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"オリジンホルダー"だよー!

 古代文明を滅ぼした神の力。僕にとってはまったく覚えがないながら、数万年もの間触れ続けてきたらしい破滅と崩壊の象徴のようなエネルギー。

 ソレを、なんの因果なんだか僕は体質的に身に着けているっぽい? というのがレイアの見解、推測だ。レリエさんの証言からなんか僕の身体から出てる蒼いのが無限エネルギーらしいってのは分かったけど、だからってそのもの僕が一体化してる的な物言いも早急かと思わなくもないなー。


「さっきのエレベーターとか機器へのチャージができたのも、ソウくんが元になるエネルギーを宿していたから……そして、迷宮攻略法だってそう」

「……迷宮攻略法!? なんでそんなどこまで話がいくの!?」

「アレは元々ソウくんが使ってた技術を体系化して、そこから私やリューゼちゃんが派生させて完成させたもの。そしてその由来となるエネルギーもまた……君がもたらした、無限エネルギーの一部だと私は推測してる」


 話をずいぶん飛躍させたレイアの、興奮で赤らんだ顔を見る。かわいいけど怖いよー、コレ知ってる、オカルト雑誌読んで興奮してる時の僕だよこれー!

 エレベーターを何故か僕だけが動かせて理由とか、塔内のエネルギーを唯一チャージできたのが僕だけな理由とか。そこまではなんとなく説得力があるかなーって思うんだけど迷宮攻略法にまで話が行くのは予想外だよー。


 たしかに、あの技術群は元々僕が発端だ。物心付く前から迷宮の中、地下40階層あたりにて生きてこれたのもこれが関係してるんだろうけど……

 環境適応に重力制御、あと身体強化の3つ。この3つについては僕が調査戦隊に入ってからレイアはじめ、主要メンバーに伝えたものなのはたしかだ。そしてそれを皮切りにレイアとかリューゼとかミストルティンが頑張ってくれて、残りの武器強化とか超回復とか気配感知、威圧能力なんかを開発した。

 

 そしてモニカ教授達、調査戦隊でもインテリな人達がそれを継承可能な技術の形で文章にしてくれて、各国に本の形で流布。それが瞬く間に広まって、めでたく迷宮攻略法は世界中に伝播したって流れだねー。

 なので迷宮攻略法の成り立ちについては僕も一枚噛んでいるっていうのはそりゃそうなんだけど、だからって無限エネルギーが絡んでるってのはかなりトンチキな気がするー。

 訝しんでレイアを見ると、彼女はなおも輝く瞳で僕を見据えて言った。


「ソウくんによって大地に流し込まれた無限エネルギー。そしてその大地に生まれ育った私達。きっとみんな、生まれながらにして神の力の影響を受けているんだよ。だからその力を自在に使いこなすソウくんの技術を、一部だけでもコピーして使いこなすことができる」

「迷宮攻略法を扱う上で必要となるエネルギーについては、たしかにこれまでどこから引き出しているのかが謎で研究対象ではあった。人体に根ざした、何か霊的なエネルギーによるものではないかという言説も主にオカルト雑誌などで取り上げられてはいたが、当然ながら一笑に付されていたね」

「あっ、ソレ知ってるぜ! 人体の神秘のパワー・チャクラ! あるいはスピリットエナジー! ソウマも知ってるよな!?」

「あー……まあ、うん。知ってるよー」

 

 教授の解説に心当たりがあるオカルト愛好の同士、レオンくんがはしゃぐけど僕としてはその……古代文明そのものはともかく迷宮攻略法についてはあまり、興味がなかったからねー。

 力の出処とかどうでもいいじゃん、みたいな? そりゃ使ってて明らかに体調が悪くなったとかしたら気にしないと駄目だけど、別に何年と当たり前に使ってて特に何もないなら、僕みたいな冒険者なら便利に使っちゃうからねー。

 

 そんなわけでチャクラだのスピリットエナジーだののページにはまるで食指が向かず。

 むしろ海底に眠るクリスタルの歯車とかはるか山の上に描かれた謎の絵とか、はたまた未だ人類が辿り着けていない世界の奥地とかのほうにこそ浪漫をくすぐられてる僕なんですー。

 

「名称はなんであれ、結局のところ迷信と信じられてきたものがほぼ、正解だったわけだ……身体に根差した神秘のパワー。何しろかつては神とまで呼ばれたモノが駆使していた力だからね。オカルティズムここに極まれり、さ」

「そう! そしてその神秘のパワーが私達にわずかでも宿ることとなったきっかけが何か、と言ったら、それこそがソウくんってわけ! 迷宮攻略法を人類にもたらしてくれた、いわばそう、"オリジンホルダー"!!」

「お、オリジンホルダー……」

 

 タイトルホルダーをもじったのかな? なんにせよ大層な異名だよ、僕は知ってることをいくつか伝えたってだけなのに。

 でもまあ、レイアがずいぶん楽しそうだし、言いたいなら言わせとこうかなー。杭打ちくんを構えながらも向き合う彼女に、なんだかホッコリしちゃう僕だよー。

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