だけではなく、学業やダンスなども十分すぎるほどにできる天才である。


  我が娘は本当に美しい。まるで女神のようだ。もちろん、美しさだけではなく、可愛らしさもある。


  仕事から帰って来た私を

「お父様ー!おかえりなさいませ!」といいながら、笑顔で出迎えてくれる娘が可愛くないわけがない!


  そんな娘だからこそ私はとてもとても可愛がった。欲しいものは、ドレスだろうが宝石だろうが何でも用意させた。


  最近では、アルシャに最高の将来を約束させるためにちょうど年の近かった第一王子との婚約を取り付けたところである。


  私が用意した宝石やドレスなどをアルシャはとても喜んでくれる。アルシャの笑顔のためなら私は何でもできる気がする。我が残りの人生は娘のこと幸せのために使おうと決意したほどだ。


  だが、最近そんな順風満帆な人生を送るはずの娘には破滅的な未来が待っていることを知った。


  ついこないだのことだ。

『人間誰にも失敗はある』

 昔の偉人の残した言葉である。その言葉の通り私は珍しく、先日屋敷の階段で足を滑らせ転げ落ちてしまい、気絶をするという大失態をおかしてしまった。


  幸い特に体に異常はなかったのだが、気絶していた時に現実のような夢を見てしまったのだ。


  その夢とは、我が娘アルシャが何かのパーティーで婚約者の第一王子に婚約を破棄され、そのままその場で罪人としてとらわれてしまうという、恐ろしいものだった。夢に出てきたアルシャは今より年を取っていたようで、さらに美しくなっていた。


  ただの夢だと笑ってしまえばいいが、なぜか私にはそれが夢だとは思えず実際に起こることだと確信してしまっている。


  さてどうすればいいのだろうか、いっそのこと殿下を暗殺してしまおうか、そうすればあの未来は起こらないはずだ。


  それに夢での出来事を考えれば殿下にふつふつと抑えきれない怒りが湧いてくるのでやってしまいたい。第一王子の婚約者の地位にある娘とその一族が疑われることはまずないだろうから、証拠さえ残さなければ、きっとうまくいくはずだ。


  だがもちろん、実行は出来ない…娘が悲しんでしまうからだ。忌々しいことにアルシャはどうやら殿下のことが好きなようだ。婚約者になってからは殿下の好きな色の白色のドレスしか着ておらず、たびたび私の仕事について来て殿下に会いにいくほどである。


  今殿下を暗殺してしまったら、娘は悲しんでしまうだろう。なにより、もしアルシャに私が殿下を暗殺したことがバレてしまってたら、アルシャは私を憎むかもしれない。なにより、二度と「お父様」と言われなくなってしまうかもしれない。それだけは絶対にダメだ!


 本当にどうしたらいいのだろうか?




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