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美食の魔王と満ち足りた日々  作者: 次元美食家
三大欲求と隠れ家生活
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熱い夜の再会と魅了の瞳

ロックウルフとの戦いは、あっけなく終わった。

エリスが驚愕の声を上げる中、俺は使役しているゴブリンとフォレストボアに指示を飛ばす。彼らは俺の意のままに動き、ロックウルフの注意を引きつけた。その隙に、俺はロックウルフの死角に回り込み、一瞬でその首筋に「美食の極致」で強化された魔力を込めた掌底を叩き込んだ。

ゴォッ、という鈍い音と共に、硬いはずのロックウルフの首はあっけなく砕け散った。巨大な体躯が地面に倒れ伏し、周囲に砂埃が舞い上がる。

「な……!?」

エリスは呆然と立ち尽くしていた。彼女の剣では、このロックウルフに一撃を与えることすら困難だっただろう。だが、俺は素手で、それも一瞬で仕留めてみせた。

「さて、と。解体するか」

俺は倒れたロックウルフに近づき、無限収納から特別な解体ナイフを取り出した。ロックウルフの肉は、その禍々しい見た目とは裏腹に、非常に高品質な魔力を宿している。特に、心臓の奥にある「魔石」は、強力な力を持つだけでなく、俺にとって最高の食材となるはずだ。

「レオン様……あなたはいったい……」

エリスはまだ震える声で俺を見つめていた。その瞳には、畏敬の念が深く刻まれている。

「だから言っただろう。ただの三大欲求を追求する男だよ」

俺はそう答えながら、ロックウルフの解体に取りかかる。その硬い体毛と肉を切り裂き、魔石を取り出す作業は、熟練の職人技を要する。しかし、俺の強化された身体能力と、無限収納の特殊な刃物があれば造作もない。

作業を終え、肉と魔石を無限収納に収めると、あたりはすでに夕暮れ時になっていた。森の奥から、冷たい風が吹き始める。

「今日は、冷えそうだな。温泉でも入るか」

隠れ家に戻ると、エリスはまだ興奮が収まらない様子で、俺の隣を歩いていた。彼女は、俺がロックウルフを仕留めた時の動きや、使役している魔物たちとの連携について、しきりに質問してきた。

「レオン様、あの動きは一体……! 瞬きする間に、ロックウルフの懐に飛び込んでいました。まるで、空間を跳躍したかのような……」

「ま、色々あるんだよ。それより、飯にするか?」

俺は曖昧に答え、今日の夕食の準備に取りかかる。メインはもちろん、獲れたてのロックウルフだ。

ロックウルフの肉は、見た目以上に脂が乗っていた。俺はそれを薄切りにし、香りの強いハーブと、辛味のある香辛料でマリネする。そして、熱した石板の上で、サッと炙るように焼いていく。

ジュワッ、という音と共に、芳醇でスパイシーな香りが部屋中に満ちる。口に運ぶと、強烈な旨味と、魔力に裏打ちされた深いコクが広がる。噛みしめるたびに、体の奥から力が湧き上がってくるのを感じた。

「これは……! 口の中が熱いのに、心が満たされる……!」

エリスは一口食べるごとに、全身でその味を表現する。彼女の純粋な反応は、見ていて実に気持ちがいい。

夕食後、俺はエリスを連れて温泉へと向かった。

「湯はもう温まっている。さあ、入るといい」

俺はそう言って、脱衣所で服を脱ぎ始める。エリスは、少し顔を赤らめながらも、慣れない手つきで自分の装備を外していく。

「レオン様は……その、いつも、そのように……?」

「ああ。それが最高に気持ちいいからな」

湯気が立ち込める露天風呂は、昼間とは違う幻想的な雰囲気だった。エリスは躊躇いがちに湯船に足を入れる。

「っ……! あ、温かい……」

疲労が溜まっていたのだろう、彼女の表情はみるみるうちに緩んでいく。銀色の髪が湯気でしっとりと濡れ、それが彼女の白い肌に張り付いている。

俺は湯船に浸かり、目を閉じて、極上の温かさを全身で感じていた。隣から、エリスの控えめな湯浴みの音が聞こえてくる。

「今日のロックウルフの肉は美味かったな。あれほどの強力な魔物を食ったのは久しぶりだ」

「はい……! 私も、あのような味は生まれて初めてです。レオン様の料理は、人の魂を震わせる力があるように思います」

エリスの声は、どこか甘やかで、いつもより少しだけ高揚しているように聞こえた。湯気と温かさ、そして魔物の肉で満たされた充足感が、彼女の理性を溶かしているのかもしれない。

俺は湯船の中で、そっとエリスの白い太ももに触れた。彼女の体が、ピクリと震える。

「レオン、様……?」

エリスの声が上ずる。振り返った彼女の青い瞳は、湯気に霞んで、どこか潤んでいた。魅了の瞳を使うまでもなく、彼女の心はすでに俺に惹きつけられていることを知っていたが、こうして触れることで、さらにその引力が強くなるのを感じる。

「体が温まると、色々と気持ちいいもんだな」

俺はニヤリと笑い、彼女の太ももをゆっくりと撫で上げた。湯に濡れた肌は滑らかで、熱を帯びている。

「あ……っ」

エエリスは、息を呑み、そして自らの体が俺に引き寄せられるのを止められなかった。湯の温かさと、肉の旨味がもたらす充足感、そして俺の「魅了の瞳」が、彼女の理性を甘く蕩けさせていく。

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