目を覚ますと・・・・
冷たい風が頬をなでる。その感触が妙に見知れないもので、違和感のあまり俺は眠気に抗って目を開けた。意識が覚めたせいか寒さがより鮮明に感じられた。体をぶるりと震わせようとしたが、全身が重度の筋肉痛になったようにガチガチで指一本すら動かない。
「うっ・・・・」
とりあえず助けを呼ぼうと叫んだつもりが、枯れ草が擦れているような声しか出なかった。こんな状態では救助を求めることができない。しかし視線だけは動くようなので、必死に目をぎょろぎょろさせた。
俺は今仰向けになっているので、視界のほとんどは空に覆われている。青空に少し雲がまじっていて、特に変わったところもない。
視線を右にずらすと、空をぐるりと包囲するような緑が見えた。左に逸らしても同じだった。どうやらここは森で、ちょうど台風の目の位置に俺はいるらしい。
・・・・なぜ?
いや、きちんと受け止めよう。現実から逃げてはいけない。俺は見知らぬ森の中にいて、体は全く動かない。だがそれ以前に俺は電車に轢かれて死んだはずだ。ならなんで生きている?
ならば、もう決まっていよう。今の状況は、死ぬ前に何度も夢見た世界と瓜二つだ。
「異世界転生・・・・」
俺はそう呟いて、全く同時に襲い掛かってきた猛烈な睡魔になすすべなく、静かに目を閉じた。
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