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一人が一番




この高校、志賀羅高校へ入学して、もう3ヶ月たつ。

梅雨の時期に入り、いつも教室はざわついていて、居にくいことこの上ない。

入学してすぐは、居にくいなんて思っていなかった。

人間嫌いで人間不信の俺でも、仲良くできるのではと胸を躍らせていた。

まあ、その浅はかな望みはおよそ3日で儚く散ったのだが。

所詮やはり俺には一人が似合う。

俺を捨てた両親だって、いつも一人だった。

親子でこうまで似てるってアリなのか?


「じゃあ、笹川さん、このページを読んでください」

「は~い♫田中くんは強いなとぼくは思いました。大丈夫!君も強いってにゃはは☆彡!なのでぼくももっと強くなろうと思い、この試合にのぞみました。偉いよ偉いよーきみー!!一歩前進だにゃ!!」

「さ、笹川さん、普通に読んでください」

「え~、それじゃロマンがないよーセンセ~、あたしはね~ロマンを求めてるの!みんなも一緒にお~どろ~ぅ!ひゃっほーーー!」


馬鹿か、あいつは。

思わずそう思ってしまうほど、クラスメイト、笹川十和は不思議なやつだった。

異常なほどに高いテンション。それは誰にでも健在で、教師の前でも授業中でも今のような態度を堂々と、というよりも素のようにとる。

ニコニコしていて人当たりのいい彼女は、入学当初から男女ともに人気があった。

それを恨むわけではないけれど、闇ばかりしか知らない俺にとっては正直眩しい。

眩しすぎて、話しかけられてもとても言葉を返せない。

そして、彼女の一番驚きどころはあれでも国有数の財閥の令嬢だということだ。

彼女からはとてもそんな雰囲気は感じられず、誰にでも優しく接しる。

そのため最初は彼女の家目的で近づいていた輩も多数いたが、今は無に等しい。


「あーくんも一緒に踊ろうぜぃ!!ひゃっほーい!!!!!ららららら~♫♫」

「うるさい、ウザイ、邪魔だ、消えろ」


また性懲りもなく話しかけてきた彼女を罵倒し窓へと視線を戻す。

あんなにひどいことを言ったのに彼女は気にする様子もなく歌っている。

それどころかつぎの時間にはまたケロッとして話しかけてくる。


「寺崎さん、聞いてますか?」

「あ、はい」


少しぼーっとしていたようだ、教師にいわれ視線を黒板に向ける。

いつのまにか彼女は席に座っていて、鼻歌を歌いながら教科書を見ていた。

はあ・・・・とため息をつき教科書を手に取る。


「どうしたの?あーくん」

「なんでもない。消えろ」


心配そうに話しかけてきた彼女を軽くあしらい教科書を読む。

やはり俺は一人が一番だ。

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