1話 死亡理由
「君ぃ…殺されたくないよね?」
「……っ」
「何か言ったらどうかな〜?」
男が俺の体を触る。
「ひゃっ……やっ…やめっ…」
「そんな声出して〜。どうした?
怖がらなくて良いぞ?」
銃をチラつかせ、脅すように言った。
「っ…………!」
歯を食いしばり、"ああ、死ぬんだ。"と、思った。
サイレンが外から聞こえる。
「我々はここを完全に包囲した!
早く出てこい!」
「チッ…サツかよ…」
男が外に出た。人は当然ざわつき、
悲鳴を上げる者も、いる。
男は銃を取り出し、俺を脅し道具の様な扱いで
「こっちには人質がいるんだぞ!
解放してほしくないのか!」
「うお〜wその台詞、マジで言うんだ〜ww」
もう1人の男が俺を外に出させ、言った。
「俺たちの要求はただ一つ!
1億円を用意しろ!逃げる車もだ!」
"……一つ?"と思い、首を傾げる。
「まっ…待つんだ!
要求は聞く!だから待ってくれ!」
哀れな警察だ。慌てすぎだ。新人なのだろうか。
「ほぉ〜?じゃあこの"女"を!
解放しなくて良いんだな!?」
は?
「お前らは"女"を見捨てるのか!
使えねぇ警察どもが!」
「はぁ………」
散々黙っていた"人質の女"、つまり俺が喋る。
「自分…男です……」
「……は?」「……え?」「……あ?」
「えっ?えっと…男です…」
「男?その容姿で?」
「あ…はい…よく間違われます…」
「……男なら"いらねぇ"な。」
「え?……え!?え!?」
「嗚呼…、処分だな。」
えまってそんな理由で死ぬの?俺。
えまってそんなことで?
とまあ慌てているうちに、男は銃口を引いた。
そう……
"俺"は死んだのだ。




