このコンクリートの道に
初めて書きました(>_<)本当に一生懸命書いたんですが、誤字などありましたらご指摘お願いします!感想ダメ出し等もできればお願いしたいですっ最後までよんであげてください★
小学校の卒業式から二回目、中学2年の春の到来。久しぶりの暇な休日。何を思ったか…なぜか私は小学校のときの通学路に来ていた。そよそよと風がかみをなでるこの道には、小さくさりげなく、黄色のタンポポが咲いていた。忙しくて気づかなかったけどもう春なんだ、と改めて実感する。
何を探しにやってきたのか、何をしに来たのか。よくわからないまま私は通学路を歩き出していた。
見慣れた景色はどこか懐かしく、ちょっと胸が痛んだ。なぜなら小学校を卒業してすぐに、私は、親の離婚でこの町をさったからだ。12年間の思い出がここに詰まっているのだ。
『沙紀?』
私の一番の親友だった沙紀をこの坂道の上から何回よんだことだろう。
「沙紀…」
小さくそうつぶやいた瞬間、溢れるばかりの沙紀との思い出がよみがえった。
ある日の小学校の登下校。この坂で。
「今日のクラブちょぉつかれたんですけどー」
猫背の沙紀が言った。
「でもバレー楽しくない?」
「ん〜まぁね」
「私バレー大好き」
「あんた。あいかわらずストレートだなぁ。大好きとか言うなっ。こっちが恥ずかしくなるわ」
「ブ〜」
「ブーとか言わないのっ」私は沙紀のこのテンポのいい会話が好きだった。沙紀がいつもつっこんでくるのがたまらなく好きだった。沙紀にしかこの笑顔は見せなかった。本当に本当に大好きで、本当に本当に気があって…本当に本当に別れが惜しかった。
「あのねっ沙紀にあげたいものがあるんだ」
「っなっ何」
バックの中をあさって不細工な猫を取り出す。
「ジャーん」
「…ナニソレ」
「手作り猫」
「ぅっそお?それ猫?どっちかっつぅーと…ぶ…」
「その先言ったらほんとに怒るよ。サ〜キ〜ちゃぁ〜ん」
「嘘嘘。ちゃんと猫に見えるよ。なに…それくれんの?」
「ふふーあげちゃう」
「ありがとっ」
「でもそいつには秘密があるんだなぁ」
「まだなんかあんの?」
「実はね〜ねこが持ってるポシェットの中にね…」
「中に…?」
「やっぱ教えなぁい」
「え〜…なんだそれ〜」
「あとで見てよ」
「なにそれ〜?気になる〜」
今だから言うけど。ポシェットの中には沙紀大好きって書かれた紙が入ってたんだよ、沙紀。見てくれた?
きっと沙紀はもうあんな不細工な人形は捨ててしまっただろう。そばにいなければ私のことなど全て忘れてしまうだろうから。そばにいないもののことなんてすぐ忘れてしまうのだ。昔飼っていたハムスター、柵をガリガリかんで餌をねだってきたのがかわいかったのに、今はそのガリガリの音さえも思い出す事が出来ないのだから。所詮そんなもんなのだ。私のかわいいはそんなちっぽけな愛情だったんだ。だから…
こうやって頭ではちゃんと理解してるのに私の足が向かった先は沙紀の家だった。入る勇気は出るはずもなく、玄関の前でただただ立ちすくんでいた。
「みんな〜こっち、こっち」
女の子の高い声が聞こえたので私は反射的に隠れていた。へいの小さい穴からコッソリ声の主を見る。
最も会いたくて、絶対ここで会いたくてない人だった。
沙紀。
沙紀だった。地元の中学生の友達っぽい人とともにいた。家に遊びにきたのか…どこかに遊びに行くのか…どちらにしろ楽しそうに笑う沙紀。私の知らない、私ではない友達。
沙紀は笑っていた。
私がいなくても笑っていた。
そう思った瞬間。自分の居場所はもうここにはないことを知った。悲しい?悔しい?寂しい?そんな簡単な単語ではこの気持ちは表せない。私は一粒の涙をそこにおいて静かに立ち去った。
沙紀は沙紀であり、沙紀ではなかった。
通学路に戻った私は沙紀と作った秘密基地に向かった。そこなら…あそこなら、私の居場所があるかもしれない。そう思ったからだ。
だが現実はそう甘くなかった。小さな沢沿いの桜の木下に作ったはずの秘密基地は跡形もなく消えていた。「…私…ばかだ…」
木下に座って吐き捨てた。本当にバカだ。バカとしかいいようがない。
新しい中学校にいまいち馴染めなかった私は特定の友達がいなかった。クラスでは適当に冗談も悪口も言って、みんなの輪から外れないよう努力した。できるだけ明るい子に見せようと無理して笑った。でも全然楽しくなかった。居場所はなかった。通学路が愛しくて仕方がなかった。沙紀といたあの日々、笑いたくなくても自然にこぼれた笑みが恋しくて恋しくて。
一年たっても、それは変わらなかった。だから今日来たのかもしれない。幸せな時間を探しに…
でも…
「そんなんっどこにもない…ここにもない…どこにもっ…ないっ…」
突然涙が溢れ出した。どうすることもできない悲しみに襲われた。もどりたい。あの時間に戻りたい。
この沢で沙紀と沢蟹をさがしたな、秘密基地にタイムカプセルを埋めたな、でもそれって全部過去だ…引きずってんの私だけなんだ。楽しい思い出は所詮、過去でしかない。
泣きじゃくってたら人の気配を感じたので一生懸命涙をふいて知らんぷりをした。チラっと見ると沙紀と中学校軍団たちが道を歩いていた。臆病な私はまた隠れる。
すると、私は幻をみたのだった。
沙紀のバッグに私の不細工猫がついていたのだ。
もう一度目をこすってみてみる。やっぱりある。
深呼吸して見てみる。
やっぱりある。
ある。ある。
沙紀は忘れてなんかいなかった。
ちゃんと覚えててくれたんだ。
「私は本当に本当のバカだ…」
涙を脱ぐって立ち上がった。沙紀たちの背中がどんどん小さくなっていく。
幸せだった日は過去だけど私の誇れる思い出だった。忘れられてしまうことはあってもなくなることはないのだ。私と沙紀は今もこの世に存在して、親友だったという事実もある。
それだけで十分だと感じた。消えてしまいそうなほど小さくなった沙紀の背中にお礼をいってまた歩きだす。「ありがと」
途中で大通りにでて駅に行く予定だった。しかし、いきなり予定変更。学校に行ってみることにした。なぜかむしょうに学校の桜が見たくなったのだ。私は桜が好きだ。特に学校の。好きになったのは5年の春だった。
5年の一学期のはじめの日。
「沙紀…違うクラスになっちゃったね…」
「うん…でも遊びに行くからさっ名津(私)元気だして」
「うん…」
うん。とは言ったものの新しいクラスに知り合いは一人もいなかった。
お昼の時間も一人だ。他に一人の子もいたけど正直一緒に食べたいとは思わなかった。沙紀以外との給食なんてありえない。
校庭の桜に目をやると満開だった。給食を急いで食べおえ桜の木下の小さなタイヤで一人お花見をやることにした。
タイヤの上は思ったより桜の木に近い。ハラハラの頭の上を舞う桜を見るのは少しむなしい気分になった。
「はぁ」
タイヤにねっころがりたくなって横になる。口の中に桜が入って来た。んなことを気にする元気はなかったけれど、この桜がサクランボだったらいいな…と無謀なことを考えた。そのうちにうとうとしてきた………
「おい?」
誰かの声が夢の中の世界に響く。桜のサクランボを食べていた夢の中の私にヒビがはいった。
「わぁっ?」
びっくりして飛び起きる。うわ…寝ちゃったよ…ゆっくり顔を持ち上げる…と二度目のびっくり。目の前に男の子がいたのだ。
「ぅわわゎわぁ」
タイヤから落ちた。
「いったぁあ…」
あーカッコ悪い
バカ…
「おっ…何やってんだよ??」
「だって…目の前にいるから驚いて…」
「俺がおこしてやったんだよ。こんなとこで昼休みひとりで寝てる同じクラスのやつがいたからさ」
ジロッとにらまれる。でもすぐにニカッと笑い直してくれた。
「同じクラスだっけ?」
「ひでぇーな。お前の前のせきだよ。田口名津の前の席」
「うっそお。なんて名前?」
「田口博之」
「うわっ名字かぶってるじゃん」
「しょうがねぇじゃん。俺が決めたんじゃないし」
「じゃぁあんたのことユキって呼ぶ」
「ヒロでよくね?」
「ユキのがいい」
「なんで」
「わたしがナツだから雪と夏」
「くだらねぇー」
「くだらなくない」
キーンコーンカーンコーン
「…おいっナツ。行くぞ」
ナツっと呼んだ彼の声にドキッとした。頭の中でナツっの声がリ繰り返される。「うん」
私より少し大きいくらいの背中はなんだか強そうに見えた。
もう分かるだろうが私はユキのことが好きになってしまったのだ。あとから分かったことだがユキはかなりモテるらしく休み時間も何もかも私が話しかける隙などなかった。当然気持ちも伝えなかった。伝えられなかった。
今あいつはどうしてるんだろう…
考えているうちに学校についた。タイヤの上に2年前と同じ体勢でねっころがったら一粒の涙がこぼれた。
ユキが他の中学校の彼女と歩いてる姿とかしゃべっているとことかを想像するだけで泣けるのになんで二文字のただの言葉を言えなかったんだろう…好きだから嫌われるのはそんなにこわいことだったのだろうか…
私って何でこんなに弱いんだろう
自分に絶望だし、桜の花びらは口の中に入ってくる。そのとたん睡魔に襲われた。吸い込まれるよう夢の中へ…
「ユキ…好きです?」
「ごめん…俺彼女いるんだ。おいっサクラー」
「初めましてユキの彼女のサクラ・ンボです」
「さっサクラさん…?そんな、」
「ごめんな、でも俺サクラのこと好…」
私はその先の言葉を聞きたくなくて夢中で走る。ユキが私の名前をよんでいる。
「ナツっ…おいっナツ???」
「はわっ?」
どうやらまたまた寝たらしい。じゃぁサクラ・ンボさんは夢かぁ…よかった。ほっとしてため息をしてから顔をあげた。
目の前に見えたのはユキだった。
「…ゆ……ゆ…き…?」
目の前に見えているユキは言った。おぅ、久しぶり
「嘘だ…きっとまだ夢見てるんだ。ユキがいるわけないじゃん。落ち着け自分」
「…お前なにいってんの?ほんとに本当のユキですが…」
目の前の人物はユキだった。嘘のようだがほんとの話だ。ぎこちなく言う。
「ひっ久しぶり」
「お前さ〜」
「何?」
「俺さぁお前が転校するなんてきいてねぇよ〜」
「…だって……言ってないもん」
「言えよ」
「なんで?」
「なんでも」
「転校しました」
「おせぇーよ
まっいいや」
「そだよ。もうしょうがないし…」
自分でいったしょうがないの一言が胸にささった。しょーがない…か…。
久しぶりにみたユキは背がのびてますますかっよかった。でも私は出来るだけ見ない。これ以上好きになったら取り返しがつかなくなってしまうから。
「でっどうよ。学校は?」「へ?」
「へっじゃねぇーよ。質問に答えろ」
「あっうん…それなり」
「ふぅ〜ん
あんま楽しそうな顔してねぇな」
「そうかな」
「うん。二年前さ、ここでお前にあったときもそんな顔してた。」
「…実はさ」
私は転校してからのことを全て話した。友達のこと部活のこと。ユキは真剣な顔で聞いてくれた。親身に相談にのってくれた。
「俺もさ。重度のひとみしりなんさ」
「えっユキが?」
「うん。だからさお前と俺にてるんだよ。あの日声かけたのはさ、俺と同じ顔してたお前にちょっと同情したからなんさ」
意外な真実。あの人気者のユキが人見知りなんて全然思わなかった。
「でも…人見知りは人見知りなりにやれることってあるじゃん?」
「うん」
「だからさ、自分の出来る限りのことをして。それでも友達ができなかったらそれも自分だし、一生懸命がんばった結果だからいっかなぁって思ったんだよ。そりゃぁ人見知りの自分なんて好きにはなれないだろうけど、でもさ」
ユキがいきなり白い歯をだしてこっちを向いた。少し焼けてる肌が赤みをましてニカッと笑った。その赤みを隠すように桜の花びらがユキの前を落ちていく。
「自分は自分だし。友達がいない自分も。カッコ悪い自分も。イケテナイ俺も。みんな愛すべき自分の姿だから、そのままでいいだと思う」
「…」
「ナツはそのままでいいんだよ」
なぜか雪の一言が今まで無理して、笑って、疲れて、寄り添う術も持たず、心の隅の小さな部屋で泣いていた私に届いた。
『そのままでいいんだよ』心にしみた。
涙。
泣いたらくずれそうだったから泣いてた自分は心の隅に封じ込めた。でも今それはユキによって解き放たれた。
「ユキ…っ私…っ」
「よくがんばった」
彼の言葉があまりにも温かくてその場に崩れるようにして泣いてしまった。ユキは何も言わずに黙って側にいてくれた。
どのくらい泣いていたろう。あたりはすっかりオレンジ色に染まっていた。
「ユキありがとう」
「どういたしまして」
もうきっと会うことはないだろう。きっと。ないのだ。私がこんなに好きになった人。内面からあふれる優しさがまぶしい男の子。
言うなら今しかない。
「ユキ」
「はい」
「あのさ」
「うん」
「知ってるでしょ」
「何が?」
「とぼけてないでね?」
「…」
「私が…」
ユキが子供っぽく笑う。
「俺のこと好きなこと?」「さらっと言わないでよ」私のほうが赤らむ。意味深な笑顔の彼はこう言った。
今度ここで会うときは
自分への自信でみちあふれた顔でこい?
「答えになってないよ」
「それが出来るようになるまでおわずけだよ」
ユキに別れを告げて、駅までの道をゆっくり歩いていく。私の大切な通学路だ。今度コンクリートのこの道を歩くときが来たら、とびっきりの笑顔で春に元気をあたえて、道にさくタンポポにおはよう、と前向きな言葉をかけるんだ。
プルルっ携帯がなる。クラスメートからだ。
『今度クラスの女子でカラオケいくんだぁ(^v^)よかったらナツもきてよ』
はぁ、ため息をして空をみた。辺りは暗いはずなのに来たときよりも明るく感じた。
春の夜風が髪をなでる。
風に約束しよう。
またこの道を歩くときは君をきるようなスピードで走るから。
希望に溢れた顔で走るから。
希望を
走りながら
ふりまくよ
このコンクリートの道に
終わり
本当に下手ですが…
頑張ったつもりです!もし、興味があった方はコメントお願いします!次回作もよんでやってください◇◆