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メリアの商人  作者: 黒須
第1章 異世界転移
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第8話 旅立ち



 その後、戦時中の風族の武勇伝を聞き、他愛もない雑談をしてエリシアさんの所に戻った。

 アイリスさんは以外と話し好きで話し出すと長いことが分かった。


 途中から俺はタメ口で話せるようになり、かなり打ち解けられた気がする。


「ふふふ、ずいぶんと楽しそうなお喋りが聞こえましたよ」


 エリシアさんはポッポルに荷物を積んでいる。


「その……、100年前の戦争の話をしていました」


「そうでしたか……」


 エリシアさんは切ない表情で相槌を打つ。


「人族軍に挟み撃ちにされたガルレオン族の撤退戦に数人の風族が駆けつけて、数万の人族を相手に殿(しんがり)を勤めた話には痺れました!」


 俺の感想を言うと、アイリスさんは満足そうに頷く。


「もう100年も経つのですね。懐かしいですね。ふふふ……」


 少し考え事をしている様子のエリシアさんは昔を振り返ったのか笑顔に哀愁を漂わせていた。


「……獣族は親交の深い種族ですからね。友人のいくさなら《《行くサ》》」

 と親指を立てるエリシアさん。


「……ッ!?」


 またやっちゃったよ、この人!さっきの間はこのギャグを考えていたのか!?


 アイリスさんは何かに感銘を受けたようで、両手を胸の前で合わせキラキラした瞳でエリシアさんを見つめている。


「お祖母様!ジョージさんには行く宛も食料もこの世界で生きる(すべ)もありません」


 ついでに転移前は職もありませんでした!って、これ何の話しアイリスさん?


「ここに一人残せば命果てるのも時間の問題です。ですが、これから向かうガルレオンの村へは連れて行けません……。だからわたしは、ここに残りジョージさんのお手伝いしてもよいでしょうか!?」


「アイリスさん」

「アイリス……」


「友人のいくさなら《《行くサ》》、ですよね!」


 アイリスさんは満面の笑みで親指を立てた。


 アイリスさん……。最初はクールな感じだったけど根は優しいんだな。

 あれ?いつの間にか友人になっているぞ。まぁ、細かいことは気にしたら負けだし、むしろ望むところなのだが――、

 アイリスさんと二人になったところで二人で遭難するだけで状況は変わらない。


 先ずは人が住める町か村に行ってアルバイトとアパートを探し、生活の基盤を作ってから、この先どうするかを考える。今のところそれしか選択肢がない気がする。


 にこにこしているアイリスさん。この笑顔には癒されるのだが……。


「アイリスさんがそう言ってくれるのは助かるけど、俺は人が住める所に行くべきじゃないか?」


「そ、そうですね……。人族の町って凄く遠いですよね?」


 そうなの?歩いて行けるのだろうか。


「人族の町ですか。準備無しではとても歩いて行ける距離にはありませんね。ふふふ。アイリス、どうやらジョージさんととても仲良くなったようですね」


「はい。たくさんお話しできました」


「フォリスの村では同年代の友人がいませんでしたからね。出生率が低いのは風族の問題ですね」


「けれど、村の皆様にはとても大切にしてもらいました」


 そういえば、風族は寿命が長いんだったな。エリシアさんが150歳でアイリスさんが16歳。6、70年周期でしか子供が産まれないのか?


「ジョージさんを放っておく訳にもいきませんね。ジョージさんがよければ一緒に行きませんか?」


「でも、ガルレオンの村って人族は入れないのでは?」


 それにさっきのアイリスさんの話を聞く限り、人族は相当恨まれている。俺なんかが行ったら速攻ヤられちゃうのではないだろうか?

 

「まぁ、ジョージさんは別の世界から来られた方ですし、私から説明すれば問題ないでしょう」


 人族の町が歩いて行ける場所にないのなら、俺に選択肢はない。不安ではあるが付いて行くしかないのだ。


「それなら是非連れて行ってください」


「ふふふ。はい」


「お祖母様が問題ないと言うのであれば大丈夫ですよ」


 エリシアさんとアイリスさんは笑顔で親指を立てた。


 だからそれ流行ってるのッ!?





 俺も巨鳩ポッポルに乗せてもらえることになった。


「よろしくな。ポッポル」


 この鳥は死んだ魚のような目をしてる。その瞳がじっと俺を見つめる。


 この目、そしてさっきの熊を食べるときの暴食。


「ポッポルって俺を食べたりしませんよね?」


「ふふふふふふ」


「食べませんよ!」



 俺達3人はポッポルに乗り込み、エリシアさんが手綱を握る。


 空高く上昇するポッポル。

 どこまでも続く青い空と緑の平原。眺めは最高だ。


 こうして空の旅が始まったのだった。






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