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神様が仕事を放棄して下界に降ります  作者: 三宮 琳
第二章〜白女神祭の大波乱〜
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ゴッド ミーツ ホーリーガール 2

 ちゅんちゅん⋯⋯と小鳥のさえずりを聞き、すっと目が覚める。カーテンの隙間からは穏やかな光が漏れ出て心地よい朝の雰囲気を演出する。


 ふと自室のテーブルに視線を向けると微かに湯気を立てる朝食のスープが目に入った。


 ふとベッドに視線を向けると横には美しい身体を惜しげも無く晒したまま寝息をたてるサキュバスが目に入った。


 俺はベッドから降りると部屋着から普段着へと着替え、カーテンを開ける。全身で太陽の光を浴び、意識を活動時のものへと持っていく。


 そこでふとパンとスープの織りなすいい匂いに腹の虫が刺激され、ぐーっと腹がなった。


 テーブルにはパンとトマトのスープ、それに色とりどりの野菜がふんだんに使われたサラダがあった。


 とても美味そうだ、そう思い俺は朝食を食べるため急いで顔を洗いに行く。そして自室に備え付けられた洗面台から戻ると⋯⋯


 ベッドの上に不貞腐れたサキュバスが体育座りをしていた。


 その格好で体育座りすると色々危ないですよ!


「なんでご主人様は何事も無かった様にご飯に言っちゃうのー!?」


「これリリが作ったのか?美味そうだな!ありがとう!」


「えへへー!そうだよ⋯⋯って違う!話を逸らさないで!」


 ちっ⋯⋯失敗したか。


「なんで夜這いに来てたサキュバスを放っておいちゃうの!?しかも昨日いくら頑張ってもご主人様の服を脱がせられなかったんだけど!」


「へー、すごいな俺の服。」


 もちろん俺の仕業である。昨日の夜中にリリが部屋に入ってきたのはわかっていたのだが、わざわざ起きて帰ってもらうよう説得するのも面倒だったので神の力を使って俺の服が絶対に脱げないように操作しておいた。


 もう何でもありだな、神の力。いや元から何でもありだけど。


 それと、神様の事情で身体の関係を持つわけにはいかないと言っても、添い寝だけなら全然セーフ!要は行為に及ばなければ大丈夫なんですよ!


 故に昨日は眼福でした!ありがたや!


「やっぱりアタシには魅力無いのー?」


 リリさんが落ち込んでいらっしゃる。そんな事ないよと言っても、手を出していない現状では説得力がないな。


「リリは太ももが素晴らしいぞ。」


「ピンポイントに褒められたよ!まあ魅力はあるのってことでいいのー?」


「もちろんですとも。」


 変な人間が多いここヒズミルではリリさんが癒しですから。


「なら良かったよー、じゃあ抱いてもらうのはまた今度の機会ってことで今は諦めるよー。」


 機会がないんだなこれが。それとも抱っこでいいかい?そんなわけないか。


「サキュバス的イベントが無いってのがつらいなら、やっぱり奴隷解放しても⋯⋯」


「それは嫌でーす!」


 そっすか。


 そんなこんなでリリさんをからかったり、からかったり、これまたからかったりしてるとコンコンと俺の部屋がノックされた。


「シオンさん、朝食は終わったか?食器を下げたいのだが。」


 扉を開けるとそこには幽霊転生青年のカイ。長いな、転生幽霊でいいや。


「あー待ってくれ、あと二十分くらいしたら食べ終わるから。」

 

「わかった。」


 さっそく働いてくれてるようで何よりだ。そう思い俺は朝食に手をつけた。















 朝食の後、3人で家具の配置などを改めて決めた。そして昼頃になり俺たち3人は冒険者ギルドへ来ていた。理由は⋯⋯働くため!!!


 休暇うんぬんは今だけ忘れさせてください。なぜなら今の俺は金銭関連は全てリリに頼り、あまつさえそのリリのお金で買った家にカイを住まわせて家賃と言って労働させているのだ。


 控えめに言ってもクズ男じゃないか!それはちょっと嫌だ!


 そんなわけで、せめて一日の食事代くらいは自分で稼がなければという思いで冒険者ギルドへ来たのであった。


「勇者職を蹴った新人(ルーキー)⋯⋯。」


「噂では邪教徒の刺客だとか。」


「仲間が増えてねえか?可愛いサキュバスとイケメンの男だ!羨ましい!」


「どっちが羨ましいんだ?」


「もちろんイケメンだっ!」


「エッ?」


 毎度の事ながらザワザワするギルドの冒険者たち、それに噂がどんどんグレードアップしてる気がする。


「シオンさん、今なぜかすごい寒気を感じたのだが⋯⋯。」


 どんまいカイ、恨むならそんなに格好よく産まれさせた親を恨みな!


 ⋯⋯⋯⋯


 ⋯⋯俺じゃん!親ではないけど。


「さて、まずはカイの冒険者登録からするか。鑑定もギルドでやってもらおう。」


「わかった。」


 そう言って俺たちは毎回対応してくれる受付嬢さんの所へ行った。


「あ!勇者様!」


 誰だそれ?俺は斥候ですよ。


「俺はあくまでも斥候ですよ。そこの所はよろしく頼みます。間違っても勇者と呼ばないよう!」


 勇者のジョブ騒動があったのがだいぶん懐かしく感じられる。わりと最近なんだけどな。


「はい、失礼しました。」


「もしかして広まってるの?その勇者がどうのこうのは。」


「いえ、ギルドの個人情報を無闇に漏らすことは規則違反なので、公の事としては広まっていないはずですが。あの時は他の冒険者様も多く居ましたので、目撃された方からの噂はギルドではどうにも⋯⋯。」


「まあ噂くらいならいいか。そのうち消えるだろうし。」


 そう言って俺がカイの鑑定を頼もうとしたその時。


「あたしはアルアーラのロゼッタ=クレンティよ!この中にヒズミルの勇者、もしくはその情報を持っている者がいるなら直ちに教えなさい!早く!」


 バタンっとギルドの扉が開き1人の少女が入ってきた。


 赤毛のツインテールと少し鋭いつり目が強気そうな印象を与えるのが特徴的だが顔はとても整っている。が、身体の方は残念な感じだった。ちびっこい上にどことは言わないがある部位がペったんだ。気高い猫みたいなイメージかな。


 それにしても入ってすぐに命令か、よっぽど偉いやつなのか?そう思っていると横にいた冒険者ギルドへの1人が信じられないというような面持ちでつぶやいた。


「アルアーラの『聖女』様⋯⋯!」


 うわぁ面倒事の予感!


『神王』は2人めの『聖女』に出会った。
















 その頃、天界の会議室。


「これより第8回妹神様対策会議をはじめる。」


 神王を連れ戻すため、そして妹神の怒りに触れないようにするためのこの会議も第8回を迎えていた。


「はいはーいボクから報告!」


 そう言って手を上げたのは遊戯神。


「クラッシア教国に行って探し回ってみたけど、どうやらいなさそうだね!」


「ふむそうか。ご苦労だった。転生神、お前のところはどうだ?」


「今、勇者君は『試練の塔』で頑張っているの!邪魔できるわけないじゃない!」


「転生神よ、神王様の捜索が何よりも優先されるのだが⋯⋯。」


「宰相何か言った?」


「うぅむ⋯⋯何でもない。」


 本来ならば立場の上な宰相を黙らせるほどの覇気を放つほど転生神は勇者にお熱だった。


「それで、豊穣神の所はどうだったんだい?」


 そう聞くのは弟神。正式には自らが象徴する事象の名前に神を付けられて呼ばれるのだが、弟神、妹神、宰相は立場がわかりやすいので神王城ではその呼ばれ方で統一されていた。


 余談なのだが宰相は『知識』。弟神は『誠実』。妹神は『愛情』を司っていた。ちなみに神王はというと『全と無』。『全』はその言葉の通り全ての事象。そしてその上さらに彼は『無』という真逆の概念までも司っていたのだ。


 やはり神王はとんでもなく規格外であった。


 そんな神王の弟の問いに答えるのは豊穣神。


「ええ先日、白女神教の神殿に降りまして、白女神ちゃんにお願いしてきました。その後の報告を聞くに、彼女は特別な力を持つであろう人間を彼女の信者を通して彼女の元に集め、そこで人間に紛れた神王様を見分けるという計画だそうです。」


「ほう?見分けるというのはいつ頃になる?」


 彼女の言葉に期待をかける宰相。


「数日後に行われる『白女神祭』にて数年に1度、白女神ちゃんは民衆の前に姿を現す事にいています。今回の祭りにその人間達を集め対話する機会を設け、その時に行うとのことです。」


「わかった。引き続き報告を頼むぞ。ではこれにて会議を閉じよう。」


 宰相のその言葉で、神々たちは解散し会議室から出ていった。


 神王は白女神から逃げ切れるのか!?

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