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3年ぶりの共闘だよー!

「ウェルドナーさんにカインさんは?」

「町の外! ベルアニーさんと合流して、町の人達の避難誘導を手伝ってるよ、他の仲間達も一緒だから安心だね!」


 信じられないタイミングでの元リーダー、レイアとの合流。どうしてだかあの化物に対する知見や対策を備えているらしい彼女の助力を受けて、僕は杭打ちくんを手に持ち再度来た道を走り戻る。

 その間にも気になっていたところ、すなわち彼女と行動をともにしているはずのカインさんやウェルドナーさんについて尋ねたところ、あっけらかんとした答えが返ってきた。


 冒険者ギルドと今になって合流したのは良いし、町の人達を守ってくれてるのはありがたいんだけど、少なくともカインさんとウェルドナーさんはちょっとこっち来てほしくないかなー?

 レジェンダリーセブンのうち2人して避難誘導ってのもなんだかなーって。いやウェルドナーさんは指揮官タイプだからまだ分かるけど、カインさんは普通にこっち来て一緒に戦おうよーって思っちゃう。

 微妙な気持ちのまま僕は、共に駆けるレイアに話しかける。

 

「あの、他はともかくその二人はこっち来てもらったほうが良いんじゃなかったのかなー……いや僕のとやかく言う話じゃないけどー」

「あの"神"には私とソウくん、あとリューゼちゃんでしか対抗できないからいてもしょうがないし……変に頭数増やして万一の犠牲者を出すくらいなら、最初からいないほうが良いかなって! へへへ、置いてきちゃいました!」

「────」


 ニッコリと、いたずらっぽく笑うレイアに僕は息を呑んだ。

 3年前、調査戦隊のリーダーをやっていた頃には見ることができなかった年相応、いやそれよりももっと子供っぽい笑顔に、思わず目を疑ったんだ。


 それに、数だけいても仕方ないから置いてきちゃったって……そんな判断を、レイアが自発的にしたの?

 3年前は可能な限りみんなで一緒に動こうとしていた"絆の英雄"が。仲間達との結束や友情を大切にしすぎるあまり、身動きが取れなくなっちゃっていた彼女が。自分の判断と意志で、仲間達を置いて思う通りの行動ができるようになったって言うのか。


 それは、良いことだ。すごく良いことだ。

 リーダーって立場に、英雄って称号に雁字搦めにされていた彼女がこうまで自由に振る舞える。そのことが嬉しくて僕は、ひっそりと笑って言った。

 

「変わったね、レイア。前よりずっと、リーダーっぽくなった」

「え。それって3年前はリーダーっぽくなかったってこと!?」

「今と比べればね……っ! 見えた! 行こうレイア!」


 あの頃の……みんなを率いて進むリーダーというより、みんなを宥めて仲を取り持つ調整役であることを求められていた彼女に比べて、今ここにいるレイアはすごく、すごーくリーダーっぽいよー!

 うがーっ! と抗議する彼女はひとまずスルーして僕は叫んだ。走り抜ける先、リューゼ達が化物と対峙している現場を見る。僕もレイアもいつでも戦闘態勢だ、いけるよ!


 リューゼは部下達とともに化物に切りかかっては、手応えのなさに苛ついた叫びをあげている。

 そこから離れたところではシアンさんとサクラさん、シミラ卿の3人が戦慄の群狼メンバー、負傷者を触手から守っては手当を施している。


 いずれにせよ予断を許さない状況だ、僕とレイアは一気に飛び上がった! 

 

「後で話すことが一つ増えたかんねソウくん! ええい、行くよー!」

「────ぶち抜け、杭打ちくんっ!!」


 軽口を叩きつつ、手にした白亜のロングソードを振り上げ化物に飛びかかるレイア。続いて僕も、同じ軌跡で杭打ちくんを振り抜く。

 特にレイアだ──迷宮攻略法・重力制御を駆使して剣に高密度の重力を発生させている。

 彼女にしかできない、まさしく必殺技だ!


 黒く深い闇と化した刀身が、上空から一息に振り下ろされる。黒い稲妻めいた斬撃の閃光が、化物を袈裟懸けに断ち切る!

 吹き出る体液、これは血かな? これまで僕がさんざん殴っても、リューゼが山程斬ってもまるで変化のなかったやつの身体に、たしかな傷がついたんだ。

 す、すごい威力だ……! 問答無用、有無を言わせない殺傷力があるよ!


『ヴォオオオオアアアアアッ!?』

「続いて僕だ──!」


 間髪入れず、レイアよりさらに接近して僕が躍り出る。杭打ちくん、フルパワーで撃ち抜く構えだ!

 狙いはもちろんレイアの斬撃跡、あからさまにダメージを受けた直後の傷口! 一応、僕もできる限り杭打ちくんの杭に重力制御による加工を施しては見たけど、彼女みたいな威力はなかなか出せないだろう。

 それでもやらないよりかはマシだ!


 渾身の力で振り下ろした鉄の塊が傷口をぶち抜き──更にそこから前に向けレバーを押し込む!

 瞬間、突き出た杭がやつの受けた傷をより強く、深く一点集中で貫いた!

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