第3話 スキル=両替屋
第3話 スキル=両替屋
想定外のステータスに流石になんとも言えない感じになってしまったが、取り敢えずは確認を再開しないとな。
まあ、ステータスの意味は大体予想がつくから問題はないだろう。大方、今までやっていたようなゲームと同じだろうからな。
そしてスキルも大体どんなものかは想像できる。恐らく算術Ⅵは計算関係の技能だろうし科学知識Ⅴもそのまま科学の知識の事だろう。まあ、これでも学校には行っていたから高校程度の知識はあるからな。
問題は残りのジョブスキルの方だ。マネーチェンジも貨幣操作も全くわけがわからない。
職業マネーのジョブスキルという事と名前から考えるとどちらもお金に関係するスキルだろうが、どんな効果なのか予想できない。
まあ、名前からすると危険性のあるスキルでは無さそうだから使ってみるのが一番わかりやすいかもな。
しかし、確認するにもスキルはどうやって使えばいいんだ?。スキルの名前を言えばいいのか?
「マネーチェンジッ!」
…わざわざ叫んだにもかかわらず何も起きないと悲しくなるな。
それでも、ただ言っただけでは発動しないという事が分かった。それにステータスを開けたときに感じた違和感のようなものも感じなかったということは何かが足りないという事なのだろう。
こんな時、知識系や鑑定系のチートを持っていたらスキルを調べたりできるのにな。と言うより、俺はチートを貰ったはずなんだがこれと言って強くなっている気がしないんだが…。
こんな事なら、無難に現金でも貰うか宝くじが当たりまくるみたいなご利益にしておいた方が良かった気がする。
まあ、こんな事をいくら悩んでいてもどうしようもないな。分からないものは置いておいて貨幣操作の方を試してみるか。
と、試そうとしたところで思ったんだがこのスキル、貨幣ってか小銭がないと発動できないのでは無いだろうか。
そして俺はポケットから財布を取り出し小銭を取り出そうとする……が、一枚も入っていない。そう言えば小銭は全て賽銭箱の中にボッシュートもとい喜捨《進んで金品を寄付する事》してしまったからな…。
くっ、1257円も入れたというのにこんなことになるとは…。いや、この場合はむしろそれだけ入れてしまったからこうなってしまったというべきか。…まあ、俺の意思で入れたわけじゃ無いからな、不可抗力というやつだ。
この千円札が小銭になってくれたらスキルの検証が出来るんだけどな。ここが日本だったら両替機かコンビニで両替できるんだが、異世界では流石に無いだろうからな。
そう考えた時、ステータスを開けた時のような違和感とともに、手にした千円札が10枚の百円玉に変わった。突然の事なので驚いたが違和感があったという事はスキルが発動したという事だろう。効果から考えると貨幣操作とは違うと思うので、消去法でマネーチェンジのスキルか。
確認のために10枚の百円玉を握り、二枚の五百円玉になる様にイメージしてみる。すると、再び少しの違和感とともに手の中に五百円玉が現れる。どうやら、スキルの効果で間違い無いだろう
しかし、スキルの効果が両替って…。両替屋にでもなれと言うのか?。戦闘どころか生産にすら役に立た無いと思うんだが…。
まあ、ひとまずこれで残る効果不明のスキルは貨幣操作だけになった。
取り敢えず、このスキルを検証するために先ほどの五百円玉を一枚手の上に乗せて、浮かぶ様に念じる。
念じる
念じる…
と、何か消費した感覚とともに五百円玉が手の上から五センチほど浮かび上がり、そして停止した。
…また、これも地味な効果だな。
次に五百円玉が右移動する様に念じる。すると、今度は先ほどよりもすんなりと右へ移動した。
ん?始めに動かすときだけ余分に集中力を使うのか?
俺はそのまま、反対方向へ動く様に念じてみる。と、今度も同じ様にすんなりと左へ動いた。
どうやら、始めに動かすときに余分に集中する必要があるということで問題無さそうだな。
俺はそう結論づけてスキルの検証を切り上げる。本来ならもっと細かく確認しておきたいところだが、そもそもここが安全かどうかも分からない。
大体、今モンスターとかに襲われたとしたら全く太刀打ちできずにやられるだろうからな。まず、このスキルで戦うことは不可能だろう。
まあ、取り敢えずは村か町を探して歩くとするか。