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ニューワールド・ブリゲイド─学生冒険者・杭打ちの青春─  作者: てんたくろー
第三章 冒険者"杭打ち"と集う仲間達
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久々に会う人達だよー

「"杭打ち"!? アンタが俺達と一緒に探しものを手伝ってくれるのか!!」

「……レオンくん?」


 ミシェルさんを探すにあたり、ギルドの用意したパーティーとも連携を取って探す必要がある。

 というわけで一階はギルドの受付まで戻り、件の連中と引き合わせてもらったわけだけど……まさかの知り合い、これは嬉しい誤算だよー!


 いつぞや、新米なのに好奇心からいきなり地下86階まで降りて死にかけたというとんでもないエピソードを作っちゃった人達。レオンくんにノノさんにマナちゃん。

 さらにはそんな彼らに保護され、今ではパーティーメンバーとして行動をともにしている古代文明人の双子、ヤミくんとヒカリちゃん。


 ある意味、新世界旅団並に不思議な面々が今回、僕らと共同でミシェルさんを探すことになったみたいだ。

 ベルアニーさん、気を遣ってくれたのかな? まったく見知らぬ人達相手だとやりにくいから助かるよー。


「知り合いにござるか? ソ……ソ、そっとしておきたい杭打ち殿」

「えぇ……?」


 とはいえ、サクラさんにとっては当然初対面の相手だ。どうやら僕の知り合いらしいことは察して誰何を問うてくるけれど……誤魔化し方が雑!

 ソウマって言いそうになったから慌てて修正したんだろうけど、そっとしておきたい杭打ちって何かな、なんの暗号?


 言った本人も若干顔を赤らめている。あ、でも恥じらうサクラさんもかわいいー!!

 やっぱり美人の恥じらう姿ってこう、美しいよねーと思っていると、ノノさんがそんなサクラさんに目をつけて仲間内で囁き出した。


「それにSランクのサクラ・ジンダイさんまで……これアレよね、噂のパーティー・新世界旅団が動いてるってこと、よね?」

「ぴぃぃ……や、やややっぱりヤバい案件じゃないですかぁぁぁ……! ギルド長直々の依頼って時点でおかしかったんですよ、ぴぇぇぇ……っ!!」

「つってもお前なあ、マナ……レジェンダリーセブンの遣わした使者を探し出すだけじゃねーか。別に渦中に巻き込まれるわけでないならって、ノノもだけどお前も頷いてたろ」


 新世界旅団、分かっちゃいたけどまあまあ腫れ物だねー。僕が属している時点で当たり前なんだけど、それにしたってビビられ方がちょっと過剰だよー。

 ……いや、マナちゃんはいつでもこんな感じだねー。思えば初めて会った時もずーっとピーピー鳴いてる、小鳥みたいな子だ。


 多分、僕より歳上なんだろうけど、よく鳴くもんだから変に幼く見えるから困るよー。

 女性陣が不安に慄くのを、レオンくんがなだめるのを見ながら僕も、サクラさんにことのあらましを説明した。

 

「……以前に知り合った冒険者パーティー。好奇心で地下86階まで潜った挙げ句、彼らも古代文明人の双子を保護してくれてるよー」

「双子ってーと……そこな幼子達でござるか。こないだレリエとも遭遇したとかなんとか、言ってたでござるね」

「……そうだね。久しぶりヤミくん、ヒカリちゃん」


 レオンくん達とはこないだ、それこそ孤児院でミシェルさんに遭遇した日にも軽く出くわしているねー。

 うちのレリエさんと向こうのヤミくんヒカリちゃん。古代文明人同士のおそらくは史上初めての接触だったんだ。貴重な場面だったよー。


 思い返しつつ改めて挨拶すると、ヤミくんがとてとて駆け寄ってきて僕に抱きついてきた。マント、一応洗い立てだけど血とか染み付いてて臭くないだろうか? 消臭はしたと思うけど心配だよー。

 どうしたことかヤミくんにはひどく懐かれてるんだよね、僕。何がきっかけかも分からないんだけど、子供に愛されるとっても素敵な杭打ちさんとしては喜ばしいねー。

 小柄な子供の頭を優しく撫でる。上目遣いで僕を覗き込み、ヤミくんはへにゃりと笑って応えた。

 

「久しぶり、杭打ちさん! 会えなくて寂しかったよ、僕」

「もう、ヤミッたらすっかり杭打ちさんに懐いちゃってるんだから!」

「べ、別に懐いちゃいないけど!? ただ、その、そう、尊敬できる冒険者の人だし、レオンさん達にも負けないくらい僕らを護ってくれた人だからってだけだよ!」

「……まあまあ二人とも。元気してた?」


 もう誰から見てもあからさまに、完全に懐いてくれてるんだけどー……妹にからかわれるのはやっぱり面白くないみたい。年頃だねー。

 必死になって反論するヤミくんの頭を撫でつつ、双子を宥めて最近どう? って聞いてみる。古代文明人と言っても子供なんだから、なるべく健やかに過ごしていてほしいよねー。


 そのへん、レオンくんは信頼してもいいと思うし心配はしてないんだけど一応聞いてみる。

 ヤミくんが撫でられる頭にくすぐったさを覚えてか微笑みつつ、返事をしてくれた。


「う、うん。元気してた。その、杭打ちさんは? 新世界旅団ってパーティー、どうなの?」

「……素敵だよ、メンバーみんなね。こちらの方もその一人でサクラさんだよ」

「ん、名乗らせてもらうでござるよ? 良いでござる?」

 

 僕のほうも調子を尋ねられたし、良いタイミングだしサクラさんにも自己紹介を促すよー。

 これも何かの縁、ましてや彼らパーティーは個人的にも応援している人達だ、サクラさんにも見知っていてほしいからね。

 頷く僕に応じて、彼女はヒノモト人らしい所作で居住まいを正し、礼儀正しく名乗り始めた。

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