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GreatWar
少しばかり前、死とは残虐を好む余所者であり
こっそりと忍び寄る強盗だった
しかし、今は家の中にいる狂犬だ
狂犬たちは死者の隣で食べたり飲んだりし
死に行く者達の中で眠り
そして死体の山の中で笑い歌う
これは西部戦線に従軍したフランス軍医の残した言葉である
第一次世界大戦
その戦争は欧州を舞台とし列強同士が人的資源や最新技術を総動員した総力戦であった
この戦争では以前までの常識が完全に覆された
戦車や戦闘機、毒ガスなどの新兵器が次々と投入され、大量の石油が消費された
しかしそれらの兵器をもってしても戦局が有利になることはほとんど無かった
大陸を横断するほど長く地平線まで続いた塹壕はまるで要塞とかし、攻勢を仕掛けた側が大損害を被ることとなり戦線は長らく膠着状態が続いた
塹壕戦は塹壕足や感染症などの数多くの病気の危険に兵士をさらし、戦後もシェルショックに苦しむものを数多く出した
従軍した兵士の中には自らが体験したことを日記に記録したものも多くいた
この小説は戦後に生き残った兵士の発言や発見された日記をもとにした戦争記録である