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俺の日常


 「へへーん、次はロディがゴブリンだぜ」


 エリックが言った。エリックというのは俺の幼馴染みの一人だな。

 イケメンでもないが、ブサイクでもない。そして中肉中背。

 短い茶髪でつまり割と平凡な容姿をしていることになる。

 年は俺と同じだが、たった三ヶ月先に産まれただけで俺の兄貴分を自称している。

 それを指摘したら精神的な問題なんだと本人に否定された。

 それを言うなら俺は前世の記憶があるから精神的に三十歳以上年上なのだが、黙っておいた方がいいだろう。

 エリックは生まれも平凡。普通に農家の息子だ。俺のお隣さんでもある。

 王宮騎士になることに憧れている。理由は単に『格好いい』からだそうだ。

 ま、子供の憧れの理由ってのはそれくらいでちょうどいいのかもしれない。

 給与がどうとか生活の保証がどうとかで将来を決めるのは大人だけで十分だ。


 この世界にはゲームがないので、必然的に野外での遊びが主となる。

 今は俺が提案した日本でもおなじみのあの遊びの最中だ。

 1対多数にわかれて一人が多数を追いかけ回す。その一人に捕まったら捕まった人が役割を交換する。

 所謂鬼ごっこだな。

 この村の子供全員巻き込んでの今一番流行の遊びだ。提案者は勿論俺。

 他にはかくれんぼや高鬼、達磨さんが転んだなどもしている。道具を使わないってのはいいね。

 しかし、この世界には鬼がいないらしくあまり子供達にはピンときていないようだった。

 その点ゴブリンだとすぐ分かるようだったのでゴブリンごっこという名称で子供達に浸透している。

 そして、この遊び意外と体力を使う。

 持久力を無理なく培う点で非常に優れていると言ってもいい。

 遊びという形でのトレーニングならば自然と周囲の子供達を巻き込む形で鍛える事が出来る。

 彼らの中から将来的に俺と冒険してくれる仲間が出てくれると俺は嬉しく思う。


 俺の目的はレベルアップ。俺は自分を主人公に見立てて廃人やり込みプレイを行うつもりだ。

 今の所ゲームの主人公とかと違って俺には使命とか復讐だとか成すべき事が何もない。

 好きに生きていいから幸せだ。思う存分レベル上げにだけ時間を使える。

 だけどレベルアップだけの人生じゃつまらない。

 レベルマックスは当然として、他にどんなやり込みが出来るか色々考えている最中である。

 あとはゲームみたいにアイテム図鑑とかモンスター図鑑とか無いだろうか?

 実績とかやり込み度とかなんかでもいい。

 それらに将来的に出会えたら嬉しいことこの上ない。やり込み要素が増える。

 もし出会えたなら俺はこの人生全てを懸けて全コンプリートしてやろうと思っている。

 その為にも将来冒険者になろうと考えている。魔物を倒すのが主な仕事なあれだ。

 後はそうだな。冒険者になって世界各地を見て回りたいってのもある。

 俺の両親も元冒険者のようなので俺が冒険者になりたいと言ったところで否定はしないだろう。

 

 この世界では恐らくセーブ&ロードなんて存在しない。死んでしまったらそこまでだ。

 だからモンスターと戦うまでに少しでも鍛えておきたいってのが実情だ。

 無茶して怪我でもしたら動けない期間が出てしまう。長期的に見てそれは損だ。

 だから今は焦らずゆっくりと体を作っている。

 その一環として行っているのが村の子供達との鬼ごっこ。

 遊びとは言え俺は真剣に取り組んでいる。

 六歳になるまでジョブが分からないとはいえ、子供だってジョブを持っていることには変わりが無いのだ。

 もし盗賊系のジョブを先天的に持っている子供がいた場合、素早さに強化補正がかかる事が多いから子供の遊びとは言え中々侮れない強敵に変貌する。

 逆に重騎士の場合は素早さは下がるからジョブがあるから強敵になり得るとは一概には言えないんだけどね。

 ともかく、経験値を稼ぎ始めるのはジョブが判明してからでいいだろう。


 今は朝から夕方まで原っぱを駆けているだけで十分だ。

 しかし、俺が一番子供達の中で足が遅い。いつも鬼ばっかりやらされている。

 なので、俺の天職は身体能力にマイナス補正がかかるようなジョブなのではないかと俺は推測している。

 剣術や魔法に関してはジョブが判明したら元冒険者の父さんと母さんが教えてくれる予定になっているのでそこまで心配は要らない。ただし条件があって、前衛系ジョブを引き当てたら父さんと剣術の稽古。

 後衛系ジョブを引き当てたら母さんと魔法の勉強。こういう約束になっている。

 このままだと母さんのお世話になる可能性のが高いかな。


 どっちにせよ基礎体力は必要だ。今は来たるべき日に供えて雌伏の時。


 限界まで体を動かして疲れたら寝る。

 俺の村での子供時代はこうしてひたすら過ぎていく。

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