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冒険者時代の全盛期が来るよー?

 さてとお昼前、僕達新世界旅団の面々は文芸部室を後にして、学校を出て冒険者ギルドへ向かう。

 勝手知ったるギルド施設はけれど、いつもよりもずーっと人が多い。冒険者達が一気にこの町にやって来ているのだ。


 大迷宮は終着点、はるかな数万年も前に古代文明の栄えた地下世界に辿り着いたことを受け、冒険者ギルドは一斉に世界各地へと速報を流した。

 世界最大の発見、そして新たなる未知への誘いをあらゆる冒険者達に伝えたんだねー。

 

 その結果当然ながら、近隣の町やら村やら国やらから冒険者がやって来ることやって来ること。

 レイアはじめレジェンダリーセブンがやってきていることや杭打ちこと僕が新たな迷宮攻略法を編み出したことなんかも伝えたものだから、古代文明にあまり興味はないけど強くはなりたいって人達までわんさか来ている。


 これから先、海の外からもーっと多くの冒険者がやってくるだろうことを考えると、そろそろこの施設だけじゃ賄えないんじゃないかなーって規模になりつつあるよー。

 

「調査戦隊全盛期の頃よりもなお多いね、ソウくん」

「だねー。この勢いが続くようならたぶん、急いで別な支部施設を作ることになるんじゃないかなぁ、ギルドもー」

「大変そうだねー」

「あなた達ね、他人事だと思ってまったくもう……」

 

 ギルドの受付、僕を担当してくれているリリーさんを交えてレイアと語らう。

 言わずと知れた元調査戦隊リーダーにしてレジェンダリーセブン筆頭たる絆の英雄は、あの大冒険からこっち、拠点を完全にこの町に移して冒険者活動を行っていた。

 

 彼女がそうであるということは同じくやってきたウェルドナーさん、カインさんも同様ってことだ。今も彼らはギルド施設内の酒場にいて、こっちをチラチラ見ながらお昼ごはんをたべてるねー。

 なんならそのすぐ近くに新世界旅団の面々もいるし、戦慄の群狼のリーダー・リューゼリアとたまたま出会って一緒に食事しているほどだ。

 あの冒険をともに経験したってことで、それまでの蟠りとかもある程度解消されて仲間意識、連帯感が生まれたっぽくてリューゼもウェルドナーさんも前より当たりが柔らかいよー。


 さておき、僕とレイアは適当に依頼を受けに来たりしているのが今だ。

 どうあれ今日はみんなで軽く深層らへんを冒険しよっかー、みたいにここで出くわしてすぐに決めたわけだけど、だったらついでにちょうどいい依頼があったら受けるのができる冒険者スタイルってもんだからねー。

 僕らの世間話に乗っかって、リリーさんが頭を抱えて嘆く。

 

「ギルド長もすっかりはしゃいじゃって、勢い込んでマスコミやらギルド間の連絡網を使って世界中に世紀の大発見を知らしめたのは良いんだけどね……だからって大挙して押し寄せすぎよ! どうなってるの冒険者!?」

「そりゃー、ねえ?」

「大迷宮のゴール地点、はるかな地下世界を発見しましたー! なんて聞いたら、ねえ?」

「3年ぶりなのに仲良しね! 言いたいことは分かってるけど!」

 

 お陰様でこっちは大忙しよ! と大変そうなリリーさん。

 うーん、ベルアニーさんもはしゃいじゃってたんだねー。見た目からはいつものキザったらしいダンディおじさんのままだったから見抜けなかったけど、たしかに今思うと一週間前のあの人、やたらテンションが高かったかもしれない。

 

 その結果、浮かれて世界中に功績を自慢してギルドがパンク寸前になってるんだから世話ないよねー。

 まあ気持ちは分かるから、僕もレイアも苦笑いするに留めるけどね。リリーさん、ドンマイ!

 

「うお、すげえ……! 絆の英雄と杭打ちが2人並んでるぜ」

「あいつらが、あの? マジかよ、単なる美少女2人にしか見えねえ。なんも知らなかったらナンパしてるぜオイ」

「分かるけど酔っててもいくなよ。絆の英雄にはぶった切られるし、杭打ちには風穴開けられちまうぞ……大事なところを」

「マジかよ! そいつぁ怖えな!」

 

 周囲の冒険者達もなんか好き放題言ってるし。というか僕は男だよ、何がナンパだよー!!

 レイアもなんか軽くうんうん頷いているし。何? レイアまで何? 僕はそんなに男に見えない? この3年でほんのちょっとは背丈も伸びたし体格も……体格は……

 

「ううっそんなに変わらない! 3年前と今とであんまり身体つきが変わってないー!」

「ホント、びっくりだよねー。無限エネルギーの影響かなぁ、ソウくんってもしかしたら歳を取るのも遅くなってたりするかも。すごいじゃん長生きさんだよー?」

「そんなのよりもうちょっとゴツくなりたいよー!?」

 

 無限エネルギーだかなんだか知らないけどいい迷惑だよ! 僕だって早く大人になって、ダンディーでクールでカッコいー男になりたいんだよー!!

 受付机に突っ伏す僕の頭を撫でて、いたずらげに笑うレイアがなんとも憎らしく……そしてそれ以上に、またこんなふうに馬鹿なことを言い合う日が来てくれたことに、こみ上げる喜びを感じる僕だよー。

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