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スウェットさん

作者: はやはや

 俺はスウェット。

 有名アパレルブランドの店内でハンガーに吊るされている。ちなみに色はモスグリーン。

 少し前までは、高級ブランドで有名だった、このアパレルブランドも、若年層もターゲットに入れ、比較的低価格なスウェットのようなカジュアルな服も扱い出した。

 そういう経緯で俺は生まれたのだった。


 しかし、今でも店内の半数以上は洗練されたスーツやワンピース。それらは、いい生地で作られている。人間達がパーティやかしこまった場所に着ていくような服だ。

 そいつらは『僕達、私達は選ばれし場所と人間に着てもらう特別な存在なんだ』というような、変に高いプライドを持っている。

 スウェットの俺を馬鹿にしたり、哀れんだりする。


『君は気楽でいいよね。ただ着られるだけでいい』

『私達はクリーニングに出してもらわないと、相当なダメージを受けるけれど、あなたは洗濯機でぐるぐる回されても平気なんでしょう?』

『元々、一、二年着たら、くたびれて駄目になることを見越して製造されているんだもんな。可哀想に』


 閉店後は、こうやって商品の俺たちは喋っている。とはいえ、俺は言い返すこともなく黙っているのだけれど。

 スウェットだからって馬鹿にしやがって! と思うが、決して口には出さない。罵詈雑言を吐けば、アイツらと同じレベルになるからだ。俺はスウェットとしてのプライドは捨てたくない。

 俺の仲間のサックスブルーもベージュも、大人しい奴らだ。プライドが高い奴らの挑発には、絶対、乗らない。

 スウェットに生まれる奴らは、人間を着飾らせるよりも、人間をリラックスさせてやりたいという心意気を持った、人間思いの奴なんだ。

 そう、俺たちにはプライドよりも立派な使命がある。

読んでいただき、ありがとうございました。

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