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序章 「魔王」

冒頭に、残虐と思われる部分があります。

苦手な方はご注意ください。

ある程度は抑えてありますが、念のためご了承いただければと。

序章 「魔王」


「いいか?もう二度と、あの高校に顔を出すんじゃねえ。」


少年は、そう言うと腕に刺さっている点滴を

その患者の額にぐりぐりと押し付けた。

痛みはもちろん、その行為を平然と行う少年に恐怖する患者。


当然のように、全身は冷や汗とも脂汗ともいえるものが流れる。

下腹部に感じる暖かさに心の余裕がないことが伺える。


少年は、それだけを言うと興味を失くしたかのようにその場を後にした。


いつごろだっただろうか、自分がこうなったのは

5歳の時に中学生から、目つきが悪いとケンカを売られてから?

8歳の時にうるさい高校生を注意して、一方的に殴ってから?

13歳の時、いたずらに蹴られた族を組織ごと壊滅したから?


いや元々自分は、最初からこうだった。

気に入らなければ誰に対しても容赦なく殴りかかった。

敵も味方もなく。

元族総長である両親も怯えるほどに。

近所迷惑という理由で、近くの河川敷で抗争をしていた族たちを

両方関係なく壊滅に追いやり、その報復にでた者たちが高校へ来たから

追い払うためにその場で二度とはむかうことができなくなるくらいまでボコボコにし、

半身不随患者がでるほどの騒ぎを起こして以来、同級生たちからも怯えるほどに。


そして、病室まで出向いて先ほどの行為を行うほどに。


俺は、自分の正義とあり方を否定しなかった。

羽山はやま 純白ましろ

彼はそのように思っていた。


近隣の不良では知らないものはいないとされる魔王と呼ばれる二つ名の少年。

それは先ほどの行為においても想像しがたくもないだろう。


本人は良かれと思っても、社会から見ればそれは悪。

本人は悪いことだと思っても、道徳観で見れば正義。


いつの間にか同じ同級生にも、家族すらからも隔絶されていった。


だがその心に絶望などない。

それならと、自分よりも強いやつであればいいのだ。

そう思った彼は、いつの間にか強いやつを求めるようになる。

そいつに殺されるなら殺されたで文句はない、自分はそんなもんだという

死に場所を求めて。

しかしそんな者は現れなかった。

・・・この世界では。


そんなある日、彼はダンボールに入った猫らしきものを発見した。

「・・・お前、本当に猫か?」

そう思うのも無理はない。

猫にしてはわりと、体が大きく尻尾が3つあり、耳はパピオンの如く大きい。

真っ白でふわふわしてそうなその体躯に、もふもふだろうなと思った純白は

そっとその猫らしきものを撫でた。

「・・・ニャイ~?」

その猫らしきものは、猫にしては妙な鳴き声をあげると

前足で彼のズボンをカリカリと引っかいた。

「お前、行き場所がないのか?」

そういいながらも、猫らしきものをそっと撫でて、抱えあげる。

「いいものをやる。俺とこい。」

そういいながら、彼は彼の現在の住処に向かう。


朽ち果てた3F建てのビル。

およそ、10年は放置されているその場所は鉄筋すらむき出しになっているほど、

壁もボロボロになっていて今にも崩れそうになっていた。

手付かずの書類らしきものや、そのビルで使われていたのであろう消火器が転がっていた。

その場所のある一帯だけは誰かが住んでいるかのような生活臭のあるスペースがあり、

ソファがおかれている。

純白は、そのソファへ腰を下ろすと

抱えている猫らしきものに、先ほどコンビニで購入した猫缶を与える。

おいしそうに食べる猫らしきものは、目を光らせ

ガツガツとおいしそうに食らっていた。

そんな姿に、愛護欲の高い純白は優しく撫でる。

「ここで一緒に住むか?お前もはぐれ者だろうかな。」

その声を聞いた猫はビクっと、純白のほうを見る。


不思議な視線を感じた純白は、どうした?と声をかけた次の瞬間―


―キィィィィィィン


猫らしきものの目が光り、次第にその体躯を光らせた。

純白は不意打ちを受け、目をかばうように腕を上げた。


そして、耳に「ともに・・・」という声が聞こえるやいなや、

周りがふわふわと揺れ動くような感じがしたが、次第に落ち着き

目から腕を外した純白の視界に現れたのは、先ほどまでいた廃ビルではなく

燦々と煌く太陽の下にある大地の上だった。


―The Next Story―

今回初めての登録となります。織姫彦星と申します。

物語作りが好きという点でみなさまと共有できたらと思い筆を取らせていただきます。

実力不足による稚拙な文、乱雑な部分等目を覆いそうな部分がございますが、

よろしくしていただければ幸いです。

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