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扉の前だよー

 レイアとリューゼによる露払いも順調で、その間僕の重力制御もしっかり仕事を果たしている。

 こんな大人数を動かすわけだから慎重かつ丁寧に、ゆっくりと進ませていくわけだけどー……それでももうすぐ、柱のところまで辿り着ける地点まで来ていた。


「っしゃあ! オラ行けソウマ、チンタラしてんじゃねえぞオルルァッ!!」

「怖いよー、チンピラだよー……もう着くよー」


 がなるリューゼに答えながらも僕はみんなを陸地の真上、全員が無事着地できるだけの拓けた土地にゆっくりと降下させていく。

 そんなに高さがないから安心なんだけど、加減を間違えると着地の衝撃で足腰を痛めちゃいかねないからねー。ベルアニーさんとか十分に致命傷になりかねないし、ここもやっぱり安全最優先でいくよー。


「空を飛ぶ、なんて経験……もう二度と味わえねえかもなあ」

「アンタねーレオン。そこは頑張って俺もそのうち重力制御を身に着けられるようになるぜ! くらい言いなさいよ」

「えっ!? で、できっかなあ、俺に。ついさっきまでの絆の英雄の戦いぶりとか、俺にできるかなぁ」

「できると信じてるから私もマナも付いてきてるんでしょうが」

「あわわぴゃわわわ……は、はいぃ。れ、レオンさんなら必ずできますぅぅ」


 レオンくん達パーティ・煌めけよ光の面々が名残惜しそうに話し合っているのを耳にする。空中飛行なんてそりゃ、重力制御を身に着けてない限りはなかなか機会がないよねー。

 しみじみ語るレオンくんにノノさんが発破をかけてマナちゃんが信頼の言葉を投げかけてるけど、うー。なんだかすごく羨ましいよー? 美少女二人に確固たる信頼を寄せられているレオンくん、立ち居振る舞いも合わさってまるで物語の主役だよー。うー。


「……ありがとよ! そこまで言われちゃ頑張るしかねえよなあ!」

「ま、無理しない程度にね」

「わ、私も頑張りましゅぅぅぅ」

「おう! ありがとな二人とも、俺は最高の仲間を持てたぜ!!」

「……………………うー!」


 友人がモテるのは嬉しいけど羨ましいー! 僕も負けてないからねー!

 新世界旅団の面々を見る。揃って視線は柱に釘付けだ、いかにも冒険者だけど僕の頑張りも見てくれていいよー?

 内心で後で褒めてもーらお! とおねだりを画策しながらも無事、全員を陸地に着地させて重力制御を解除する。うんうん、百点満点パーフェクトー!

 

「ほいー到着ー。帰りも同じことするからみんなもそのつもりでいてねー」

「あ、ありがとうございます、ソウマくん……その、すごいですね、やっぱり。まさか空を飛ぶ日が来るなんて、思ってもいませんでした」

「え、そうー!? へ、へへ、へへへへー!!」

「…………あなたが団員でいてくれることに、心から感謝します。本当に、ありがとう」

 

 えへへ! 僕だって捨てたもんじゃないね、シアンさんからお褒めの言葉をいただいちゃった!

 僕が旅団に入ったことを心から感謝してくれてるけど、それは僕のセリフだよー。根無し草も同然な僕を、3年前にあんなことをしでかした僕をそれでも勧誘してくれて、あまつさえ新世界旅団の象徴とまで言ってくれた。


 シアンさんこそ僕の恩人なんだよー。もう一度、前を向いて生きてみるのも悪くないかもーって思わせてくれたんだ。

 こちらこそありがとう、だよー。


「さて! ここまで来たらもうあとは流れだよ。私もさすがにここから先は研究による推測でしかないけど、まずは確実に開くだろう扉から答え合わせをしていこうかな」


 笑い合っているとレイアが、一同に向けて大声で告げた。まあ当たり前だけど彼女にとってもここから先は未知のエリア、資料室の情報を研究しての推測しかできていないみたいだ。

 柱は近くで見ると結構大きくて、円周だけでも僕の家の倍くらいはある。そして僕らの真ん前にある扉も、縦にも横にもとっても広くて一度に5人くらい、一緒に入れそうだよー。


「扉……これが僕と、ヒカリと」

「レリエさんと、ソウマさんの4人で開けることができる、古代文明人の遺した、モノ」

「……驚いた。ここ、ちょうど膜の部分よ」

「え?」


 ヤミくんとヒカリちゃんが大きな扉を見上げるのに並び、レリエさんが目を丸くしてボソリとつぶやいた。当然聞こえてる。

 膜……膜って言うとたぶん、例のアレだよね。塔の真ん中くらいからこの星を覆うように張られた、今僕らが住んでいる大地形成しているらしい古代文明の超技術。


 まさかここ、地下88階層こそがその膜に近い地点なの?

 って言うことは今僕達、もう地下世界のすぐ真上くらいのところまで来ているってこと、なのかなー。

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