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神様が仕事を放棄して下界に降ります  作者: 三宮 琳
第二章〜白女神祭の大波乱〜
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素敵なレディになれるってよ

 どうも神王のシオンです。


 ただいま勇者ブレイブと聖女ロゼッタのデート(笑)を追跡リポート中。


 順調にロゼッタが仕込んだ罠に引っかかってますが、それに全く気づいてない様子。


 一方勇者君はドン引きです。もうそれはドン引きです。


 そりゃあ、今まで普通だった女の子がいきなり自分のことをお兄ちゃんと呼び始めて、しかも自分の聖剣を奪い捨てるなんて行いをし始めたら気が狂ったかと思うよね。


 聖女ロゼッタさんは後で懲りたら、以降はもう少し神様を敬いましょう。


 まあ、嫌われてさらに信仰されなくなるかもしれないけどな。


 そんなわけでデートの続きへ行ってみましょう!


「お兄ちゃんみてみて!このアクセサリー素敵だと思うの!」


「どれどれ?⋯⋯うっ⋯⋯。」


「この造形が素敵よね!お兄ちゃんも気に入った?」


「ま、まあ前衛的なデザインだとは思う⋯⋯よ?」


 と、聖女ロゼッタが勇者に見せびらかすのは赤い宝石で出来たイヤリング。とまあ、そこまではいいのだが、そのデザインが何とも⋯⋯。


 良質な宝石を使っているのはわかるのだが、何故か表面が泣き叫ぶ人のような形に加工されている。怖いよ。


 こんなのが良いだなんて、聖女ロゼッタの素のセンスも残念⋯⋯。もしかしたら俺が仕組まなくても盛大にやらかしてくれたかもしれない。


「あ、そろそろ時間になるね、教会に戻ろうか?」


 この後白女神との謁見を控えている勇者はそろそろ教会へと戻ることを提案する。ちなみに俺の本番はそこ。


「う、うん!でもその前に一つだけ付き合ってほしいことがあるの!すぐ終わるから!」


 お、ついにアレが来るか?


「うん?なんだい?」


 気づけば王都の広場、噴水の前、少し顔を赤らめながら何かを決心したような表情の聖女は、噴水に反射した陽光でキラキラと輝いて見えた。


 「あたしに⋯⋯その⋯⋯。」


 ゆっくりと言葉を紡ぎ出すロゼッタを見つめる勇者。傍から見れば恋人同士に見えるよ。よかったなぁ聖女。


 「麻痺(パラライズ)の魔法をかけてっ!」


 台無しだなぁ。


 「え、えぇ⋯⋯。」


 「お願い、勇者様!」


 「なんでそんな⋯」


 「一生のお願いよ!どうか麻痺(パラライズ)を!!!」


 聖女の必死の迫力に押されて首を縦に降ってしまう勇者。


 「それじゃあ、い、いくよ?」


 「嬉しいわ!勇者⋯⋯。」


 手を広げ、勇者の方を向き目をつぶる聖女。その姿はさながら抱擁を待つ恋人のよう。


 「麻痺(パラライズ)!⋯⋯これでいいのかい?」


 「あ、ああ、ありがと、お、ゆ、勇者さ、ま。」


 ビリビリしながら返答する聖女ロゼッタ。そろそろ俺も出ていいかな⋯⋯?


 「よお、ブレイブに聖女様、奇遇だな。でもそろそろ勇者様は教会に戻らなきゃ行けないんじゃないか?」


 と、二人に声をかける


 「あ、シオン君⋯⋯そうだね、そろそろ時間なんだけれども⋯⋯。」


 と、言ってロゼッタの方を見る。


 「だ、大丈夫よ勇者様、本気で魔力抵抗す、すれば解けるし、それ、に、しばらくこのままでいた、いわ。」


 麻痺で痺れながらも途切れ途切れに言葉を繋ぎ、教会へ向かってくれと伝える。


 「了解、じゃあブレイブ、行こうぜ。」


 「え、いいのかな?このままにして⋯。」


 「本人がいいって言うんだからいいだろ。たぶん。」


 「うーん⋯⋯。」


 首を傾げながらもついてくる勇者。


 「そう言えば、二人で遊んでたみたいだが、ロゼッタの事はどう思ってるんだ?」


 「うん?僕がかい?そうだね、ロゼッタさんは余り一緒に行動したことは無かったんだけれども。妹が居たらこんな感じかな?って思うよ。⋯⋯まあ、実際にお兄ちゃんと呼ばれるとは思わなかったけれど⋯⋯。強い女の子だし、将来きっと素敵なレディになれるさ!」


 と、勇者の講評。すげえな、あれだけやらかして好感度が一つも下がってないとか⋯⋯。ああでも、


 「ブレイブ、一つ教えてやろう。⋯⋯あいつ18だぞ。」


 「えぇ⋯⋯年上⋯⋯。」


 将来素敵なレディになれるといいな!


 ちなみに、デートプランを練る前から勇者の頭の中をちょっと覗いて見たけれども、ロゼッタがブレイブと付き合える可能性は微塵もなかった。


 こいつ下心全くないんだもん、王女様も神官娘も苦労しそう⋯⋯。














 そんな感じで教会に戻ってきた俺達二人。どうやら他に謁見する勇者パーティーは既に控え室にいるようで、そこへ案内された。


 「勇者様っ!どこへ行っていたんですか!」


 「勇者様っ!何をしていたんですの!?」


 「勇者君、おかえりー。あとシオン、キミには聞きたいことが⋯⋯。」


 聞こえなーい。


 「ええと、どこで何を⋯⋯か。それは⋯⋯僕にもよく分からないんだ⋯⋯。」


 深刻そうな表情で答える勇者、その様子にイネアとシルフィーナが不思議そうにするが、何が起きた訳では無いと判断したらしく、


 「こ、今度はわたしも連れていってくださいね!」


 「抜けがけはいけませんわ!わたくしもついていきます!」


 勇者はモテモテだなぁ。と、そこで教会の神官長が俺たちを呼びに来た。


 「失礼します、勇者様方。謁見の準備が整いましたので案内させていただきます。」


 どうやら俺の本番が来たようだ。どうやって切り抜けようか。


『神王』は『白女神』のもとへ向かった。


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