熱帯夜の秘事
湯から上がり、レオンは濡れたエリスを抱きかかえ、寝室へと向かった。露天風呂から寝室までのわずかな距離が、二人の高揚感をさらに高める。濡れたシーツの上にそっとエリスを下ろすと、彼女はそのまま柔らかなベッドに吸い込まれるように横たわった。
月明かりが窓から差し込み、エリスの白い肌を淡く照らし出す。その肢体は、湯の熱と快感の余韻で桃色に染まり、艶めかしく輝いていた。銀色の髪がシーツに広がり、濡れた雫が肌を滑り落ちる。
「レオン様……」
エリスの声は、かすれ、息も絶え絶えだった。剣聖の末裔としての矜持や理性の壁は、もはやどこにもない。そこにあるのは、ただレオンの求めに応じ、その腕の中で溶けていきたいと願う、一人の女性の姿だった。
レオンは、ゆっくりとエリスの上に覆いかぶさる。鍛え抜かれた彼の肉体から放たれる熱が、エリスの肌に直接伝わり、彼女の身体をさらに火照らせる。
「お前は、本当に美味そうだな」
レオンが耳元で囁くと、エリスの身体が小さく震えた。それは恐怖ではなく、極上の快感に打ち震える戦慄だった。彼の言葉は、彼女の心の奥底に眠っていた本能を直接刺激する。レオンにとって「美味い」は、食欲だけを指す言葉ではない。全てを根源的に満たす、究極の賞賛だった。
レオンの唇がエリスの首筋に触れ、そのままゆっくりと鎖骨へと降りていく。吸い付くような口付けが、白い肌に赤い痕を残していく。エリスは首を反らせ、甘い喘ぎ声を漏らした。
「んぅ……っ」
彼女の指が、レオンの背中をかきむしるようにシーツを掴んだ。脳髄を直撃するような快感の奔流に、エリスの身体はひたすら悶える。
レオンの手が、エリスの滑らかな太ももを撫で上げ、そのまま柔らかな内側へと滑り込む。湯で温められた肌はしっとりと潤い、レオンの指の動き一つ一つに、エリスの身体は敏感に反応した。
「あ……いや……!」
エリスの口から、拒絶とも懇願ともつかない声が漏れた。しかし、その瞳はレオンを真っ直ぐに見つめ、さらなる刺激を求めていることを隠せない。理性が弱々しく抵抗しても、本能はすでにレオンにすべてを委ねていた。
レオンは、エリスの奥底に触れると、彼女の身体が大きく跳ね上がった。全身に電流が走ったかのような激しい震えが、エリスを襲う。彼女の呼吸は乱れ、目からは涙が溢れ出した。
「レオン、さま……!」
その夜、レオンの「三大欲求」は、エリスという最高の素材によって、究極の形で満たされていった。彼女の甘い喘ぎ声と、喘ぐたびに響くベッドの軋む音が、静かな森の夜に響き渡る。
夜が更け、月が傾く頃には、エリスは完全に力を使い果たし、レオンの腕の中で深い眠りに落ちていた。その表情は、極限の快楽と充足感に彩られ、これまでの彼女からは想像できないほど艶めかしいものだった。
レオンは、満たされた疲労感と共に、彼女の柔らかな髪を撫でた。エリスが自分に完全に心身を委ね、甘く蕩けていく姿は、彼にとって何よりも尊いものだった。美食、睡眠、そして性欲。どれ一つとして欠けることなく、レオンの三大欲求は存分に満たされた。
翌朝、エリスは微かな体の痛みと共に目覚めた。だが、それは不快な痛みではなく、満たされた証の心地よい倦怠感だった。隣で穏やかな寝息を立てるレオンの腕の中で、彼女は最高の安らぎを感じていた。