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謎が深まるよー(泣)

 なんかエレベーター、とかいうこの部屋の中をあちこち触れて、僕が持つらしいなんかの力で機能を復活させてくれー的なことを言われちゃった。

 いや無茶振りだよー。何をどうしたら僕がこんな、見たことも聞いたこともなければもちろん触れたことさえないようなモノをどうにかできると思うんだよー。


 ぶつくさつぶやきながらも、僕はとりあえず言われたとおりにあちこちの壁やら床やらを触ってみるよー。

 ひんやりと冷たく固い材質は、鉄のようでそうでもなさそうな不思議な触り心地。うーん、これもやっぱり現代にはない、失われた古代文明だけのオーパーツってやつなのかなー。

 ロマンだよー!


「ぺたぺた。さわさわ……ええと、具体的にはどこを触ればいいのー? 目安もなく当てずっぽうなんて、そんなの無茶だよー?」

「あはは、ごめんソウくん。私に聞かれてもそれはちょっと……もしかしたらソウくんならって、思いつきに近い推測でのお願いだからさあ」

「えぇ……?」


 適当だよー、適当すぎるよレイアー。そう言えばこいつ、前から時折思いつきだけで変な無茶振りを度々してきたんだったよー、なんか思い出してきたー。

 なんならさっきの、全員浮かして湖を渡れ作戦もレイアの適当が発端だし。できるかそんなことー! みたいな感じで首を左右に振ってたなあ、あの頃の僕。


 まあ結局はやる羽目になって、必死に重力制御を操作してやり遂げたんだけど。

 思うに僕が重力制御上手いのって、そういうのがあったからなんじゃないかなー。つまりみんなもおかしな無茶振りされてたらきっと、タイトルホルダーにだってなれると思うよー。


「ふむ? ソウマくん、ならここはどうだい? のっぺりした壁の中、少しだけ変な板が嵌め込んである。ボタンとかもあるね」

「ここー? ……えい、えいえい」


 と、モニカ教授が示してきたのは壁のある部分。たしかに何か、板みたいのが嵌めてあってボタンが取り付けられてるよー。

 もしかしたらこれかも? えいやぽちぽちっと数度押して見る。


 ────変化はすぐに訪れた。

 デタラメに押したボタンがいきなり光りだし、そして部屋の扉が閉まる。かと思えば全体がパッと真昼のお外のように明るくなって、何やら音を立てて動き出したのだ!


「うわわっ!?」

「なんだ、急に明るくなりやがった!?」

「それに、う、動いているのかこの振動は! 一体何が!?」


 ざわつく一同、なにこれなんだこれー!?

 もちろん僕にも心当たりなんてないのに、みんなして"何しやがったこいつ! "的な目で見てくるのやめてよー! 無罪だよ、冤罪だよー!


 悪いのはあっち! 僕にやれって言ったあっち! とレイアを指差す。

 彼女は彼女で僕を見ていた──愕然としつつもどこか、恍惚としたような眼差しと表情で。

 何ー!?


「やっぱり……!! ってことはソウくん、君は……!!」

「な、何々なんなんだよぅー!? 僕何も悪いことしてないぞー!?」

「分かってる! 分かってるよソウくん、むしろ君は……本当に……!」


 何やら感極まったように、すっかり昂っちゃってるけどこれっぽっちも理由が分からなくて怖いよー。

 何? なんなの僕に何があるの? もういいよこれ以上は、僕は数万年眠りこけてた赤ちゃん兵器でしたってだけでお腹いっぱいだよー。


 僕のみならず周囲もドン引きしてレイアを見つめる。ウェルドナーさんまでって相当だよ、滅多に見ないよ姪御全肯定おじさんのこんな姿ー。

 動き続けるエレベーターの中、奇妙な沈黙が走る。それから少しして、レイアはやっと我に返ってえへへ、と可愛く笑った。

 

「…………ふう。ごめん、つい興奮しちゃって」

「う、うん?」

「事情は最後に説明するけど、少なくともこれでこの箱、エレベーターとやらは動いてるみたい。ねえレリエさん、これ、どこに行くのかな」

「"ターミナル"……と呼ばれる場所ね。この塔の中枢部分にして、中から外を一望できる展望台でもある。きっと、そこからなら……」

「安全に外を、古代文明世界を覗けるんだね!」


 何もなかった風に瞳煌めかせてレリエさんとお話してるけど、明らかに今、彼女の中で何かの答えを得たのは明白だよ。

 いや言えよ、せめて僕には! 当事者なんだからさー! ……なんとも言えない目で見つめるとレイアはなんかごめん、と苦笑いしている。


 これもまた後ほど説明するってことみたいだ。僕に関してのみ謎が深まるよー……

 よっぽどのことなんだろうとは思うけど一体なんなんだろうねー? 我がことだけに気になって仕方ないよー。

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