蜜の囁きと目覚める本能
湯気の立ち込める露天風呂で、レオンの指がエリスの太ももをゆっくりと撫で上げる。湯に濡れた白い肌は、驚くほど滑らかで、熱を帯びていた。エリスの身体は、レオンの微かな触れ方一つで、敏感に反応する。
「あ……っ」
か細い喘ぎ声が、湯気の中に溶けていく。エリスの青い瞳は、潤み、レオンの琥珀色の瞳を見つめていた。理性では抗おうとしているのか、視線は彷徨うが、その身体はまるで磁石に引き寄せられるかのように、レオンの方へと僅かに傾いでいた。
レオンは、エリスの身体が放つ熱を感じ取り、自らの本能が満たされていくのを感じていた。魅了の瞳を使うまでもない。あの極上の魔物の肉で満たされた充足感と、温泉の心地よい温かさ、そしてレオンという存在が放つ得体の知れない魅力が、エリスの心の壁を溶かしているのだ。
「もう少し、こちらへ」
レオンが囁くと、エリスは抗うことなく、さらに一歩、レオンの方へと身を寄せた。湯船の中では、二人の肌が触れ合う。彼女の胸の柔らかさが、レオンの腕に伝わってくる。
「レオン、様……」
エリスの声は、甘く、切なげに響いた。剣聖の末裔としての凛々しさは鳴りを潜め、そこにあるのは、ただ一人の女性としての揺らぎだった。
レオンは、濡れた銀色の髪をそっと撫で、その指がエリスの頬を滑り降りる。彼女の吐息が、レオンの首筋に触れ、ゾクリとした快感が駆け抜ける。
「こうして触れ合っていると、温かくて、気持ちがいい」
レオンの言葉は、まるで蜜のようにエリスの耳に響いた。彼女の身体は、ますます熱を帯び、自らの意思とは関係なく、レオンの腕の中にすっぽりと収まっていた。
エリスの抵抗はすでにない。ただ、レオンの求めに応じるかのように、しなやかに身を委ねるだけだった。湯の熱と、レオンの体温が混じり合い、二人の間に熱い渦が生まれていく。
その夜、レオンの隠れ家では、三大欲求の一つが存分に満たされた。エリスは、これまで知らなかった快感と、レオンという存在がもたらす極上の充足感に、身も心もとろけていた。
翌朝、エリスは、目覚めると自分の体がまるで生まれ変わったかのように軽いことに気づいた。昨晩の快楽と、レオンとの一体感が、肉体の疲労だけでなく、心の奥底に潜んでいた澱までも浄化してくれたかのようだった。
「レオン様……」
寝息を立てて隣で眠るレオンの穏やかな寝顔を見つめ、エリスはそっと彼に寄り添う。これまでの人生で感じたことのない幸福感に、彼女の胸は満たされていた。剣の道を極めることだけを考えてきたエリスにとって、レオンとの出会いは、新たな価値観と、満ち足りた人生の喜びを教えてくれるものだった。
「ふむ……」
微かな寝返りを打ったレオンは、まどろみの中でエリスを抱き寄せた。その温かさに、エリスは小さく息を漏らす。
「おはよう、エリス。よく眠れたか?」
「はい……レオン様のおかげで、これほど深く、満たされた眠りにつけたのは初めてでございます」
エリスは頬を赤らめながら、正直に答えた。
「それは良かった。さあ、今日はとびきり美味い朝食にしよう。お前も、腹が減っているだろう?」
レオンが楽しそうに言うと、エリスの腹が小さく鳴った。昨晩の快楽と、深い眠りの後には、やはり美味しいものが欲しくなる。
「はい! レオン様の料理、楽しみでございます!」
こうして、レオンの完璧な三大欲求ライフは、新たな段階へと足を踏み入れた。エリスという剣聖の末裔は、レオンの美食と快楽に完全に囚われ、彼のハーレムの一員として、その忠誠を誓うことになったのだった。