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白薔薇の君に捧ぐ  作者: 冬野ゆな
上巻:彼女の追憶
8/26

R-4 ヴァージル様との初邂逅

 ミザリィは悪役令嬢だ。

 悪役令嬢っていうのはえーっと、要は主人公に突っかかってくる悪い令嬢?


 まーそんなとこ。


 うーん。私みたいに悪役令嬢も転生した日本人……とかだと困るんだけど。いや困らないか。転生したからには目指すのは真エンド一択じゃない?

 ……いやいやいやいや。

 最近だと、「転生したから自由に生きる!」とか、「破滅する悪役令嬢に転生したから、シナリオを引っかき回す」とか、そういうこともありえる。そこは世界のためにも真エンドを目指すべきじゃないの? あっ、でも、世界の命運とか関係無い世界に転生したらそうなるのかな。現実世界から転生する人って、どのていどいるんだろ。


 でもミザリィが転生した人でも、シナリオから撤退しないんじゃないかなあ。だって、真エンドが一番ミザリィにとっても一番いい形だからね。

 ミザリィは、エンディングによってはそのまま出てこなくなって退場したり、他の取り巻きと学院追放になったりするけど、真エンドだと悪役令嬢から本当の意味でライバルになる。最終決戦でも力を貸してくれる存在になる。だから真エンドには欠かせない人物だ。そのせいかミザリィの人気は高い。通常エンドでおもっくそ嫌ってた人が、真エンドで見直すかすっごい嫌がるかどっちかになるくらいは……。

 とにかく、真エンドにたどり着くためにはミザリィとも関わっていかなきゃなんないし。

 ……でも私も通常エンドで散々煮え湯を飲まされたから、正直ほんと関わりたくない気持ちはあるけど。


 まっ、そこはミザリィ次第ってことにしてあげよう!

 うんうん。


 そんなことより、これってイベント外でも攻略キャラと会えるってことなんじゃない?

 あんまりイベント外のことをするとシナリオがめちゃくちゃにならないか心配だけど。


 でもせめて、ヴァージル様くらいはこの目で確かめておきたいっ。


 その願いがたぶん通じたんだと思う。

 前を行く女の子たちが、急にきゃあっという黄色い声をあげた。


「見て、ヴァージル様よ」

「ヴァージル様だわ」


 え、ほんとに?

 嘘言ってない?

 ヴァージル様?

 現実?

 ゲームじゃなくて?

 というか現実に「見て、ヴァージル様だわ」なんて台詞はじめて聞いたんだけど! いやそういう世界なんだけど。うんうん、わかるよ。やっぱりヴァージル様が一番だよね。ファンの間では評価は低めだったの、ほんとになんでなんだろう。正統派王子様キャラより、他の攻略キャラの方が濃いからかな……。


 そ、そんなことはともかく。ほんとにヴァージル様がいるの?

 目線をあげると、私の視線は人の頭をかき分けて、その人まで一直線に向けられた。目の前が急に開けて明るくなるってこういうことなんだ。そのひとはイラストで見たそのまんまだった。イラストなんて吹っ飛んでしまった。


 太陽に照らされて輝く金髪に、透き通るような蒼い瞳。その瞳は優しく、声をかけた誰かに笑いかけている。整った鼻筋に、唇はつややかで。発せられる声は甘くて。


 彼は、彼の付き人であるミハエルと一緒に何か喋りながら校舎の中へと入っていってしまった。


 ……こんな……こんなイベント知らない……。

 まるでご褒美みたいな……。

 だからこれは紛れもない現実なんだ。

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