飯を探して三千里・・・・?
食べ物を探そうとしたはいいが、残念ながら俺がいるのは見知らぬ森。まさか歩いて数分で食料を見つけることになるとは、正直思ってもみなかった。どんなに短くても一時間はかかると思っていため、ここまであっさりしていると逆に拍子抜けしてしまう。今、俺は最初に寝ていた場所に戻ってきて、回収した食料を見下ろしていた。もっとも、これを食料と呼んでいいのかという疑問は未だ拭えない。
「獣人・・ってことでいいのか?」
全身にフサフサとした白い毛をはやし、手足には鋭い爪がついている。そんな野生的な見た目はまるで本物の猫ーーーーいや、狼だ。
一見すると人の大きさほどある大きな狼なのだが、身につけているものが明らかに人間じみている。ただの狼が腰のあたりにベルトをつけているわけがない。そしてそのベルトに固定されているアウトドアに適していそうな機能性の高いポーチ。先ほど中身を確認するとナイフが二本と缶パンのような何かが入っていた。
あとは・・・・女性用の下着や服、要は着替えが入っていた。
「しっかしほんとに狼みたいだな・・・・」
俺は一人呟きながら、毛を梳くように体を撫でた。しっかりとした温もりが、体毛を通しても伝わってくる。少なくとも生きていることは確かだ。
森を歩き始めて数分後、森の中でぐったりとしている狼を見つけた時は正直どうしようかと思った。だがなにか様子がおかしかったので、何も考えずにここへ運んできたのだ。狼ではなく獣人というところが、不幸中の幸いだろうか。
この狼は獣人、そう判断したが実際どうなのかは見ただけではよくわからない。しかし着替えが入っていたのだから、獣人だとしたら性別は女性のはずだ。願うならば綺麗な人がいい。
気高い白狼が実は美女。うむ、異世界転生チーレムっぽい設定だ。
撫でながら狼の体をよく見ると全体的に少しだけ汚れている。地面を転がりまわったりでもしたのだろうか。
まあどうでもいいか。ひとまず拝借した缶パンで腹は満たされている。この獣人が目覚めるまで俺は待つことにした。
再び昇り始めた月を見上げ、俺は柔らかすぎず固すぎずの心地いい毛の感触を楽しみ続けた。ついでに体に寄り掛かると、まるで頼れる仲間ができたみたいで心強かった。
・・・・起きてからセクハラで訴えてきたりしないよな?
テストが終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!(意味深)