ソンムの戦い
今思い出してもあの戦いはまさにクソだった
俺はソンムの攻勢に参加したんだが…
いやー、あんな酷い光景は初めて見たね
準備砲撃が終わった後にドイツの塹壕を大爆発させてから新兵が突撃することになってたんだが…
上層部の考えが今でも分からないんだ
攻撃の前日にとんでもない大雨が降ってな、そこに準備砲撃を加えたらどうなったと思う?
地面がドロドロにぬかるみやがった
それに加えて行軍用の装備で突撃しろだなんて頭イカれてやがる
もちろんうまく進めなかったさ
そんでノロノロ動いてる途中にドイツ軍の奴らが立て直して俺達に機関銃で撃ってきたんだ
まるでホースで水をまくように銃弾を浴びせられた
皆横一列に並んでたもんでな
端っこからババババってな感じだった
その時、自分が今いる場所は地獄なんじゃないかって思ったんだ
そうやって呆然と立ち尽くしてると左脚に激痛が走った
いつの間にか撃たれてたんだ
気がついてからは必死に仲間の名前を叫んでた
申し訳ないけど野戦病院に連れて行ってくれとね
でも仲間は来なかった
死んでたんだ全員
俺の所属してた小隊は俺以外全滅してた
そして俺は気を失った
気がついたら俺は野戦病院に居たよ
他の負傷者と一緒に横にぶっ倒れてた
最初の攻勢が失敗したことを知ったときはまさに最悪な気分だった
撃たれた左脚の太ももからしたの感覚は無かったがそこ以外は全身が痛んだ
何か違和感を感じてふと左脚を見た
切断されてたよ
そんなもんで俺は傷痍軍人として祖国に帰還した
左脚がなくなってからやることが特に何もなかった
その頃はまだ義足が無かったからな
そのまま俺はベットの上で戦後を迎えた
弟と再開したのは墓地だった
務めてた船がドイツ野郎のUボートに沈められてそのまま海の上で死んだ
俺はまだ幸運だったよ
脚がなくなっただけですんだんだからな
こんなもんでいいだろう
もう話すことはある程度話したさ
これ以外の話しは話す気が起きないし話すつもりもない
ジョージ、もう2杯頼む
7月1日に行われたソンムでの最初攻勢では英軍はたった数百メートルしか前進できず、死傷者約7万6千人という大損害を被りこの日はイギリスにとって最悪な一日となった
ソンムの戦いでは最終的に英仏軍と独軍の双方を合わせて約111万人の死傷者が発生した