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メリアの商人  作者: 黒須
第1章 異世界転移
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第3話 プロローグ 〜魔改造じゃッ!!〜



「あぁ そう言えばそうじゃったな」


「忘れてたのかよ!」


 申し訳なさそうな顔をするリザさんが、


「おほん。先程のお話しにあった、ここにずっといるというのと、地球に戻るという選択肢は不可能ですわね」


 ここにはいたくないけど、戻れないのか……。


「なぬ!ここにいることもできぬのか!?」


「他の観測者に見付かれば、ジョージ様だけでなくあなたも罰を受けますわよ」


「はんっ!わしがそう簡単にボロを出すか」


「わたくしに見付かったじゃありませんの?」


「すぐに見付かりましたね」


「うっ、……そ、そうじゃな」


 逆にリザさんに見付かって良かったのではないか?リブさんに付いていったら危なかった気がする。


「やはり日本には戻れませんか?」


 地球に戻れるものなら何としても戻りたい。

 娯楽も何も無い世界。頼る人もいない。言葉だって通じないだろう。お金だって持っていないからアパートも借りれない。そもそもアパートなんてあるのか?何処で寝泊まりすればいいんだ。食べ物や衛生面も気になる。

 無理だ。外国だって一人では恐くて行けないのに。


「転移には条件やタイミングがありますの。ジョージ様が転移する世界から他の世界には転移できないのですわ」


 俺は俯いてしまった。


「以前わたくしが転移させてしまった話はお聞きになったようですが、その方をもう一度転移させようと、色々試したのですがダメでした……」


 重い空気が流れた。泣きそうだよ。何で俺がこんな目にあうんだ。


「わっははははははは!バカめッ!なにを落ち込んでおる!大丈夫大丈夫!余裕じゃろ!なーに、向こうの世界には向こうの世界の楽しさがあるはずじゃ!」


 あ、コイツ、一発殴ろう。うん、殴ろう。


「まぁまぁ拳を握りしめて、そんなに恐い顔をなさらず」


 リザさんは俺を宥める。


「俺の世界では魔法なんて無いですし、戦争も身近には無いんです。言葉も通じるか分からないし、当面の生活費も無い。絶対に死んじゃいますよ」


 俯き暗い顔をする俺の言葉にリブさんとリザさんは顔お合わせる。


「もう!あなたが無神経だから」


「そこまで、思い詰めておったとは」


 リブさんは顎に手を当てて『ん~』と暫く唸っいた。


「リザよ。この者の肉体と精神体を改造するが良いか?」


「はぁーしょうがありませんわね。気は進みませんが、わたくしもお手伝いしますわ」


「えっ?改造!?」


「いや、魔改造じゃッ!!」


「言い直しちゃったよッ!ちょ、ちょっと待ってください。何をするつもりですか?恐いんですけども?」


「身体能力を向上したり、魔法が使えるようになりますわ。うーん、どのような改造をするかはジョージ様の希望を聞いた方が良いですわね?」


 リザさんはそう言うと、怯える俺に優しい笑みを向ける。なんだろう、この人は優しいな。癒されるよ。


「なーに!ドラゴンとか、かっこいい感じにすればコヤツも満足じゃろう?」


 この人はマジで殴りたいなぁ。つかそれ人じゃねーし。ちょっ目が本気!


「まぁまぁ、何かこうなりたいというご希望はございますか?」


「絶対に人間のままにしておいてください!絶対に!」



 俺の中でこれだけはどうしても、と思うものがあった。


「俺自身の改造ではないのですが、向こうの世界でスマホを使えるようにしたい……。できますか?」


 そう言ってバッグからスマホを取り出す。

 娯楽が無い、それは俺にとって一番の地獄だ。某サイトの小説は読めなくなるし、色々な情報も得ることができない。


 俺のスマホを見たリブさんは悔しそうだ。


「ふん、何がスマホじゃ! お主知らんのか~?携帯はの基地局がないと電波が入らんのじゃ。要はアンテナじゃな。地球からじゃと当然圏外じゃ!バカめッ!」


 勝ち誇るリブさん。もう黙っててくれませんか?


「それにWi-Fi環境がないと通信料が大変なことになりますわね~。動画なんか見たらすぐですわよ!」


 動画見ないで世界を観測してください!


「うむ、わしもそのWi-Fi?には興味があったのじゃ!」


 何この会話、実家の母さんとじいちゃんみたい。


「……やっぱ、無理ですか?」


「そうでもありませんわよ」


 リザさんは自分のスマホからmicroSDカードを取り出した。


「このSDカードなら地球のネットワーク上の情報を全て保存できますわ。これをジョージ様のスマホに入れて少しいじれば、検索と表示ができます。まぁこれから更新される情報は見れませんが」


 何故あんなに小さいSDカードにそこまでの情報が入るのだろうか。オーバーテクノロジーだ。気にしたら負けってヤツだな。


「それお願いできますか?あと、充電コードは持ってるんですけど、充電はどうしたらよいですかね?」


「うーん、電気系の魔法で対応するしかないですわね」


「魔法は興味があるのですが、正直使えなくてもいいかなーって思いまして。色々できると戦争に駆り出されそうですし」


「なんじゃ、男の癖に戦が嫌いなのか?」


「そりゃそうですよ。人殺しなんて日本人なら殆どの人ができないと思います。動物すら殺せるか……」


 蚊やゴキブリを殺すのとは訳が違う。部屋に侵入した蜘蛛でさえティッシュで優しく押さえて外に逃がす俺が動物とか、ましてや人間なんて殺せる訳がない。


「お主は優しいのう。じゃが、ドラゴンとまでは言わんが身体能力は向上した方が良いぞ。逃げるにも体力は必要じゃ」


「分かりました。それじゃ、スマホと電気系の魔法と身体強化をお願いしてもいいですか?」


「ふん!お易いご用じゃ」

「分かりました。尽力させてもらいますわ」


 リブさんとリザさんは俺にグッドサインを送る。







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